夫を亡くし「遺族年金8万円」を受給していた姉が再婚。いまだに遺族年金を“継続して受給”しているようですが「不正受給」になりませんか? 再婚後の受給権を解説
そのため新たなパートナーと新しい家庭を築き、新しく生活を作っていくのであれば、遺族年金の受給資格は消滅してしまいます。それなのになぜ再婚後も遺族年金を受け取るケースがあるのでしょうか。本記事では遺族年金の仕組みと、再婚後の取り扱いについて分かりやすく解説します。
ファイナンシャルプランナー2級
遺族年金とは? 家族を支えるための公的制度
遺族年金とは、家族の生活を支えるための公的年金です。一家の大黒柱などが亡くなったとき、残された家族の生活が急に困らないように支給されるもので、日本の公的年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。
このうち、子どもがいる家庭で中心になるのが遺族基礎年金で、これは「子どもを育てている遺族の生活を守るための年金」です。そのため、受け取れる人は「子のある配偶者」と「子」に限定されています。つまり、子どもがいる家庭を支えることが目的の年金といえるでしょう。
再婚すると遺族基礎年金はどうなる?
配偶者が再婚した場合、遺族基礎年金の受給権はどうなるのでしょうか。結論からいうと、配偶者の受給権は消滅します。
国民年金法では、受給者が「死亡」「婚姻(再婚)」「養子縁組」となったときには遺族基礎年金の受給権が消滅すると規定されています。つまり、再婚した場合「配偶者」としての受給資格はなくなってしまうのです。
子どもの受給権は消えない場合がある
遺族基礎年金の受給権があるのは配偶者だけではありません。遺族基礎年金は子どもの生活を保障するための年金でもあるので、子ども自身にも受給権があります。受給者である母親が再婚すると、母親の受給権は消えますが、子どもの受給権は親の再婚によってただちに消滅するわけではないのです。
そのため、子どもに受給権がある場合は、引き続き遺族基礎年金が支給されることがあります。今回のケースでは「再婚したのに年金をもらっている」のは、あくまでも受給権のある「子ども」に基づくものであり、「配偶者」であった本人の受給が続いているわけではないのです。
ただし、親の再婚に伴い、再婚相手と養子縁組をすると、新たに再婚相手との間に法律上の親子関係が生じるため、遺族基礎年金の受給要件に影響します。この場合、子どもの養育は母親とその再婚相手が担うことになり、亡くなった父親の遺族基礎年金は受け取れなくなります。
実際いくらくらい受け取れる?
遺族基礎年金はどのくらい受け取れるのでしょうか。2026年度の遺族基礎年金は、基本額84万7300円に子の加算額24万3800円がされるので、子どもがひとりの場合は年間109万1100円、月額9万925円となります。
また、遺族基礎年金の受給額については、子どもの受給要件を満たしている限り、年金額の考え方そのものが直ちに変わるわけではありません。
再婚しても「不正受給」とは限らない
再婚したのに遺族年金を受け取っていると聞くと、不正受給なのではないかと思うかもしれませんが、遺族基礎年金は子どもの生活を守るための制度です。そのため、配偶者が再婚しても、親の再婚相手と養子縁組をしない限り、子どもの受給権が消滅することはありません。
遺族基礎年金に限らず、年金制度は受給要件が複雑なものも多くあります。疑問を感じたときは、制度をよく理解してから正しい情報をもとに判断するようにしましょう。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
e-Gov法令検索 国民年金法
執筆者 : 渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
