結婚35年、妻から突然「離婚したい」と言われました…。私の年金は「月18万円」の見込みですが、離婚すると半分取られるのでしょうか? 年金分割の仕組みを確認
しかし、離婚時の年金分割は、受給予定の年金額をそのまま半分にする制度ではありません。対象となる年金には範囲があり、分割方法にもルールがあります。
そこで今回は、離婚時の年金分割の仕組みや対象となる年金、月18万円の年金見込みがある場合の考え方について解説していきます。
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離婚したら年金は本当に半分になる?
結論からいうと、離婚したからといって年金全体が半分になるわけではありません。
法務省によると、離婚時の年金分割とは、「お二人の婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して,それぞれ自分の年金とすることができる制度」です。離婚後に受け取る年金額そのものを半分ずつに分ける制度ではありません。
そのため、「将来の年金が月18万円だから、離婚したら必ず月9万円になる」という理解は誤りです。
年金分割には主に「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。合意分割は夫婦の話し合いや裁判所の手続きによって分割割合を決める方法です。一方、3号分割は、会社員や公務員の扶養に入っていた配偶者が請求することで利用できる制度で、対象期間の厚生年金記録を2分の1ずつ分割します。
ただし、どちらの場合も対象となるのは厚生年金の記録であり、年金全体ではない点が重要です。
年金分割の対象になる年金とならない年金
年金分割を理解するうえで大切なのは、どの部分が分割対象になるかを知ることです。
日本の公的年金は、大きく分けて「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」で構成されています。老齢基礎年金は、原則として20歳から60歳までの加入実績に基づいて支給される年金です。この部分は離婚時の年金分割の対象にはなりません。
一方で、会社員や公務員として働いていた期間の給与や賞与を基に計算される老齢厚生年金については、婚姻期間中の記録が分割対象になります。
例えば、夫が会社員として40年間働き、そのうち35年間が婚姻期間だった場合、合意分割では原則としてその35年間の婚姻期間中の厚生年金記録が分割の対象となります。3号分割では、そのうち2008年4月1日以後の婚姻期間中に第3号被保険者だった期間に対応する相手の厚生年金記録が対象となります。
つまり、結婚前に積み上げた厚生年金記録や、基礎年金部分まで分割されるわけではありません。この仕組みを理解すると、「年金が全部半分になる」というイメージとは大きく異なることが分かるでしょう。
月18万円の年金見込みならどのくらい影響する?
月18万円という年金額が示されても、実際にどれだけ影響するかは人によって異なります。なぜなら、18万円の内訳が分からないからです。
例えば、老齢基礎年金が月6万円程度、老齢厚生年金が月12万円程度だった場合を考えてみましょう。年金分割の対象になるのは厚生年金部分だけです。さらに、その厚生年金のうち婚姻期間などに対応する記録のみが対象になります。
また、実際には年金額そのものではなく、厚生年金の計算の基となる標準報酬の記録を分割する仕組みです。そのため、「月12万円が6万円になる(50%分割)」と単純計算できるものではありません。
正確な影響を知りたい場合は、年金事務所で「年金分割のための情報提供」を請求すると、分割対象期間や分割割合などの情報を確認できます。離婚を検討している段階でも情報提供の請求は可能なので、不安がある場合は早めに確認するとよいでしょう。
離婚後の年金不安を減らすために制度を正しく理解しよう
離婚時の年金分割は、受給予定の年金全額を半分にする制度ではありません。対象となるのは婚姻期間中などの厚生年金記録であり、老齢基礎年金は分割の対象外です。
そのため、月18万円の年金見込みがある人でも、離婚によって必ず月9万円になるわけではありません。実際の影響額は夫婦の働き方や婚姻期間、厚生年金の加入状況などによって異なります。
長年連れ添った夫婦が離婚を考える場合、財産分与や住まいの問題などと同様に、年金についても正しい知識を持つことが大切です。
制度を誤解したまま不安になるのではなく、年金事務所の情報提供制度などを活用しながら、自分の場合にどのような影響があるのかを確認しておくと安心でしょう。そうすることで、離婚後の生活設計もより現実的に考えやすくなります。
出典
法務省 年金分割
日本年金機構 離婚時の年金分割
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
