25年前に贈った「金のネックレス」を妻が売却!「今1グラム3万円近いから」と言いますが、買ったのは僕…夫婦なら“半分もらう権利”がありますよね? 所有権は誰にあるのか確認
しかし、夫婦間であっても、法律上の所有権や財産の扱いは明確に定められています。
本記事では、プレゼントの所有権を含めた夫婦間の財産について、なぜ普段使っていた古いネックレスが購入時の数倍の価格になったのか、また売却時にかかる税金について、FPの視点から分かりやすく解説します。
ファイナンシャルプランニング技能士1級、介護福祉士
目次
夫に「半分もらう権利」はない? 財産のルールを確認
結論から言えば、今回のようなケースでは、法的には夫に「半分もらう権利」は認められない可能性が高いといえます。
プレゼントはなぜ妻だけのものになるのか
日本の民法では、結婚後に夫婦が協力して築いた財産は、夫婦ふたりのもの「共有財産」とされます。
一方、結婚前から持っていた資産や、婚姻中であっても「特定の個人が自身のものとして取得した財産」は「特有財産」とされ、妻や夫それぞれの所有財産として扱われます。
プレゼントのネックレスは、妻個人が使用する目的で贈られたものであるため、法律上は妻の「特有財産」となります。
意外と身近な贈与、プレゼントも贈与になる
贈与というと堅苦しいイメージがありますが、プレゼントも「贈与契約」の1つです。贈与が成立するには、次の3つの条件が必要です。
(1)贈る夫(贈与者)の「あげる」いう意思表示
(2)もらう妻(受贈者)の「もらう」という同意
(3)最後に、実際に財産が渡されていること
プレゼントは、夫が妻に贈り、妻が受け取る、妻個人が所有し使うものとなるため、この3つの条件がそろう「贈与契約」になります。
購入資金が夫のものでも半分もらう権利はない
たとえ購入資金が夫の給与から出されていたとしても、プレゼントを妻が受け取った時点で妻に所有権が移り、妻の「特有財産」となります。その後いくら価値が上がったとしても、先ほどの3つの条件がそろった時点で「贈与契約」が成立し、所有権は妻に移るため「夫に利益を請求する権利」はありません。
なぜ25年前の使い古された金のネックレスが数倍の価格となるのか
未使用の新品で保管状態の良いアクセサリーならまだしも、なぜ妻が普段使っていたネックレスが、購入した金額の何倍もの価値となるのでしょうか。
ブランド品でなくとも「素材としての金そのもの」の価値が上がった
この背景には、近年の金価格の高騰があります。
田中貴金属工業の公表データによると、2001年の金価格(年平均)は1グラムあたり1105円でした。2026年2月では2万8000円ほどとなっており、25年前と比較すると約25倍の水準です。
以前の金のアクセサリーの価値は、金そのものの価値より、ブランド品であるかどうかで、価格が左右されており、販売価格に対して付加価値の占める割合が高い傾向にありました。
しかし、現在は金の価値そのものが高騰しているため、普段使いの古いネックレスであっても購入金額の数倍もの査定額となるケースがあり得るのです。
金のアクセサリーなど資産を売却したときにかかる税金
金のアクセサリーを売却して利益が出た場合、「譲渡所得」として課税対象になります。
譲渡所得の計算式は、以下の通りです。
売却価格-(購入価格+売却費用)-特別控除50万円=譲渡所得
今回のようなケースであれば、売却費用はかかりませんが、不動産など売却する際に業者などに手数料を支払う必要がある場合などは、売却するためにかかった費用として、売却価格から差し引くことができます。
所有期間により課税金額に影響がある
譲渡所得は「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」とに分けられます。所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年未満の場合は「短期譲渡所得」となります。
保有期間が5年を超えている資産を売却した際の課税金額は「長期譲渡所得」となり、課税対象となる利益額を2分の1にすることができます。
一方、保有期間5年未満の資産を売却した際は「短期譲渡所得」となり、購入にかかった費用と特別控除額50万円を差し引いた利益額そのままが課税対象となります。「長期譲渡所得」のように2分の1にすることはできません。
長期間大切に保有していた場合は、税負担を抑えつつ、手元に多くのお金を残せます。
売却価格が30万円未満なら非課税の特例も
同じ金といっても、金地金と異なり、普段使いしているような金のネックレスなどは、税法上では「生活用動産」とされ、1点または1組の売却価格が30万円未満と少額である場合は、利益が出ていても非課税となる特例があります。
この特例が適用される場合であれば、ネックレスの売却で利益が出たとしても、30万円未満での売却のため税金はかかりません。注意しておきたいのは、利益が30万円未満ではなく、売却額が30万円未満という点です。
今回のネックレスの場合は、この特例が適用される可能性があります。
まとめ
夫婦は家計を共にしているため、高額な売却益が出ると、「2人のもの」という感覚から、自分にももらう権利があるのではという思いが働くかもしれません。また、共有している財産が多くなることから、何かきっかけでもなければ「これはどちらのものか」と考える機会も少ないことでしょう。
しかし、「共有のはず」「2人のもの」と思っていると、後にトラブルになる可能性もあります。法律上では「気持ち」と「権利」は別物です。その違いを理解しておくことが、夫婦2人の将来の安心につながります。
出典
田中貴金属工業株式会社 年次金価格推移
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
執筆者 : 藤田寛子
ファイナンシャルプランニング技能士1級、介護福祉士
