高収入「年収1000万円」になっても、日本では“稼ぐほど損”!? 会社員で「年収800万円」ですが、昇給で“手取り”はどれだけ減りますか? 累進課税の仕組みを確認
本記事では、累進課税の仕組みを確認しながら、年収800万円と1000万円の手取りを比較し、その誤解の理由を解説します。
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
年収が上がると手取りが減る?
まず押さえておきたいのは、日本の税制では、年収が増えたことで手取りが逆に減るということは、原則として起こらないという点です。
確かに、所得税は「累進課税」と呼ばれる仕組みで、所得が増えるほど税率は高くなります。しかし、この仕組みは「全体に高い税率がかかる」のではなく、「一定の金額を超えた部分にだけ高い税率がかかる」ものです。
つまり、ある一定の所得までは低い税率、それを超えた部分だけに高い税率が適用される仕組みになっています。そのため、収入が増えれば、その分だけ税金は増えますが、基本的には手取りが増える仕組みです。
年収800万円と1000万円で手取りはどう変わる?
それでは、実際にどれくらい手取りが変わるのか、具体的な数字で見てみましょう。
・40歳会社員(協会けんぽ加入)
・前年度の年収は本年度と同様(住民税は前年所得に基づくため、急激な変動がない前提)
・配偶者:年収80万円(扶養内)
・子ども:15歳以下2人
・生命保険料控除などは考慮しない
この条件で試算すると、手取りは次の通りです。
・年収800万円:手取り 600万円前後
・年収1000万円:手取り 730万円前後
つまり、年収が200万円増えると、手取りはおおむね130万円前後増えると考えられます。確かに税金や社会保険料の負担が増えますが、それ以上に収入が増えるため、結果として手取りはしっかり増加しています。
「手取りが減る」と感じる理由とは?
それではなぜ、「稼ぐと手取りが減る」といった誤解が生まれるのでしょうか。理由の1つは、税率の上昇です。年収が上がると適用される税率が上がるため、「増えた年収分の多くが税金で取られている」と感じやすくなります。
また、社会保険料も収入に応じて増加するため、思ったより手元に残らないと感じることもあるでしょう。
さらに、「年収の壁」と呼ばれる制度の影響で、特に配偶者の収入が増える場合には扶養から外れるなど、家計全体で見ると負担が増えるケースもあります。こうした点が、「稼ぐと損」というイメージにつながっているのかもしれません。
年収を増やすために考えたいポイント
年収を増やすこと自体は、基本的に手取りの増加につながります。そのため、税金が増えるからといって収入を抑える必要はありません。重要なのは、収入を増やす手段を考えることです。
例えば、昇進や転職による年収アップ、スキルアップによる市場価値の向上、副業による収入の多様化などが挙げられます。また、増えた収入をどのように活用するかも重要です。貯蓄や投資に回すことで、将来の資産形成につなげることもできるでしょう。
まとめ
日本の累進課税制度では、年収が上がったことで手取りが減るということは基本的にありません。年収800万円から1000万円に増えた場合でも、税負担は増えるものの、手取りはしっかり増加します。
「稼ぐと損」というイメージは、税率の仕組みや社会保険料の影響による誤解であるケースが多いといえます。重要なのは、税金の仕組みを正しく理解したうえで、収入を増やすことを前向きに捉えることです。長期的な資産形成も視野に入れながら、収入アップを目指すことが大切といえるでしょう。
出典
国税庁 No.2260 所得税の税率
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など