更新日: 2021.02.02 控除
健康に気を使ってサプリメント購入!これって医療費控除の対象になる?ならない?
不妊治療は健康保険が適用されない自由診療の治療も多いため、医療費控除の対象にならないと思われがちですが、医療費控除の対象になります。不妊治療の費用について医療費控除を受ける際の注意点を確認しておきましょう。
執筆者:宮野真弓(みやのまゆみ)
FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
子育てファミリーや妊活カップルのライフプランニングを中心に活動しています。
結婚や妊活、出産、住宅購入など人生のターニングポイントにおけるお悩みに対して、お金の専門家としての知識だけでなく、不妊治療、育児、転職、起業など、自身のさまざまな経験を活かし、アドバイスさせていただきます。
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医療費控除の基本
医療費控除とは、1月1日~12月31日までの1年間にかかった医療費が10万円(※1)を超えた場合に、確定申告をすることで所得税と住民税を軽減することができる制度です(※1その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%の額)。
医療費控除の対象になるのは、「1年間に実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-10万円(※1)」です。
特定不妊治療費助成金などを受け取った場合には、「保険金などで補てん金額」として医療費から差し引きます。
例えば、体外受精を行って45万円を支払い、特定不妊治療費助成金15万円を受け取った場合、45万円-15万円-10万円=20万円となり、20万円が医療費控除の対象になります(所得金額が200万円以上の場合)。
この20万円がそのまま税額から軽減されると考える人が多いですが、実際にはこの金額に税率をかけた金額が軽減されます。
上記の例で、課税所得が350万円の人の場合、所得税の税率は20%なので、所得税が4万円安くなります。また、住民税は所得にかかわらず一律10%なので、上記の例だと2万円が軽減され、所得税と合わせて6万円安くなります。
医療費控除は、自分の医療費だけでなく、家族の医療費も合算することができます。また、医療費控除は家族のうち誰が行っても構わないので、所得税の税率が高い人がした方が大きな効果が得られます。
控除の対象になるもの、ならないもの
医療費控除の対象になるかどうかは、治療や診療のための費用かどうかで決まります。
例えば、病院で支払う診察代や医師の処方で購入した薬代はもちろん、治療のために購入した市販薬の費用も対象となります。
不妊治療の費用は、健康保険の対象の治療も、自由診療の治療も、医療費控除の対象になります。さらに、妊娠後の妊婦検診の費用や分娩費も対象です。
一方、予防接種の費用、自分の希望で生じた入院時の差額ベッド代、健康増進のためのサプリメント代、自分で買った排卵検査薬や妊娠検査薬の費用などは対象外です。
また、交通費は、バスや電車などの公共交通機関の費用は対象になりますが、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は対象とはなりません。
医療費控除を受けるには、領収書やレシートをもとに作成した明細書が必要です。健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」などがあれば、明細書の作成は不要です。いずれもなくさずに保管しておきましょう。
医療費控除は確定申告が必要なため、ちょっと難しそうな感じもしますが、不妊治療は金額も大きく、利用しない手はありません。
インターネットでも手続きができますし、電話や窓口での相談も無料です。治療費を軽減するためにも、今から少しずつ準備をして、ぜひ年明けの確定申告にトライしてみてください。
Text:宮野真弓(みやのまゆみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
FPオフィスみのりあ代表