「年金は早くもらったほうが得」と言う母vs「繰り下げたほうが増える」と譲らない父。夫婦で受け取り方が違っても問題ないのでしょうか?

配信日: 2026.05.22
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「年金は早くもらったほうが得」と言う母vs「繰り下げたほうが増える」と譲らない父。夫婦で受け取り方が違っても問題ないのでしょうか?
夫婦で年金の受け取り方について話していると、「早く受け取ったほうが安心」という考え方もあれば、「繰り下げて増やしたほうが得ではないか」という意見が出ることがあります。
 
老齢年金は、原則65歳から受け取る仕組みですが、希望すれば受給開始時期を早めたり遅らせたりすることができます。ただし、繰上げ受給では年金額が減額され、繰下げ受給では増額されるなど、それぞれ特徴があります。
 
また、夫婦であっても、必ず同じ受け取り方を選ぶ必要はありません。本記事では、日本年金機構の情報をもとに、年金の繰上げ受給・繰下げ受給の仕組みや、夫婦で異なる受給方法を選べるのかについて整理します。
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年金は「65歳より前」または「後」でも受け取れる

老齢基礎年金や老齢厚生年金は、原則65歳から受け取ることができる仕組みです。
 
日本年金機構によると、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に「繰上げ受給」を選択できます。また、66歳以後75歳までの間に受給開始を遅らせる「繰下げ受給」も可能です。
 
繰上げ受給では、早く受け取り始める代わりに年金額が減額されます。一方、繰下げ受給では、受給開始を遅らせることで年金額が増額されます。つまり、「早く受け取る代わりに少なくなる」か、「遅く受け取る代わりに増える」かの2択を選べる仕組みになっています。
 

繰上げ受給は「早く受け取れる」が減額される

繰上げ受給では、60歳から64歳までの間に年金受給を開始できます。ただし、日本年金機構によると、繰上げ請求をした時点に応じて年金額が減額され、その減額率は生涯変わりません。
 
昭和37年4月2日以降生まれの人の場合、減額率は1ヶ月あたり0.4%です。例えば、60歳で繰上げ受給を開始した場合、最大24%減額されるようです。
 
また、繰上げ受給には注意点もあります。一度繰上げ請求をすると取り消しができないほか、減額された年金額は一生続きます。さらに、障害年金や遺族年金との関係で影響を受ける場合もあります。
 
そのため、「早く受け取れるから得」と単純には判断できません。
 

繰下げ受給は「増額」されるが受給開始が遅くなる

一方、繰下げ受給では、66歳以後75歳まで受給開始を遅らせることで、年金額を増やせます。日本年金機構によると、増額率は1ヶ月あたり0.7%で、75歳まで繰下げた場合、最大84%増額されます。
 
例えば、65歳時点の年金額が年200万円だった場合、75歳まで繰下げると、単純計算では年約368万円になる可能性があります。もっとも、繰下げ期間中は老齢年金を受け取れないため、その間の生活資金をどう確保するかも重要になります。
 
また、長生きした場合には受給総額が増える可能性がありますが、何歳まで生きるかによって損益分岐点も変わるでしょう。そのため、「増えるから必ず得」というわけでもありません。
 

夫婦で異なる受け取り方を選んでも問題ない

今回のケースのように、母は「早く受け取りたい」、父は「繰り下げたい」と考えることもあるでしょう。
 
年金の繰上げ・繰下げは、原則として本人ごとに選択する制度です。そのため、夫婦で異なる受給開始時期を選んでも問題はないでしょう。
 
例えば、夫は繰下げ受給を選び、妻は65歳から通常受給することも可能です。また、夫婦それぞれの健康状態や就労状況、貯蓄額などによって、適した受け取り方が異なる場合もあります。
 
特に、どちらかが先に年金を受け取り始めることで、生活費を補いながら、もう一方が繰下げを選択するといった考え方もあります。
 

「得か損か」だけでなく生活設計全体で考えることが重要

繰上げ受給と繰下げ受給では、「どちらが得か」という話題になりがちです。実際には、


・健康状態
・就労収入の有無
・貯蓄額
・何歳まで働く予定か
・遺族年金との関係

などによって、適した選択は変わります。
 
例えば、生活費に余裕がなく、早めに受給したい人もいれば、働き続けながら将来の年金額を増やしたい人もいます。そのため、「繰上げは損」「繰下げが正解」と一律に考えるのではなく、自身の生活設計に合わせて検討することが重要です。
 

まとめ

老齢年金は、原則65歳から受給しますが、希望すれば60歳からの繰上げ受給や、66歳以後75歳までの繰下げ受給を選択できます。
 
繰上げ受給では年金額が減額され、その減額は生涯続きます。一方、繰下げ受給では年金額が増額されますが、その間は老齢年金を受け取れません。また、夫婦で必ず同じ受け取り方を選ぶ必要はなく、それぞれ異なる受給開始時期を選択することも可能です。
 
そのため、「どちらが得か」だけで判断するのではなく、健康状態や家計状況、働き方などを踏まえ、自分たちに合った受け取り方を考えることが重要といえるでしょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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