年金「月3万円」の母、受給額が少ないのに「年金生活者支援給付金」がもらえない!? 繰上げ受給者が陥る“65歳の壁”という盲点…「月9000円」上乗せされるのはいつから? 注意点を解説
早く年金を受け取ることはできるものの、人によっては受給額が十分ではなくなることも考えられます。公的年金やその他の収入が一定額以下の場合、「年金生活者支援給付金」を年金に上乗せして受給できることがあります。
今回は、63歳で年金を繰り上げ受給している母を例に、「年金生活者支援給付金」の対象となるのか、いくらもらえるのかを解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
年金生活者支援給付金制度とは
年金生活者支援給付金制度は、年金を含めても所得が低い人の生活を支援するために、消費税が8%から10%に引き上げられた2019年10月1日から始まりました。
支給の対象となる人
年金生活者支援給付金は、受給している年金によって3種類あります。
老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金:老齢基礎年金を受給している人が対象
障害年金生活者支援給付金:障害基礎年金を受給している人が対象
遺族年金生活者支援給付金:遺族基礎年金を受給している人が対象
老齢年金生活者支援給付金が支給される人の要件は、以下の通りです。
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
・同一世帯の全員が市町村民税非課税である
・前年の公的年金などの収入金額とその他の所得との合計額が、次の金額以下である
昭和31年4月2日以後に生まれた人:80万9000円
昭和31年4月1日以前に生まれた人:80万6700円
この3つの要件を全て満たしている場合に、受け取ることができます。
つまり、年金を繰り上げ受給している63歳の母は、年金生活支援給付金を受け取れません。65歳になったときにその他の要件を満たしていれば受け取れますが、申請が必要なため、忘れないようにしましょう。
支給される金額
支給される金額は月額5620円を基準に、保険料を納付した期間に応じて算出され、次の1と2の計算式で求めた金額の合計となります。
1. 保険料納付済期間に基づく金額(月額)
5620円×保険料納付済期間÷480月
2. 保険料免除期間に基づく金額(月額)
1万1768円×保険料免除期間÷480月
また、給付金の支給により所得の逆転が生じないようにするため、前年の年金収入額とその他の所得額の合計が以下の範囲内である場合には補足的老齢年金生活者支援給付金が支給されます。
昭和31年4月2日以後に生まれた場合:80万9000円を超え90万9000円以下
昭和31年4月1日以前に生まれた場合:80万6700円を超え90万6700円以下
補足的老齢年金生活者支援給付金の計算式は図表1の通りです。
図表1
日本年金機構 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要より作成
支給額のシミュレーション
では、母が65歳になった場合、年金生活者支援給付金をいくら受け取ることができるかシミュレーションしてみます。収入等が変わっていなければ、要件は満たす見込みです。
老齢基礎年金の満額7万608円に対し、63歳である母の現在の受給額が3万円であることから、保険料納付済期間は200月、免除期間を280月と仮定します。この場合、先ほどの計算式に当てはめると、次のようになります。
1.5620円×200月÷480月=2341円
2.1万1768円×280月÷480月=6864円
2341円+6864円=9205円
年金生活者支援給付金の予想支給額は9205円となりました。しかし、今回は保険料納付済期間、免除期間を簡易的に算出しているため、実際の期間によって金額が変動する可能性があります。
対象者は忘れずに申請しよう
年金生活者支援給付金は、要件を満たすからといって自動的に受け取れるものではありません。受け取るためには、請求書を提出する必要があります。
老齢年金を繰り上げ受給している場合、支援給付金の受給権が発生すると見込まれる人には、65歳になる誕生月の初旬に請求書が届きます。手元に届いたら忘れずに手続きをするようにしましょう。
出典
日本年金機構 令和8年4月分からの年金額等について
日本年金機構 年金生活者支援給付金制度について
執筆者 : 金成時葉
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

