年金から引かれる税金や社会保険料には、どんなものがある?

配信日: 2020.05.25

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年金から引かれる税金や社会保険料には、どんなものがある?
「年金」と聞くと、単純にもらうものというイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、実はさまざまな税や社会保険料が徴収されています。今回は、年金から引かれる税と社会保険料について解説します。
 
辻章嗣

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

老齢年金からは所得税などが源泉徴収される

老齢(退職)年金は、雑所得として扱われるため、所得税が課税されます。そして、一定額以上の年金収入がある方は年金から源泉徴収されます。
 
また、2013年(平成25年)1月1日から2038年(令和19年)12月31日までの間は、所得税に合わせて復興特別所得税も徴収されます(※1)。なお、遺族年金および障害年金は、非課税所得となるので課税対象にはなりません。

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源泉徴収の対象となる年金受給者とは?

年金受給者で、所得税および復興特別所得税が特別徴収される対象となる方は、以下のとおりです(※1、2)。
 
65歳未満:その年の年金収入額が108万円以上の方
65歳以上:その年の年金収入額が158万円以上の方
 
年齢は、当該年の1月1日現在の年齢をいいます。なお、これらの額を超えている場合でも、扶養親族等申告書を提出している場合で、以下の条件を満たす方は、所得税および復興特別所得税は徴収されません。
 
独身者で65歳未満 :年金月額9万円までの方
独身者で65歳以上 :年金月額13.5万円までの方

所得税のほかにも、社会保険料などが年金から特別徴収される

社会保険料や住民税の徴収方法には、普通徴収と特別徴収の2通りの方法があります(※3)。
 
普通徴収:区市町村から送付される納付通知書で本人が納めます。
特別徴収:給与所得者は給与から、年金受給者は年金から徴収されます。
 
したがって年金受給者も、市区町村の依頼に基づき、以下の社会保険料や税が年金から特別徴収されます(※4)。
 
・介護保険料
・国民健康保険料(税)
・後期高齢者医療制度の保険料
・個人住民税(障害年金および遺族年金を除く)

 
特別徴収は、老齢(退職)年金、また、障害年金および遺族年金も対象となります。

特別徴収の対象となる年金受給者とは?

社会保険料などの特別徴収対象者は、当該年の4月1日現在で以下の条件を満たす方となります。
 
・65歳以上(国民健康保険料はかつ75歳未満)であること
・特別徴収対象年の年金収入額が年額18万円以上であること

 
ただし、以下の額が年金受給額の2分の1を超える場合は、国民健康保険料(税)、高齢者医療制度の保険料は特別徴収の対象とはなりません。
 
・介護保険料と国民健康保険料(税)の合計額
・介護保険料と後期高齢者医療制度の保険料の合計額

 
なお、上記の特別徴収の対象にあたらず、対象年金から特別徴収されない場合は、普通徴収により保険料(税)が直接徴収されます。

まとめ

今回は、年金はもらうだけではなく、引かれるお金もあるということを見てきました。非課税枠を超える老齢(退職)年金には所得税が課税され、原則として年金から源泉徴収されます。
 
また、65歳以上の年金受給者は、社会保険料と住民税(遺族年金および障害年金受給者を除く)が原則として年金から特別徴収されます。ご自身の場合はどうなっているか、ぜひ確認してみてください。
 
[出典]
(※1)日本年金機構「Q年金から所得税および復興特別所得税が源泉徴収される対象となる人は、どのような人でしょうか。」
(※2)日本年金機構「Q老齢年金から所得税および復興特別所得税が源泉徴収されていませんが、なぜでしょうか。」
(※3)東京都主税局「特別徴収Q&A」
(※4)日本年金機構「年金からの特別徴収」
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士


 

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