年金が減るのが不安で、働く時間を調整し月収「10万円」に抑えていました。「支給停止ライン」が引き上げられると、これからはいくらまで稼げるのでしょうか?

配信日: 2026.05.29
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年金が減るのが不安で、働く時間を調整し月収「10万円」に抑えていました。「支給停止ライン」が引き上げられると、これからはいくらまで稼げるのでしょうか?
厚生年金に加入しながら受け取る老齢年金を「在職老齢年金」と呼びます。この制度では、給料の額や年金の月額しだいで、年金の一部または全部が止められてしまう場合があります。そのため、止められる基準額(支給停止調整額)を意識して、就労時間や報酬をおさえながら働く方もいるかもしれません。
 
注目したいのは、2026年4月から、この支給停止の基準額が大幅に引き上げられた点です。
 
本記事では、改正によって何がどう変わったのか、自分が支給停止の対象になるかを確認する手順を整理してお伝えします。
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在職老齢年金の支給停止ラインの見直し内容

在職老齢年金は、60歳を過ぎてからも厚生年金保険の被保険者として働きつつ受給する年金を指します。給料の月額換算(総報酬月額相当額)と年金の月額分(基本月額)を足した数字が、支給停止ラインの範囲内であれば、年金は減額されずに満額が振り込まれる仕組みです。
 
これまでの基準額は月額51万円でしたが、高齢者の就労意欲を後押しする狙いから、2026年4月より月額65万円まで引き上げられました。なお、令和8年度以降は、毎年の賃金変動に合わせて基準額が見直されていきます。
 
仮にラインを超えた場合の受給額は「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-65万円)÷2」で計算されます。
 

「総報酬月額相当額+基本月額」で支給停止ラインを超えていないかが分かる

先ほど触れた通り、「総報酬月額相当額+基本月額」が改正後ラインの65万円を上回ると、年金の一部または全部が支給停止の対象となります。
 
自分が基準を超えていないか把握するためにも、2つの金額の出し方を確認しておきましょう。
 

総報酬月額相当額の求め方

日本年金機構の解説では、総報酬月額相当額の計算式は次のように示されています。
 

「(該当月の標準報酬月額)+(該当月以前の1年間の標準賞与額の合計)÷12」

 
標準報酬月額とは、一定の金額ごとに区分された報酬月額に、本人の税金が引かれる前の給料を当てはめた金額です。標準報酬月額は、日本年金機構の「厚生年金保険料額表」で確認できます。
 

基本月額の求め方

基本月額とは、老齢厚生年金の1ヶ月当たりの金額のことです。そのため、老齢厚生年金の目安の求め方が分かれば、基本月額の目安を算出できます。
 
日本年金機構によると、年金額の計算の基礎となるものを報酬比例部分と呼びます。報酬比例部分の求め方は、厚生年金保険に加入した時期によって異なり、次の通りです。
 

・平成15年3月以前に加入:平均標準報酬月額×1000分の7.125×平成15年3月までの加入月数
・平成15年4月以降に加入:平均標準報酬額×1000分の5.481×平成15年4月以降の加入月数

 
平均標準報酬月額とは、標準報酬月額の加入期間中の総数を加入月数で割った金額です。
 
一方、標準報酬額は、標準報酬月額と標準賞与額の総数を加入月数で割った金額を指します。標準賞与額は、税金が引かれる前の賞与の1000円未満を切り捨てた金額で、支給1回(1ヶ月)あたり150万円が上限です。また、年3回以下で支給される賞与に限られます。
 
例えば、平成15年4月以降に厚生年金保険に加入した場合、まずは平均標準報酬額を求めましょう。その後、報酬比例部分の金額を計算後、「報酬比例部分÷12ヶ月」で基本月額の目安が分かります。
 

令和8年度時点で給料と老齢厚生年金の月額合計が65万円を超えなければ全額受け取れる可能性がある

在職老齢年金を受給中の方で、給料の月額と年金の基本月額を合算した数字が、年度ごとに定められた基準を上回ると、年金の一部または全部が止められる仕組みです。
 
旧基準は51万円でしたが、令和8年度には65万円へ拡大されています。毎年度の基準額は、賃金の動きを踏まえて再設定される点も覚えておくとよいでしょう。
 
ご自身が対象にあたるかどうか不安な方は、まず総報酬月額相当額と基本月額を試算するところから始めてみてください。2つを合算した額が、その年度の基準内に収まっていれば、年金は満額が支給される計算です。
 

出典

日本年金機構 60歳以降も引き続き勤めます。勤めていても年金は受けられますか。
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 在職老齢年金制度が改正されました
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和8年度版)
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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