【FP解説】年金の「知らないと損!」 亡くなった後からでも請求できる

配信日: 2019.10.12

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【FP解説】年金の「知らないと損!」 亡くなった後からでも請求できる
みんなが加入しているのに、学校でも習わないし、 周りに知っている人も少ない年金制度。そのような理由からか、「さあ、もらおう」とすると、すでに手遅れになっている場合も。
 
「しまった!」と、ほぞをかまなくてもすむように、あらかじめ知っておきたい知識の数々をお伝えします。第2回は「亡くなった後からでも請求できる」です。
 
和田隆

執筆者:和田隆(わだ たかし)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。

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「生前に請求していたならば……」と考える

障害年金は、障害のある人が受給するものです。したがって、もし障害年金を受け取れる方が受け取らずに亡くなった場合、「もう障害年金は受給できない」と考えるのが自然です。そして、障害年金よりも遺族年金の方に関心が向くことでしょう。
 
でも、亡くなった後からでも障害年金を請求できる場合があるのです。「亡くなった人が生前に請求していたならば、当然に受給できたはず」と考えて、未支給年金として請求するわけです。
 

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受給するには、3つの条件

受給するには、次の3つの条件があります。
 
(1)初診日の加入要件と納付要件を満たしていること
(2)障害認定日に障害等級に該当していること
(3)年金を受け取る資格のある家族がいること

 
請求手続きは、普通に障害年金を請求する場合と大差はありません。ただ、裁定請求時点の診断書が提出できませんので、「症状が重くなったから」などという理由で行う事後重症請求はできません。障害認定日当時の症状で判断される、障害認定日請求に限られます。上記の「2」は、それを表しています。
 
「3」の家族は、配偶者、子、父母、孫らで、亡くなった人と生計が同じであったことが条件です。(※1)
 

時効があることにも注意

家族を亡くしたときは、気が動転していたり、気分が落ち込んでいたりで、なかなか年金のことまで気が回らないかもしれません。しかし、障害の程度や子の人数、保険料納付済み期間によっては、相当な金額になる場合があります。
 
また、請求時から5年以上前の障害年金は受給できないという時効制度がありますから、請求を遅らせるのは得策ではありません。
 

遺族厚生年金につながる可能性がある

亡くなった人の障害年金を請求することには、別の利点もあります。遺族厚生年金につながる可能性があるのです。
 
こんなケースです。A子さんの夫は、初診日が厚生年金の被保険者期間中にある傷病が悪化して亡くなりました。しかし、初診日から5年以上経過していましたし、厚生年金期間の前後の国民年金期間中は保険料の未納が多く、普通には、遺族厚生年金は受給できないことが分かっていました。
 
そこで、障害年金の未支給年金を請求したところ、障害認定日で障害等級3級が認められ、死亡時には、症状が悪化していたとして2級と認定されました。
 
おかげで、夫の障害年金を未支給年金として受給できたうえ、夫が2級の障害厚生年金受給権者として亡くなったことから、遺族厚生年金も受給できるようになりました。(※2)
 

「亡くなった後からでも…」 ぜひ覚えておきたい

障害年金は、亡くなった後からでも請求できるということを、ぜひ覚えておいてください。
 
(※1)日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」
(※2)日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」
 
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士


 

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