夫は55歳「年収1200万円」なので、万一の場合「遺族年金で十分暮らせる」と思ってたのに…受給額は“月12万円”だけ!? 高年収なのに「少なすぎ」じゃないですか? 意外と貰えない理由とは
50歳専業主婦のAさんも、55歳の夫の万一のことを考えるようになったと言います。とは言え、Aさんの夫の年収は1200万円あり、Aさんは「高年収だから遺族年金で十分暮らせる、月20万円はもらえるはず」と思っていました。
しかし、実際のシミュレーションの結果に、Aさんは絶句することになります。
本記事では、夫の年収1200万円の場合の遺族年金額のシミュレーションを元に、年収が高ければ遺族厚生年金も多いというわけではないことを分かりやすく解説します。
ファイナンシャルプランニング技能士1級、介護福祉士
遺族厚生年金の受給要件の確認
会社員の場合、ほとんどの人が厚生年金に加入しているため、万一のことがあったとき、以下の条件を満たせば遺族に遺族厚生年金が支給されます。
・厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
・厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡 したとき
・老齢厚生年金の受給権者であった人が死亡したとき
・老齢厚生年金の受給資格を満たした人が死亡したとき
そのため、今、Aさんの夫に万一のことがあった場合、Aさんは受給要件を満たします。
年収1200万円の55歳夫、子どもが独立したAさんの遺族厚生年金シミュレーション
Aさんの夫は、大学卒業後に現在の金融機関勤務となりました。現在55歳で、厚生年金への加入歴は、2003年以前の加入期間が9年、その後現在までの加入期間が23年です。
2003年までの標準報酬月額を23万円、その後の23年の標準報酬月額を65万円としてシミュレーションしたところ、遺族厚生年金の報酬比例部分は、年間87万207円となります。なお、子どもが独立しているため、遺族基礎年金は受給できません。
※実際の受給額は加入期間や賞与、標準報酬月額などによって異なります。
遺族基礎年金は受給できないが、中高齢寡婦加算は支給される
中高齢寡婦加算の支給対象は、以下のいずれかに該当する場合です。
・夫が亡くなったとき 40 歳以上 65 歳未満の妻が、生計を同じくしている子がいないとき
・遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳(障害等級によっては20歳未満)に到達したとき
Aさんは子どもが独立しているため、これに該当し、年額63万5500円が上乗せされます。
これにより、Aさんが受け取る遺族厚生年金は、年間150万5707円となります。月額にすると12万5000円程度です。
Aさん絶句……年収1200万円なのに、月12.5万円程度なの?
年収1200万円と言えば、基礎控除や社会保険料以外の控除を考慮しない場合の手取り額は約831万円程度で、月69.3万円使える生活です。 Aさんは、夫の年収が高いため、老後の資産は退職金でなんとでもなると思っていたと言います。
仮に退職金が2500万円支給された場合、Aさんは、毎月12.5万円の年金と、退職金2500万円で、残りの人生を生活して行くことになります。人によっては十分だと思うかもしれませんが、月69.3万円を使える生活と違ったものになることは明らかです。
また、夫は毎年約369万円の税金・社会保険料を支払っているにもかかわらず、万一の際の遺族年金は月12.5万円という現在の生活水準とのギャップに、Aさんは驚きを隠せなかったようです。
まとめ
夫の年収が高いから、遺族年金も十分もらえるはずと思っていた人が、実際に受け取って「こんなに少ないのか」と驚くことは少なくありません。
また、年収が高い場合は特に、収入金額も大きく、退職金への期待も高いため、貯蓄に取り組まなくても大丈夫と思っている世帯が一定数存在します。
しかしながら現実は厳しく、Aさんは、夫婦で月69.3万円の生活から、自分一人とは言え、月約12.5万円程度の生活になる可能性があるのです。
遺族年金は、現在の年収がそのまま反映されるわけではありません。「年収が高いから大丈夫」と思っていても、実際に試算すると想像以上に少ないと感じるケースもあります。万一の際に必要な生活費と、実際の受給額との差を一度確認しておくことも大切かもしれません。
出典
国税庁 No.2260 所得税の税率
厚生労働省 主要労働統計表
執筆者 : 藤田寛子
ファイナンシャルプランニング技能士1級、介護福祉士
