更新日: 2020.01.24 厚生年金

60歳以降も働き続ける場合、賞与が出る会社だと受け取れる年金額が変わるって本当?

60歳以降も働き続ける場合、賞与が出る会社だと受け取れる年金額が変わるって本当?
本来、老齢厚生年金を受けられる人が引き続き在職中の場合については、年金が支給されないことがあります。支給されるか支給されないかは、給与の額だけでなく、賞与の額にも影響されます。
 
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

在職中は年金がカットされることがある

60歳台前半の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)や65歳以降の老齢厚生年金を受けられる年齢になっても、在職中(厚生年金加入中)の場合は、給与(標準報酬月額)や賞与(標準賞与額)によっては年金の一部または全部が支給されないことがあります。
 
これが在職老齢年金制度で、支給停止の対象となってカットされる年金の月額は【図表1】のそれぞれの計算式で計算されます。
 
「ねんきん定期便」などでは将来受けられる年金は年額で表示されていますが、実際の年金は月単位で計算されるため、在職老齢年金制度による支給停止額の計算も月単位で行われます。
 

 
給与が高ければ年金は多くカットされますが、60歳台前半も65歳以降も、(2)にあるように、直近1年に受けた賞与も計算上、影響をおよぼします。
 

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賞与の額によって年金の支給停止額が変動することも!

60歳以降も継続雇用により勤務中の場合、会社によって賞与が出ることもあれば、出ないこともありますが、賞与が出る会社の場合は、その金額は業績により毎回異なることも多いでしょう。そうなると直近1年の賞与から計算する支給停止額と、支給停止額を差し引いた、実際に受け取れる年金額も変動することがあるでしょう。
 

 
例えば、【図表2】の場合で見てみると、給与の額は30万円で一定であるのに対し、賞与の支払いは6月、12月の年2回で、2018年6月が36万円、2018年12月が12万円、2019年6月が24万円、2019年12月が36万円です。
 
直近1年に受けた賞与を計算の対象としていますので、在職中、6月に受けた賞与は6月分から翌年5月分までの年金額の計算に影響し、12月に受けた賞与については12月分から翌年11月分までの年金額の計算に影響します。
 
賞与の額が変わった結果、年金の支給停止額、そして支給停止額を除いた実際の支給額も変わります。【図表2】の場合、最終的に2019年度(2019年4月~2020年3月)分全体で見て、本来、年間120万円の年金額に対し、95万円が支給停止となり、残り25万円が支給される計算です。
 
「今までは働きながら年金も受け取れたのに、急に年金がまったく出なくなった……」といったことが起きた場合、賞与が大きく増えている影響があるかもしれません。賞与が支給される会社に勤めている場合は給与だけでなく、賞与とその支給月にも注意を払う必要があるといえます。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー


 

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