「月収35万→37万円」で2万円昇給したのに、なぜか“ボーナス手取り減”!?「年24万円増えると思ったのに…」税金で引かれ“16万円止まり”になる理由とは

配信日: 2026.05.12
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「月収35万→37万円」で2万円昇給したのに、なぜか“ボーナス手取り減”!?「年24万円増えると思ったのに…」税金で引かれ“16万円止まり”になる理由とは
4月支給分の給与明細を見て、「昇給したはずなのに、思ったより手取りが増えていない」と感じる人は少なくありません。額面の給与が増えても、実際の手取りは所得税や住民税、社会保険料などが差し引かれるため、昇給額がそのまま反映されるわけではありません。
 
さらに、昇給によって社会保険料や源泉徴収税額の計算区分が変わると、月給だけでなくボーナスの手取りにも影響することがあります。
 
本記事では、基本給が月35万円から37万円に上がったケースを例に、月々の手取りや賞与の手取りがどのように変わるのかを試算し、年24万円の昇給が手取りベースではどの程度になるのかを解説します。
藤田寛子

ファイナンシャルプランニング技能士1級、介護福祉士

年間24万円アップで、手取りはどのくらい増える?

では、月2万円昇給でどのくらいが手取りに反映されるのでしょうか。共働きで子ども2人(5歳と7歳)のAさんのケースで見てみます。
 

月収35万円の手取りと月収37万円の手取り

Aさんの基本給は35万円から37万円へ、月2万円アップしました。賞与は年2回、各60万円支給額は変わりません。それでも、年間で24万円の収入増です。Aさんは「手取りで20万円くらいは増えるだろう」と期待していました。しかし、実際に計算してみると結果は異なりました。
 
基本給35万円の場合は、社会保険料を控除後、源泉徴収税額7720円、前年度の住民税を約2万円と仮定し試算すると、額面35万円の手取りは約26万6530円となります。
 
一方、基本給37万円の場合は、社会保険料を控除後、源泉徴収税額8550円、前年度の住民税を約2万1000円と仮定し試算すると、額面37万円の手取りは約28万1600円です。
 
月当たりの手取り増加額は約1万5000円となりました。つまり、額面では2万円増えているにもかかわらず、約5000円は税金や社会保険料として差し引かれている計算になります。
 

なぜ思ったより増えないのか

なぜ、期待していたように手取りは増えないのでしょうか? 理由は大きく3つあります。
 
■社会保険料の増加
昇給すると、健康保険や厚生年金の計算基準となる「標準報酬月額」が上がることがあります。その場合、毎月の社会保険料が増加します。さらに2026年度からは「子ども・子育て支援金」などの新たな負担も加わっており、昇給分がそのまま手取りに反映されにくい仕組みになっています。
 
■税金の増加
給与が増えれば、所得税や住民税も増えます。特に住民税は前年所得に基づいて決まるため、翌年以降に反映されます。「昇給したのに翌年さらに手取りが減る」と感じる要因のひとつとなります。
 
■ボーナスの「逆転現象」
今回のケースで注意して確認したいのが、賞与の手取りです。4月時点では気づきにくいものの、昇給によってその後のボーナスの手取りが変わるケースもあります。Aさんの勤務先では、基本給35万円と基本給37万円とでは賞与額は変わらず60万円で、年2回支給されます。
 
そのため、Aさんの場合、昇給後のボーナスの手取りが昇給前より減ることになりました。理由は、賞与に対する源泉徴収税額が変わったためです。
 

昇給後にボーナスの手取りが減るケース

ポイントは「社会保険料控除後の金額が30万9000円以上かどうか」です。Aさんは昇給前、このラインを下回っていたため税率は6.126%でした。しかし昇給後は30万9000円以上になったことで、税率が8.168%へと上昇しました。
 
シミュレーションすると、昇給前の賞与の手取りは476589円、昇給後の手取りは465588円です。
 
結果として、賞与の手取りが1回につき約1万1000円減少することになりました。同様に26万円や34万2000円も税率が変わるラインとなります。なお、源泉控除対象配偶者や16歳以上の扶養親族等がいる場合、税率は低くなります。
 
このような「昇給したのに手取りが思ったほど増えない」現象は、一定の収入帯の会社員であれば少なくありません。
 

では、どう考えればいいのか

ここで重要なのは、「手取りが増えるかどうか」だけで昇給を判断しないことです。たしかに今回のように、昇給によって税率が変わり、一時的にボーナスの手取りが減るケースはあります。しかし、これはあくまで短期的な見方にすぎません。昇給には次のようなメリットがあります。


・厚生年金の将来受給額が増える
・会社の制度によっては退職金や手当の算定基礎が上がる
・転職時の年収交渉で有利になることもある

また、ボーナスの税率は「前月の給与」をもとに決まるため、支給タイミングや働き方によって今後変わる可能性もあります。そのため、「思ったより手取りが増えない=損」と考えるのではなく、「長期的に見れば収入の土台が上がった」と捉えることが大切です。
 

まとめ

Aさんの基本給は月2万円昇給しましたが、手取りベースの増加は年約16万円にとどまりました。なお、実際の年間税額は年末調整で再計算されるため、扶養状況や各種控除などによっては還付が生じる場合もあります。
 
昇給しても「思ったより増えない」と感じた場合、その背景にはこうした仕組みがあることを知っておくだけでも、納得感は大きく変わります。差し引きの支給額のみ確認し、詳細まで確認することはない人も、一度じっくり給与明細を見直してみると「なぜ増えないのか」が見えてくるかもしれません。
 

出典

協会けんぽ 令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
厚生労働省 雇用保険料率について
国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和8年分)
国税庁 給与所得の源泉徴収税額表(令和8年分)
 
執筆者 : 藤田寛子
ファイナンシャルプランニング技能士1級、介護福祉士

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