更新日: 2019.08.21 年末調整
ダブルワークで2か所の会社から年末調整の用紙をもらった!どちらも出していいの?
年末調整の時期が近づいていますね。
2か所でお給料をもらっている場合、両方から年末調整の用紙をもらうことがあります。そんな時はどうしたらいいでしょうか?
執筆者:塚越菜々子(つかごし ななこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
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目次
そもそも、年末調整とは?
給料をもらっている人は、毎月その給料から「源泉所得税」という名前の税金が引かれ、仮払いしています。
税金の計算は1月から12月までで計算されて、その年にもらう給料が確定すると「本来納めるべき税金」が決まります。
毎月仮払いしてきて積み上げた「源泉所得税」の金額と、本来納めるべき税金には差が出ることがほとんどなので、その差を調整するのが「年末調整」です。
二か所以上で給料をもらっている場合、メインで働いているところ以外では年末調整はできないことになっています。
年末調整でもらう「扶養控除等(異動)申告書」はメインで働く会社にしか出せない
お給料を二か所からもらっている場合、毎月の給料から仮払いして引かれている「源泉徴収税額」は、メインの勤め先とそれ以外の勤め先とでは金額が違っています。
税金の仕組み上、メインの勤め先で引かれる源泉徴収税額は、金額を決める表の「甲欄」で算出し、それ以外の勤め先は「乙欄」で算出するという決まりになっています。
「扶養控除等(異動)申告書」を出したところがメイン(甲欄で算出)とみなされます。
メインと指定できるのは一つだけ。したがって年末調整の用紙を出せるのはメインの給与をもらっているところのみとなります。
国税庁:2か所以上から給与をもらっている場合の源泉徴収
https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2520.htm
本来は、勤め始める時にメインではないことを伝える
二つ目以降の仕事を始める時には、そこがメインではない旨をあらかじめ伝えて、源泉所得税を「乙欄」で計算してもらう必要があります。
正しく伝わっている場合は年末調整がされない状態で源泉徴収票が発行されます。ですが、会社にメインではない旨が伝わっていない場合は「扶養控除等(異動)申告書」が配布されることもあります。
その場合は、会社の担当者に「ここがメインではないため年末調整はしない」旨を伝えて用紙は提出しないようにしましょう。
ただし、実務上は住所や生年月日、世帯主の情報に変わりがないか確認するために年末調整を行わなくても記入を求められることがあります。
会社の担当者とコミュニケーションをとり、適切に処理が行われているか確認してください。
もし、両方に出してしまった場合は?
本来はメインの勤務先にしか出すことができない「扶養控除等(異動)申告書」ですが、会社は従業員が他の場所で働いているかを把握していることは少ないため、提出されれば受理されて両方で年末調整が行われてしまうことはあります。
その場合はそれぞれの会社で、年末調整が行われた後の源泉徴収票が発行されますので、両方を合わせて確定申告を行いましょう。
所得税は本来は両方の給料を合わせて計算されるものですので、それぞれの会社で計算された税金とは変わってくる可能性があります。
本来確定申告の義務がある場合に、申告をせず納税をしない場合は法律違反となってしまう場合もありますので注意しましょう。
自分がどのようにしたらいいかわからない場合は、税務署の問い合わせ窓口から電話で問い合わせることもできます。わからないまま放置することなく、しっかり確認して必要な手続きをしてくださいね。
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者