64歳の母に「年金未納期間」が“2年”あることが発覚! 任意加入より「パートで月9万円」稼ぐほうが、年金額が増えて得ですか? それぞれの結果をシミュレーション
しかし、なかにはさまざまな事情で納められなかった人もいるでしょう。未納期間が2年あった場合、65歳まで国民年金に加入するか、月9万円のパートで働くか、どちらが年金額をより増やせるのでしょうか。
今回は国民年金の任意加入できる条件を解説し、どちらが年金を増やせるのかシミュレーションを行います。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
国民年金の任意加入とは
老齢基礎年金は、20歳~60歳までの40年間の国民年金の加入期間に応じて年金額が計算されます。もし、60歳までに40年の納付済み期間がない場合や、受給資格を満たしていない場合、60歳以降でも国民年金に任意加入できます。
任意加入するためには、次に挙げる1~4の条件をすべて満たさなければなりません。
1.60歳以上65歳未満で日本国内に住所を有していること
2.老齢基礎年金の繰上げ受給をしていないこと
3.20歳以上60歳未満までの保険料を納めた月が480月未満であること
4.厚生年金保険、共済組合などに加入していないこと
また、受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の人、外国に居住する20歳以上65歳未満の日本人も加入できます。
国民年金に任意加入か月9万円のパートのどちらが年金額をより増やせる?
それでは、64歳の人が1年間国民年金に任意加入するか、月9万円のパートで働くか、どちらが年金額を増やせるのでしょうか。実際にシミュレーションしてみましょう。
1年間任意加入をした場合
まずは任意加入を1年間した場合、年金額をいくら増やせるのか計算してみます。令和8年度の場合、老齢基礎年金の満額は84万7300円(昭和31年4月1日以前生まれの人は84万4900円)であることから、次の計算式で1ヶ月加入したときの年金額を求められます。
84万7300円×1ヶ月/480月=1765円
国民年金保険料を1ヶ月納めると年金額が1765円増え、1年間にすると2万1180円となります。なお、令和8年度の国民年金保険料は1ヶ月あたり1万7920円、1年にすると21万5040円です。
また、国民年金には付加年金があります。付加年金とは、月額400円の付加保険料を年金保険料と合わせて納めると、付加保険料を納めた月数×200円が年金額に上乗せされるというものです。1年間付加保険料を納めると付加年金が2400円増え、先ほどの年金額と合わせると2万3580円となります。
月9万円のパートで働いた場合
月9万円のパートで働いた場合、年金額はいくら増やせるのでしょうか。社会保険に加入すると老齢厚生年金が受け取れ、次の計算式が年金額となります。
年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額
2003年以降の加入期間における報酬比例部分の計算式は、次の通りです。
平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数
平均標準報酬額を9万円とした場合、1年に増える年金額は次の計算式で求められます。
9万円×5.481/1000×12ヶ月=約5919円
経過的加算とは、20歳未満や60歳以降に厚生年金保険に加入していた場合に、老齢厚生年金に上乗せして支払われる金額のことです。老齢基礎年金の金額は、20歳から60歳までの加入期間を基に計算されるため、20歳未満や60歳以降の加入期間は反映されません。そのため、その期間の定額部分相当額が老齢厚生年金に加算されます。
経過的加算額は図表1の計算式で求められます。
図表1
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
なお、昭和31年4月1日以前生まれの人は※が84万4900円になります。
今回のケースは64歳であることから、定額部分の計算式は次のようになります。
1766円×生年月日に応じた率×被保険者期間の月数
今回のケースを当てはめると、次の計算式で定額部分を求められます。
1766円×1.0×12ヶ月=2万1192円
20歳から60歳までの厚生年金の加入期間を0とすると、先ほどの報酬比例部分5919円と2万1192円を合わせた2万7111円が増やせる年金額となります。
国民年金に1年間任意加入したときよりも、月9万円のパートで働いたときのほうが、年金額が3531円増えることが分かりました。
なお、月9万円で働いた場合の厚生年金保険料は1ヶ月あたり8052円、1年にすると9万6624円となります。ほかにも、健康保険料や雇用保険料がかかり、手取りは7万7000円ほどです。
家計状況や健康状態を考慮して自分に合った選択をしよう
今回シミュレーションした結果では、1年間国民年金に任意加入するよりも、9万円のパートをしたほうが年金額をより増やせることが分かりました。
厚生年金は原則として70歳まで加入できます。そのため、加入期間が長く、収入が多いほど年金額を増やせます。しかし、無理をして体調を崩してしまっては本末転倒です。自身の家計状況や健康状態などをよく考慮した上で、自分に合った選択をしましょう。
出典
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 た行 定額部分
執筆者 : 金成時葉
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

