4年前、妻が「育休」で年収が「100万円」ほどになりました。「その年だけ扶養に入れればよかったのに……」と言われたのですが、もう遅いですよね?
配信日: 2025.01.16
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
過去の年末調整は訂正できる?
結論から言うと、今回のケースでは訂正可能です。本来、納めるべき税額より多く納税してしまった場合は、納めすぎの税金は還付を受けることができます。しかし、年末調整後の修正期限は翌年1月末までです。
今回のケースでは、4年たっているため、会社で修正してもらうことはできません。したがって、自分自身で還付の手続きを行う必要があります。これを還付申告と言いますが、還付申告ができるのは、還付申告をする年分の翌年1月1日から5年間です。
産休や育休で妻が扶養に入れる条件
今回、妻の年収が減ったことで夫は「配偶者控除」を受けることができます。配偶者控除とは納税者本人の所得が1000万円(給与収入のみの場合、年収1195万円)以下の場合に、配偶者の所得が48万円(給与収入のみの場合、年収103万円)以下の場合に受けられる控除です。控除額は納税者本人の所得によって異なり、図表1のとおりです。
【図表1】
なお、配偶者の所得が48万円を超えていたとしても、133万円以下であれば配偶者特別控除を受けることができます。
受けられる還付はいくら?
それでは、還付申告をするといくら税金が戻ってくるのでしょうか。
夫の年収が500万円とすると、上の表より控除額は所得税38万円、住民税33万円です。夫の所得税率が10%だとすると、所得税は38万×10%=3.8万円ほど、住民税は税率が10%のため33万×10%=3.3万円ほど、合計約7万円の還付となりそうです。
なお、税務署で還付申告を行えば、改めて住民税の還付手続きをする必要はありません。
還付申告の方法
還付申告は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から行うことができます。マイナンバーカードがあれば電子申告も可能で、スマホから申告もできます。電子申告であれば、税務署に行く必要はありませんし、還付金の受け取りも書面提出に比べると早いため、おすすめです。
手続きの詳細については、国税庁から動画が配信されていますから、参考にされてみてはいかがでしょうか。
今回、4年前の税の訂正になりますから、訂正できる期限はあと1年です。早めに手続きをして還付を受けてください。
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士