父に先立たれ「遺族年金」で暮らしてきた母。65歳になったら「自分の年金」が優先されて、手取りが減ってしまったそうです…。一緒に受け取るのは難しいのでしょうか?
ただし、自身が65歳に達する前から遺族年金で生活していた場合、65歳到達後は受給額が変動するケースがあるため要注意です。
本記事では、遺族年金の仕組みと、老齢年金と一緒に受け取った際に金額が減る背景を整理しました。遺族年金について悩んでいる人は、参考にしてください。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
遺族年金の概要
遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。それぞれ対象者や金額の決まり方が違うため、日本年金機構の情報をもとに表1で比較してみました。
表1
| 遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 | |
|---|---|---|
| 対象者(受け取れる順位) | 1位:子どものいる配偶者 2位:子ども |
1位:子どものいる配偶者 2位:子ども 3位:子どものない配偶者 4位:両親 5位:孫 6位:祖父母 |
| 金額 | ・昭和31年4月2日以後生まれの配偶者: 84万7300円+子どもの加算額 ・昭和31年4月1日以前生まれの配偶者: 84万4900円+子どもの加算額 |
・亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分 (年金額の計算の基礎となる部分)×4分の3 |
| ・子ども:84万7300円+ 二人目以降の子どもの加算額 |
||
| 子どもの加算額 | ・一人目と二人目:各24万3800円 ・三人目以降:各8万1300円 |
なし |
※筆者作成
遺族年金における子どもとは18歳になった年度の3月31日までの人か、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の人です。
なお、配偶者が亡くなって遺族厚生年金を受け取る本人にも老齢厚生年金の受給権がある場合、計算式は2通りあります。
・亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分×4分の3
・亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分×2分の1の額+自身の老齢厚生年金の額×2分の1
このうち、高い方が遺族厚生年金として支給されます。
遺族年金と老齢年金の全額併給はできない場合がある
65歳を迎えて老齢年金が支給される段階に入ると、原則として遺族年金との同時受給はできません。これは「一人1年金」という公的年金の大原則によるものです。複数の年金受給資格を持つ方は、そのうち1つを選択する形となります。
ただし、併給が特例的に認められる組み合わせもあります。日本年金機構によると、併給が認められるのは以下の組み合わせです。
・老齢基礎年金と遺族厚生年金
・老齢厚生年金と遺族厚生年金
・老齢厚生年金と障害基礎年金
・遺族厚生年金と障害基礎年金
遺族年金と老齢年金の受給権利を両方とも有している場合、遺族厚生年金と併給できる可能性があります。このうち、老齢基礎年金と遺族厚生年金であれば、どちらも受給が可能です。
一方、老齢厚生年金と遺族厚生年金を同時に受給するケースでは、支給額は「老齢厚生年金額+(遺族厚生年金額-老齢厚生年金額)」となる仕組みです。要するに、遺族厚生年金が老齢厚生年金を上回っていない限り、実質的な上乗せはありません。
また、併給できる場合でも、老齢厚生年金額に相当する遺族厚生年金は支給停止されます。そのため、65歳よりも前から遺族厚生年金を受け取っていた場合、老齢年金の支給開始や加算の変更などにより、受給額が変わることがあります。
年金以外の資金源も考えておく
配偶者を亡くした後、自分の年金受給が始まると受給額が変わる場合があるため、年金以外の生活資金も準備しておくと安心です。例えば、遺族厚生年金の一部を貯蓄に回し、老後資金として確保しておく方法があります。
すでに退職して定期的な収入がない場合は、子ども世帯からのサポートを受けられないか話し合ってみるのもひとつの選択肢です。
併給できる年金でも受給額が調整される場合がある
公的年金の基本ルールでは、受給は一人につき1種類です。ただし、特例として認められている組み合わせなら、2種類の年金を同時に受け取れるケースもあります。両方の受給を希望する場合は、まず特例対象の組み合わせかどうかを確認しましょう。
ただし、特例で併給ができるとしても、満額受給とは限りません。老齢厚生年金と遺族厚生年金を併せて受け取る場合、老齢厚生年金の金額に応じて遺族厚生年金額が調整されるためです。受給額が変わる可能性を見越して、早めに年金見込額を確認し、生活資金を考えておくことが大切です。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 年金の併給または選択
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

