更新日: 2020.08.14 その他税金

住民税っていくらかかるの? 金額を抑えるためにはどうすればいい?

執筆者 : 石井美和

住民税っていくらかかるの? 金額を抑えるためにはどうすればいい?
住民税の決定通知を見て、「高い!」と思ったことはありませんか? この記事では住民税の仕組みや、住民税を安くする方法、住民税額がいくらになるかなどを紹介します。
 
住民税でお悩みの方は、参考にしてください。
石井美和

執筆者:石井美和(いしい みわ)

中央大学法学部法律学科卒業。
20年に渡り司法書士・行政書士事務所を経営し、不動産登記・法人登記・民事法務・許認可などに携わる。また、保険代理店を併設。なお、宅建士、マンション管理士など複数の資格を保有。

住民税とは

住民税は、市区町村および都道府県が課税する地方税です。
まず、住民税の仕組みを確認しましょう。
 

住民税のしくみ

住民税は以下の人と事業所に課税されます。
(1)市区町村・都道府県内に住所を有する個人
(2)市区町村・都道府県内に事務所、事業所または家屋敷を有する個人
 
(1)の「住所」は、1月1日(賦課期日)に居住する市区町村・都道府県です。
(2)は「個人事業主」や不動産を所有する「個人」が対象なので、注意しましょう。法人については法人住民税が課されます。
 
税額を自分で申告する所得税とちがい、住民税の額は、市町村が税額を計算、確定する賦課課税方式により決定されます。

均等割と所得割

住民税には、所得割額と均等割額があり、どちらが課されるかは納税者によりちがいます。
 
◇均等割と所得割◇

均等割 所得割
意味 一定以上の所得のある方に、
均等にかかる税金
所得に応じて課税される税金
1 市区町村・都道府県内に
住所を有する個人
あり あり
2 市区町村・都道府県内に
事務所、事業所または家屋敷を
有する個人
(1に該当する場合を除く)
あり ×(所得割はなし)

つまり、課税市区町村・都道府県に住んでいないけれども、事務所・事業所・家屋敷を所有している場合は均等割額のみ課税されるということです。
 

普通徴収と特別徴収

所得税と住民税のちがいは、所得税は国税、住民税は地方税である点です。
所得税は、確定申告や源泉徴収、年末調整により税額を確定する申告納税方式により納税しますが、住民税は原則として普通徴収によります。
 
◇住民税の普通徴収◇
普通徴収とは、納税通知書を送付されてきたら支払う形式です。
個人事業主の方などは、普通徴収により住民税を支払います。
納税通知書により支払うので、納付忘れや期限に遅れないように注意しなければなりません。
 
◇住民税の特別徴収◇
給与所得のサラリーマン・OLの方は、住民税は、「特別徴収」の方式で給与から天引きされています。
特別徴収とは、給与所得者の勤務先が、従業員の月々の給与から天引きして納税する形式のことです。
給料明細に所得税や健康保険などのほかに、天引きされる住民税額の記載を見たことがある方もいるのではないでしょうか?
 

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住民税はいくらになる?

実際に住民税がいくらになるか、気になりますね。
今回は、次のご家族につき、住民税をシミュレーションしてみましたので、参考にしてください。
 
◇家族例◇
・昭和50年生まれ
・月給50万円(ボーナス無し)、源泉徴収額月1万5000円 社会保険料 月7万5000円
・居住地 横浜市
・給与所得のみ
・配偶者(収入無)、10歳と5歳の子
・基礎控除以外に、控除・地震保険料など無し
 
◇シミュレーション結果◇
次の結果となりました。
 
・年税額 27万3100円
つまり、毎月約2万2000円の住民税が天引きされてしまいます。
 
内訳は以下の通りです。
・市民税の所得割額 21万3000円 均等割額 4400円
・県民税の所得割額 5万3900円 均等割額 1800円
 
このご家族例だと、毎月12万円ていど(社会保険料と所得税合わせて約10万円+住民税約2万円)、天引きされてしまうのです。
 
何とか、住民税を低く抑えたいですね。
 

どうすれば住民税の金額を抑えられるの?

同じ市区町村に住んでいても、住民税が高い方と、上手に節税できている方のちがいはなんでしょうか?
均等割りは原則として各人に課せられるので、所得割の額がちがうということです。
この所得割を抑える方法を考えれば、住民税を安くできます。
 

ふるさと納税

最近、国と自治体の紛争で話題になったふるさと納税。
ふるさと納税は住民税の節税になります
ふるさと納税した額のうち一定額を、住民税から控除することができるのです。
 
控除には「基本分」と「特例分」があります。
 
(1)住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税額-2000円)×10%
(2)住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税額-2000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)
 
ただし、特例分が住民税所得割額の2割を超える場合は、(3)の計算式となります。
(3)住民税からの控除(特例分)=(住民税所得割額)×20%
 
ふるさと納税の魅力は返礼品です。
楽しみつつ節税できるので、検討してはいかがでしょうか?
 
ふるさと納税による住民税の控除額については、総務省ホームページを参考にしてください。
 
<各種控除>
住民税の所得割は所得税と連動していますので、まずは、所得税を低く抑えるためにはどうしたらいいか考えましょう。
 
給与収入の方には、多くの経費は認められません。
そこで、医療費控除など、使える控除は何でもつかいましょう。
 
また、住民税の控除対象扶養親族が多ければ、住民税を低く抑えることができます。
ただし、16歳未満のお子さんについては、住民税の控除対象扶養親族ではありませんので、注意しましょう。
 

住民税非課税世帯とは?

一定の条件に当たる方には、住民税がかかりません。
・1月1日現在、生活保護受給をしている
・障害者、未成年者、寡婦、寡夫の方で、前年の合計所得が125万円以下の方
・前年の合計所得が以下の方
 35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の人数)+21万円
 同一生計配偶者・扶養親族がいない場合は、35万円
 
なお、住民税非課税世帯には、住民税の納税通知書は送付されません。
 

住民税の申告は必要?

原則として住民税は申告する必要がありません。
ただし、例外的に申告する必要があります。
 

どんな人が住民税の申告対象になる?

例外的に住民税を申告する必要があるケースは、以下のとおりです。
 
◇住民税申告が必要な場合◇
令和2年1月1日現在、現居住市区町村に居住し、令和元年(平成31年)1月から12月までの期間に次の事由に該当する場合
・「給与支払報告書」未提出(給与所得のあった方で居住する市区町村へ未提出)
・給与所得以外にも所得があった
・営業等、地代、家賃、配当、農業、年金などの所得があった
・令和2年1月1日現在、課税市区町村に居住していないが、事務所・事業所を有する場合
・住民税非課税世帯で
国民健康保険料などの減額・免除の申請
所得額の記載がある非課税証明書(公営住宅入所手続きなどに必要)の発行を求める場合
 
なお「公的年金等についての確定申告不要制度」に該当する方は、原則として、住民税を申告する必要はありません。
 
「公的年金等についての確定申告不要制度」とは、以下のすべての要件に該当する方にみとめられる制度です。
・公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下
・公的年金等にかかる雑所得以外の所得金額が20万円以下の方
公的年金等以外の所得がない場合
 

住民税の申告方法

次に、申告の方法を見てみましょう。
 
◇住民税申告に必要なもの◇
・申告書、印鑑(スタンプ式不可)
・収入および経費の分かるもの(平成31年1月から令和元年12月までの収入・支出)
・源泉徴収票、給与明細書、収入・必要経費の明細書等
・所得控除の領収書・証明書(平成31年1月から令和元年12月までの分)
・医療費控除の明細書、国民年金保険料、生命保険料等の証明書、障害者控除対象者認定書等(源泉徴収票に控除額が記入されている場合や所得のない方を除く)
・本人確認書類
なお、本人確認書類の種類や、窓口申請によるか代理によるかなど、詳細については、住民税課税市区町村におたずねください。
 

住民税における注意点

転職や転居したときに気をつけるべきことを確認しておきましょう。
 

転職したときの住民税は?

住民税の徴収期間は、6月から翌年5月であるため、転職したときの住民税支払い方法については、前の会社をやめた日によってちがいます。
 
◇退職した日が1月1日から4月30日◇
退職月以降の未納分が一括で天引きされます。
例:1月に退職、1月分の給料が2月に支払い 2月分から5月分まで、2月支払いの給料や退職金から天引きされる。
 
◇退職した日が5月1日から5月31日◇
5月分給料が6月に支払われるときに、5月支払い住民税が天引きされます。
 
◇退職した日が6月1日から12月31日◇
退職月の住民税は天引きされますが、退職月以降の未納分については、次の3つの方法を選ばなければなりません。
 
・転職先に退職時の一括徴収を頼む
この方法は、納付忘れがないので便利です。
ただし、一気に出費となるのが難点です。
また、前職の会社と関係性が悪くなっている場合、手続きを依頼するのもめんどうかもしれません。
 
・転職先の会社に特別徴収を頼む
この方法なら月々一定額が天引きされるので、1回の支払いが低く、納付忘れもありません。
ただし、自分で転職先に手続きを依頼する必要があります。
 
・普通徴収に切り替え
転職先に一括徴収や特別徴収を頼まない場合、納付書により何回かに分けて支払います。
この方法をとる方は、納付忘れのないように注意しましょう。
 

引っ越したときの住民税は?

「転出届・転入届の提出」を済ませていれば、住民税のためになにか手続きする必要はありません。
転出届・転入届未提出の場合は、従前の居住地の市区町村から納付書が届くこともあります。
住民税納付が滞ると過料に処せられることもあるので、必ず転出届・転入届を提出しましょう。
 

支払い忘れたらどうなるの?

住民税は、納期限を過ぎてしまっても、年度初めに送付された納付書を使用して支払えます。
その納付書をつかえる期限は、納付書裏面に記載してある「納付書の取扱期限」の日です。
 
ただし、納付書裏面記載の「納付書の取り扱い期限」内であっても、滞納処分通知が届くことがあります。
また、納付期限を過ぎてしまうと延滞料がつくケースもあります。
住民税を支払い忘れていたことに気づいたら、早めに、課税市区町村に確認して、支払いましょう。
 

まとめ

お給料から天引きされている方も、納付書で支払っている方にとっても、住民税の負担は、重いのではないでしょうか?
特に、前年度にくらべて今年は収入が減ってしまうと、住民税が家計を圧迫しかねません。
そんな事態にならないように、所得額を抑えるなどの節税対策をしっかりと行いましょう。
住民税の額や支払い時期など困ったことがあれば、早めにお住いの市区町村に相談してください。
 
出典:
豊島区「住民税の計算方法」
総務省
総務省「ふるさと納税の仕組み」
板橋区「令和2年度住民税の申告について」
横浜市「市民税の納付について」
横浜市「あなたの個人住民税(市民税・県民税)がいくらになるか試算できます。」
 
執筆者:石井美和