更新日: 2020.11.23 その他年金

年金生活者支援給付金ってなに? どんな人がもらえるの?

年金生活者支援給付金ってなに? どんな人がもらえるの?
老齢年金、障害年金、遺族年金を受給されている一定所得基準以下の方には、2019年の消費税増税以降、年金の上乗せとして「年金生活者支援給付金」が支給されています。
 
年金支給日に同じ口座に別に振り込まれているため、制度を知らずに疑問を抱く年金生活者もいらっしゃいます。簡易な手続きなのですが、理解されていない方も多いようです。そこで今回は、「年金生活者支援給付金」の制度の概要、支給要件、手続きについてお伝えします。
大竹麻佐子

執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP🄬認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/

 

どんな制度なの?

2019年10月より消費税増税に伴い、一定所得基準以下の年金生活者に対して、生活の支援を目的として、年金に上乗せして支給される制度です。支給要件を満たしている限り、これまでの年金と同様に継続して受け取ることができます。
 
「年金生活者支援給付金」は、受け取る年金の種類や所得により、支給要件や支給額が異なります。要件を満たし、給付金を受け取るためには、日本年金機構への「認定請求」の手続きが必要です。
 
後述しますが、要件の一つである所得が基準を上回り、支給要件を満たさなくなったことで給付金を受け取れなくなった方も、その後、再び基準を満たした場合には、あらためて認定請求の手続きをすることで支給が再開されます。
 

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誰がもらえるの?

「年金生活者支援給付金」について、年金の種類ごとの支給要件は以下の通りです。
 
■老齢年金生活者支援給付金
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること
・同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
・前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が87万9900円以下であること
 
■障害年金生活者支援給付金
・障害基礎年金の受給者であること
・前年の所得が462万1000円以下であること(障害年金等の非課税収入は所得には含まれません。また、基準となる所得は扶養親族等の数に応じて増えます。)
 
■遺族年金生活者支援給付金
・遺族基礎年金の受給者であること
・前年の所得が462万1000円以下であること(遺族年金等の非課税収入は所得には含まれません。また、基準となる所得は扶養親族等の数に応じて増えます。)
 

いくらもらえるの?

「年金生活者支援給付金」の支給額は以下の通りです。
 
■老齢年金生活者支援給付金
月額5030円を基準に、保険料納付済期間等に応じた金額が支給されます。
算式(1) 5030円 × 保険料納付済期間/480月
(例)20歳から60歳までの40年間に未納がない場合は、
5030×480/480=5030円(満額)
 
保険料免除期間がある場合は、上記の算式(1)に以下の算式(2)を合計した金額です。
算式(2)-1(全額免除、3/4免除、半額免除の場合)
1万856円 × 保険料免除期間/480月
算式(2)-2(1/4免除の場合)
  5428円 × 保険料免除期間/480月
(例)20歳から60歳までの40年間のうち、35年納付、2年間未納、3年間半額免除の場合
(1)5030円 × 420月(35年×12)/480月 …4401円
(2)1万856円 × 36月(3年×12)/480月 …814円
(1)+(2)=合計5215円
 
加入義務である20歳から60歳までの40年間より、原則として、被保険者月数を480月で算出しますが、年金法改正前の昭和16年4月1日以前に誕生日のある方は、生年月日に応じた被保険者月数となります。
 
■障害年金生活者支援給付金
障害等級1級 6288円(月額)
障害等級2級 5030円(月額)
 
■遺族年金生活者支援給付金
5030円(月額)
ただし、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、子の数で割った金額となります。
(例)2人の子が遺族年金受給者である場合… 5030円÷2=2515円
 

手続きはどうやってすればよいの?

2019年10月から始まった年金生活者給付金は、日本年金機構において、毎年市区町村から提供される所得情報をもとに支給要件に該当するかどうかの判定をします。すでに受給しており、所得や家族構成に変動のない方は、あらためての手続きは不要です。
 

すでに老齢・障害・遺族年金を受給されている方

2020年度において、所得額が前年より低下したことなどにより、新たに対象となる方には、10月中旬より順次、日本年金機構から年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が送付されます。
 
その請求書に必要事項(マイナンバー・氏名・生年月日・住所・電話番号)を記入、切手を貼付のうえ、ポストに投函することで手続きは完了です。このほか、市区町村から提供された所得情報から要件に該当するか確認できない場合には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)および所得状況届などが送付されます。
 

これから老齢・障害・遺族年金を受給される方

年金の裁定請求手続きを行う際に、あわせて年金生活者支援給付金の手続きを行います。
 

給付額は改定があります

給付額は、物価の変動による改定(物価スライド改定)があるため、毎年度変わります。改定の際は、「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」が郵送されます。
 

給付金が支給されない場合

日本国内に住所がない、年金が全額支給停止、刑事施設等に拘禁されているとき、のいずれかの場合には、給付金は支給されません。
 

問い合わせ窓口は年金事務所や日本年金機構の電話

所得要件や受給の可否について、不明な点などがある場合には、給付金専用ダイヤルやお近くの年金事務所にお問い合わせください。
 
[出典]
日本年金機構「年金生活者支援給付金の簡易な請求書(はがき型)の送付について」
厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
日本年金機構「年金生活者支援給付金のお知らせ」
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士

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