老後のために「個人年金保険」に加入していますが、受け取るときに思ったより税金がかかると聞きました。年金を一括で受け取るのと分割で受け取るのでは、どれくらい差が出るのでしょうか?
本記事では、個人年金保険の受け取りの際にかかる税金についてかんたんに解説します。一括か分割か、どちらがどれくらいお得なのか確認してみましょう。
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
個人年金保険を受け取るときの税金とは?
個人年金保険に加入すると、契約時に定めたタイミングで年金を受け取れます。ただ「年金」として少しずつ分割で受け取っていくだけでなく、「一時金」として一括で全額受け取ることも可能です。
個人年金保険の契約者(保険料を負担した人)と受取人が同じ場合、受け取る際にかかるのは所得税と住民税です。ポイントは、年金形式(分割)で受け取ると「雑所得」、確定年金を一括で受け取ると「一時所得」として計算する点です。
なお、確定年金とは、被保険者(保険を掛けられている人)の生死にかかわらず、あらかじめ決めた期間は必ず受け取れるタイプの年金です。
個人年金保険のなかには、確定年金ではなく、保証期間付終身年金(一定期間の間は被保険者の生死に関係なく受け取れて、その後は生きている場合のみ、生涯にわたって受け取れる)といったものもあります。
確定年金以外の場合は、年金として受け取る場合だけでなく、一括で受け取る場合も「雑所得」として計算します。雑所得なのか一時所得なのか、それによって税金の計算方法が違うため、納税額も変わってきます。
分割と一括、税額はどれくらい違う?
分割(雑所得)と一括(一時所得)、計算方法は以下のとおりです。
・雑所得の計算方法
雑所得=総収入金額-必要経費
・一時所得の計算方法
一時所得=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)
上記で計算した金額の2分の1を、他の所得として合算して計算
これだけでは少しイメージしにくいと思われますので、具体例をチェックしてみましょう。なお実際には、所得税には復興特別所得税も加わりますが、ここでは分かりやすさを優先して概算しています。
・契約者=受取人
・払い込んだ保険料の合計:500万円
・受け取る個人年金の合計:600万円
まず、確定年金として10年間にわたって分割で受け取っていく場合は、次のとおりです。
・毎年の受取額:600万円÷10年間=60万円
・そのうち、必要経費(保険料)分:50万円
・60万円-50万円=10万円
この場合、10万円が毎年「雑所得」として課税されます。税率は年収や家族構成などによって異なりますが、仮に所得税10%・住民税10%(合計20%)とすると、10万円×20%=2万円ほど納税額が増える計算で、2万円×10年間=20万円となります。対して、一括で受け取る場合は次のように計算します。
・600万円-500万円=100万円
・一時所得:100万円-50万円(特別控除)=50万円
・課税対象:50万円×2分の1=25万円
こちらも所得税10%・住民税10%(合計20%)とすると、税額は25万円×20%=5万円となる計算です。
上記の例では、一括で受け取るほうがお得になりやすいでしょう。特別控除や2分の1課税は、一時所得ならではのメリットです。ただし、誰でも常に「一括がお得」とはかぎらないので注意が必要です。
まとめ
個人年金保険は、受け取り方次第で税額が変わってきます。今回のシミュレーションでは、「一括がお得」となりました。
しかし、利益(=受取額-保険料)が大きい場合や退職金を受け取る時期と重なった場合など、所得が大幅に上がるようなケースでは、所得税の税率や社会保険料なども上がり、負担が大きくなる可能性もあります。
不安な場合は税務署や保険会社などに問い合わせて、自分の場合はどうなるのかをあらかじめ確認しておくと安心です。
出典
国税庁 No.1610 保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金
国税庁 No.1500 雑所得
国税庁 No.1490 一時所得
執筆者 : 馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表
