控除限度額を超えて寄付してしまったら「確定申告のほうが得になる」って本当? 限度額超えで得する人・損する人の違い

配信日: 2025.12.24
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控除限度額を超えて寄付してしまったら「確定申告のほうが得になる」って本当? 限度額超えで得する人・損する人の違い
ふるさと納税は、控除限度額の範囲内で寄付すれば、実質負担は2000円に抑えられる仕組みとして知られています。一方で、「限度額を超えて寄付してしまっても、確定申告をすれば得になる」という話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
 
ふるさと納税は、制度の仕組みを正しく理解しないまま寄付をすると、思わぬ自己負担が発生する可能性もあります。そこで本記事では、控除限度額を超えた寄付が本当に得になるのかを、税金の仕組みから整理し、どのような人が得をしやすく、どのような人が注意すべきかを解説します。
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控除限度額の仕組みと税金が戻る上限

ふるさと納税による税控除は、所得税の還付と住民税の控除によって成り立っています。この合計額には上限があり、それがいわゆる「控除限度額」です。
 
控除限度額は年収だけで決まるものではなく、社会保険料の金額、扶養家族の人数や年齢区分、各種控除の状況などによって変動します。限度額の範囲内であれば税金が軽減されますが、これを超えた寄付分については、原則として税金は戻りません。
 
この点は、ワンストップ特例制度を利用した場合でも、確定申告を行った場合でも同じです。申告方法によって、控除の上限が変わることはありません。
 

「確定申告のほうが得」と誤解されやすい理由

「確定申告のほうが得になる」と言われる背景には、制度の仕組みが十分に理解されていないことがあると考えられます。
 
特に多いのが、控除限度額を超えて寄付をした場合でも、確定申告を行えば税金が戻るのではないかという誤解です。しかし実際には、申告方法にかかわらず、控除の上限は変わりません。
 
また、医療費控除や住宅ローン控除の初年度など、もともと確定申告が必要な人が、結果的に確定申告を行っているケースもあります。この場合でも、ふるさと納税による控除額が増えるわけではなく、複数の手続きをまとめて行っているにすぎません。
 
なお、ふるさと納税で確定申告が必要になるのは、限度額を超えた場合ではなく、もともとの税務上の状況によるものです。例えば、医療費控除を受ける場合や、住宅ローン控除の初年度、給与所得以外の所得がある場合などは、確定申告が必要になります。また、寄付先が6自治体以上になるなど、ワンストップ特例制度の要件を満たさない場合も確定申告を行うことになります。
 

限度額を超えた寄付で得する人・損する人

控除限度額を超えて寄付をした場合、その分は全額自己負担になります。ただし、必ずしも全員が「損をした」と感じるわけではありません。
 
例えば、返礼品を通常の買い物と同じように捉え、価格や内容に納得している人にとっては、税制メリットがなくても満足度の高い支出になる場合があります。
 
一方で、超えた分も税金で戻ると思い込んで寄付をした人は想定外の出費となりやすく、家計管理の面でマイナスになりがちです。特に年末に駆け込みで寄付をした場合や、収入見込みが変わった年は注意が必要です。
 

事前確認が家計を守るポイント

ふるさと納税を上手に活用するには、寄付前に控除限度額を把握することが重要です。年収の変動や控除内容によって限度額は変わるため、あくまで目安として考え、余裕を持った金額設定を意識することが家計の安定につながります。
 
税金が戻ることを前提にせず、「自己負担が発生しても納得できるか」という視点で判断することが、想定外の負担を防ぐポイントです。
 

ふるさと納税の仕組みを理解して納得のいく寄付をしよう

ふるさと納税は、制度の仕組みを正しく理解すれば、税負担を調整しながら地域を応援できる仕組みです。
 
一方で、控除限度額を超えて寄付をした場合に、「確定申告をすれば得になるのではないか」と誤解されやすい点には注意が必要です。申告方法にかかわらず、税控除には上限があり、限度額を超えた分が戻ることはありません。
 
確定申告は、あくまで税務上必要な人が行う手続きであり、得か損かを選ぶための制度ではありません。控除限度額や自身の所得状況を踏まえたうえで、寄付額を判断することが重要です。制度の特徴を整理し、期待と現実のズレを防ぐことで、後悔のないふるさと納税につながるでしょう。
 

出典

総務省 ふるさと納税ポータルサイト
国税庁 No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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