更新日: 2020.08.19 iDeCo(確定拠出年金)

確定拠出年金制度。預貯金・保険・投資信託それぞれで運用した場合、40年後、老後のお金はどれぐらい貯まっていくの?

執筆者 : 重定賢治

確定拠出年金制度。預貯金・保険・投資信託それぞれで運用した場合、40年後、老後のお金はどれぐらい貯まっていくの?
確定拠出年金制度を活用し、老後のお金の準備をしている方は多いかもしれません。
確定拠出年金制度では、預貯金や保険、投資信託と大きく3つの金融商品から銘柄を選び貯蓄・運用していきます。
 
このとき、老後の生活にあまり余裕があるとは思えないなら預貯金・保険などの安全資産を選び、逆にある程度余裕があると思うなら投資信託などのリスク資産を選ぶことになると思います。
また、これらを組み合わせてポートフォリオを作り、これを基にバランスを持たせていくという方法もあります。

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重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

預貯金・保険・投資信託の積立イメージ

お勤めの会社で確定給付年金制度に加入していて、これに加え企業型確定拠出年金制度にも入っているという場合、掛金の拠出限度額は年額33万円、月額2.75万円となっています。
この掛金は、会社によっては事業者が払ってくれるケースもあれば、事業者と加入者で折半して払うなどの場合もありますが、いずれにせよ、毎月2.75万円を用い、積み立てのようにコツコツ老後のためのお金を貯めていくことになります。
気になるのは、どの金融商品で積み立てていくかです。
単純に、利息や運用益などを考慮せず、元金だけで考えた場合、年間33万円の積み立ては、10年後に、330万円、20年後に、660万円、30年後に、990万円、そして40年後に、1320万円と増えていきます。
 
それでは、具体的に積み立ての結果を見ていきましょう。
 
○想定する金融商品:定期預金(5年物)
〔設定条件〕当初元本:33万円、毎年積立額:33万円、金利:0.05%/年、複利計算

※筆者作成

このシミュレーションでは、確定拠出年金制度の運用商品ラインアップのうち5年物定期預金を想定しています。
金利が0.05%/年と一般的な水準と比べ少し高めではありますが、安全資産である定期預金を利用する場合、ただでさえ金利が低いため最高水準のものを選ぶ必要があります。
毎月2.75万円、毎年33万円をコツコツ10年貯めていくと、10年後には330万9089円、20年後には663万4760円、30年後には997万7097円、そして40年後には1333万6184円になります。
このようにお金をコツコツ積み立てていくため、純粋に元本が少しずつ積み上がっていき、また福利効果により利息が雪だるま式に少しずつ増えているのが分かります。
 
○想定する金融商品:個人年金保険
〔設定条件〕当初元本:33万円、毎年積立額:33万円、金利:0.5%/年、複利計算

※筆者作成

このシミュレーションでは想定する金融商品を個人年金保険としています。
保険会社各社、利率が異なるため何ともいえませんが、ゼロ金利が長く続く今のような状況では、年利換算をすると個人年金保険の1年当たりの利率は0.3%/年前後から0.8%/年ぐらいに収まっているような気がします。
このため便宜上、金利を0.5%/年と仮定しシミュレーションをしています。
定期預金との違いは金利が高いことです。
10年後、20年後、30年後と年数を重ねた結果、40年後には元本と利息の合計額に約130万円の違いが出ていることが分かります。
ただし、個人年金保険は保険商品であるため、年齢によっても実質的な年換算利回りが影響を受けることから、保障内容なども含めあらかじめ確認した上で加入することが必要です。
 
○想定する金融商品:投資信託
〔設定条件〕当初元本:33万円、毎年積立額:33万円、平均利回り:3.0%/年、複利計算、分配金:考慮せず

※筆者作成
 
このシミュレーションでは、確定拠出年金制度で用意されている金融商品のうち投資信託を想定しています。
投資信託であるため金利や利率という概念ではなく期待利回りを基に複利計算を行っていますが、期待利回りは常に一定ではないことから、運用期間中、仮に平均で3.0%/年の期待利回りを得られたらという設定でシミュレーションを組んでいます。
 
また、投資信託によっては定期的に分配金が再投資されるものがありますが、シミュレーションの便宜上、これについては考慮していません。
平均的な期待利回りを年3.0%と仮定し、10年、20年、30年、40年と運用を続けていくと、最終的に40年後、2562万8888円となっています。
 
5年物の定期預金では、40年後、1333万6184円、個人年金保険では、40年後、1464万5282円であることから、元本と利息の合計額に大きな開きが生まれていることが分かります。
ただし、投資信託で運用する場合、相場の変動があるため当然ながら注意が必要です。
よく「積立投資」という言葉で語られていますが、投資信託を定期的に購入する場合、相場の変動があるため、安全性や安定性を想起させる積み立てという言葉は、もともと投資信託などの資産運用には存在しません。
単に一定額を定期的に買い付けているため積み立てという表現をしているだけにすぎず、このため投資信託は安全・安定的であると誤解を生じさせているように思います。
また、相場の変動により元本と運用益の合計額である評価額は積み立てのように運用しても日々変動しています。
 
上昇相場にあるときは上記のようなシミュレーションになりやすいですが、下落相場においては運用損失が生じる可能性があるため評価額は減ります。
このようなことから、投資信託で運用する際は、定期的なチェックと見直し、銘柄の入れ替え(スウィッチング)を行う必要があります。

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おすすめポイント

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まとめ

資産運用は、知識や技術があれば、原則、短期投資が一番リスク管理しやすい方法です。
確定拠出年金制度においては、現行の制度では、特別な事情を除いて60歳まで続ける必要があるため、投資信託を選ぶ場合、どうしても「長期分散投資」が求められます。
 
また、長期的なリスクコントロールをする必要があるため、定期預金や個人年金保険などとの組み合わせも考えながらポートフォリオを組む方法もあります。
いずれにせよ、確定拠出年金制度を活用した長期的な貯蓄・運用で重要なのは、定期的なチェックと見直しです。
 
特に、投資信託で運用する場合は、一度決めたらずっとそのままにするといった放ったらかし投資は運用上好ましいやり方とはいえないため、資産運用についてよく学びながら経験を積んでいくよう心掛けていきましょう。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)