更新日: 2024.01.19 控除

給与から差し引かれる金額が大きくて… 実は、社会保険料は節税できる大きな経費!

執筆者 : 前田菜緒

給与から差し引かれる金額が大きくて… 実は、社会保険料は節税できる大きな経費!
給与明細を見て、差し引かれる社会保険料の金額の大きさにため息をついたことはないでしょうか。給与口座には、額面とはほど遠い金額が振り込まれます。
 
しかし、社会保険料には節税の機能があります。社会保険料を納めることによって、実は税金が少なくなっているのです。本記事で、社会保険料で節税できる仕組みについてお伝えします。
前田菜緒

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)

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社会保険料を納めると社会保険料控除が使える

所得税や住民税は、給与から各種控除を差し引き、税率をかけて求められます。控除とは、経費と考えると分かりやすいでしょう。額面給与を売上と考えると、売上から経費を差し引いたもうけに対して税金がかかります。
 
年末調整でその年に支払った生命保険料を申告すると思いますが、それは生命保険料控除という生命保険料を経費とみなしてくれる制度があるためです。同様に、社会保険料も経費です。年金や健康保険料等、雇用保険料などは社会保険料控除という経費に分類されます。
 
生命保険料控除は自分で申告しますが、社会保険料控除は自動的に差し引かれているため節税できていることがほとんど認識されません。しかし、源泉徴収票の「社会保険料等の金額」には年間で支払った社会保険料の金額が記載され、その金額は経費として差し引かれています。
 

社会保険料を増やして節税する方法

社会保険料を納めると節税できるわけですから、普段納める社会保険料以外の保険料を納めると節税額を増やすことができます。例えば、以下のような社会保険料が該当します。
 
■生計が同じ家族の社会保険料
・同居している親の健康保険料や介護保険料
・子どもの国民年金保険料
 
■過去に未納や免除、猶予としていた期間の年金保険料
(ただし未納は2年、免除や猶予は10年以内でないと追納できません。)
 
これらを納めると、納めた人の社会保険料を控除できます。手続き方法は、年末調整の際に納めたことが分かる書類を添付して申告、あるいは確定申告します。
 

保険料を負担するのは社会保険サービスを受けるため

給与明細から差し引かれている金額が大きいと、決してうれしい気持ちにはなりません。社会保険料は控除額のうち、一般的には占める割合が大きい項目です。
 
しかし、同時に節税になっていることを考えると少し見方が変わりませんか?社会保険料を納めているからこそ医療費は3割で済みますし、高額療養費制度も適用されます。病気やけがで働けなくなると、障害年金が支給されます。
 
税制や社会保険制度に対して誤解があると、家計運営の方向性も間違ってしまいます。誤解のないように正しい知識をつけ、賢く家計運営を行っていきましょう。
 
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

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