ママ友に「元夫の遺族年金5万円」を受け取っていると聞きビックリ! すでに「離婚した元妻」も対象なのでしょうか? 意外と知らない“受給要件”とは
本記事では、離婚後にもかかわらず遺族年金を受け取れる条件や、具体的な金額の仕組みについて詳しく解説します。
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遺族年金とは
遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者が亡くなったとき、被保険者によって生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。
遺族基礎年金とは?
遺族基礎年金は、国民年金の被保険者が亡くなった際に、被保険者によって生計を維持されていた遺族に対して支給される年金です。日本の公的年金制度において、原則としてすべての国民が加入する1階部分に相当します。
残された子どもが18歳になる年度の3月末を迎えるまで(障害等級によっては20歳未満)継続して受け取れるのが、遺族基礎年金における大きな特徴となっています。
遺族基礎年金として「子のある配偶者」が受け取れる金額は、令和7年4月以降の基準で年間83万1700円です。これに子どもの加算額として、第1子・第2子は年間23万9300円、第3子以降は7万9800円が、それぞれ上乗せされる仕組みです。
一方、配偶者ではなく「子」が受け取る場合は、子どもが受け取る総額を人数で割ります。子どもが1人なら83万1700円、2人なら83万1700円に23万9300円の加算額が追加された総額(107万1000円)を2人で均等に割った金額が1人あたりの受給額になります。
遺族厚生年金とは?
遺族厚生年金は、会社員や公務員などが加入する厚生年金保険の被保険者が亡くなった際に、残された遺族に対して支給される年金です。遺族基礎年金に上乗せして支払われるため、日本の年金制度における2階部分に相当する仕組みとなっています。
遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方で受給要件を同時に満たしている状況であれば、2つの年金をあわせて受け取れます。
遺族厚生年金として支払われる金額は、亡くなった人が将来受け取る予定だった老齢厚生年金を基準に計算されます。具体的には、死亡した人の生前の給与額や加入期間から算出された報酬比例部分と呼ばれる金額の、4分の3が実際の支給額です。
離婚した夫が死亡した場合、基本的には他人であるため遺族年金はもらえない
結論から申し上げますと、すでに離婚している元夫が死亡した場合、元妻は遺族年金を受け取れません。法律上は婚姻関係を完全に解消した時点で配偶者ではなくなり、年金の受給資格を完全に失ってしまうからです。
たとえ生前に養育費の支払いを受けていたとしても、離婚した元妻の場合は亡くなった元夫から遺族年金を受け取れないのが原則です。例外として「離婚後も同じ家で暮らし事実婚の状態を続けていた場合」などは、受給対象になる場合もあります。
離婚したママ友が「月5万円の遺族年金を受け取っている」というのは、元妻自身ではなく、元夫との「子ども」が受け取っている遺族厚生年金を指している可能性が高いです。
後記しますが、子どもが母親と同居して養われている場合、1階部分である「遺族基礎年金」は全額支給停止となってしまいます。しかし、元夫が会社員などで厚生年金に加入していた場合、2階部分の「遺族厚生年金」は基礎年金の停止にかかわらず子どもに単独で支給されます。
遺族厚生年金の額は、元夫の生前の給与や加入期間によって計算されます。そのため、元夫が高収入(平均月収が48万~50万円程度など)であった場合、遺族厚生年金のみで年間約60万円(月額に換算して約5万円)を受け取れるケースは十分に考えられるのです。
離婚していても遺族年金を受け取る方法には何がある?
元妻自身は受給できなくても、元夫との間に生まれた子どもであれば遺族年金を受け取れる可能性があります。元夫から子どもへ定期的な養育費の支払いなどがあり、生計を同じくしていたと認められるのが条件となります。
前記の通り、母親と同居している場合は遺族基礎年金が停止されますが、元夫が厚生年金に加入していれば遺族厚生年金を受け取れる可能性があります。
離婚した夫との子が受け取れる金額とは
子どもが受け取れる金額は、元夫が加入していた年金の種類や納付状況によって大きく異なってきます。遺族基礎年金を受け取れる状況であれば、子ども1人の場合で年間約83万円(令和7年度基準)が目安となります。第2子がいる場合は年間約24万円、第3子以降は1人につき約8万円の加算がつく仕組みです。
遺族厚生年金の額は、元夫の生前の給与額や加入期間で計算されるため、正確な数字は年金事務所での確認をおすすめします。
まとめ
離婚した元夫が死亡した場合、元妻自身はすでに法律上の配偶者ではないため、原則として遺族年金を受け取れません。しかし、生前に元夫から定期的な養育費を受け取るなど生計を同じくしていた子どもであれば、受給できる可能性があります。
受け取れる年金の種類は元夫の加入状況によって大きく異なり、遺族基礎年金や遺族厚生年金などが対象になります。実際に支給される金額は、子どもの人数や元夫の生前の収入、保険料の納付期間などによって細かく変動します。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級
