更新日: 2020.04.15 確定申告

納めすぎた税金は取り戻せる? 今からでも遅くない還付申告

納めすぎた税金は取り戻せる? 今からでも遅くない還付申告
毎年、確定申告は2月16日から3月15日と期限が決まっています。もう、みなさんは確定申告を提出されたでしょうか?
 
確定申告の締切日の3月15日が土日の場合は、直後の平日が締切日となっているため、平成元年分の確定申告締切は3月16日の月曜日です。給与所得者の方は、通常、年末の源泉徴収で納税が終わっている人も多いかと思います。
 
しかし、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が、年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいます。
 
還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。還付申告については、2月15日より前から申告できることとなっていましたが、それを明確にするために、少し前に1月1日からという記載がされました。
 
1月1日から5年間提出することができるということは、前年分については3月16日以降も5年間いつでも申告できるということです。3月15日(今年は3月16日)までの締切は納税義務のある方(自営業などで源泉徴収されていない方等)の締切となります。
 
ちなみに、今年は新型コロナウイルス対策として、確定申告の締切日が1カ月延びて、4月16日と発表されましたが、還付を受ける人はもちろんのこの4月16日は関係なく、前年分は、今年の1月1日から5年間提出することができます。
 
高畑智子

執筆者:高畑智子(たかばたけ ともこ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者

還付申告できるもの

給与所得者が、還付申告を申告により還付を受けることができる主な内容は、以下のとおりです。
 
(1) 年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき
(2) 一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
(3) マイホームに特定の改修工事をしたとき
(4) 認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除)
(5) 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
(6) 特定支出控除の適用を受けるとき
(7) 多額の医療費を支出したとき
(8) 特定の寄附をしたとき
(9) 上場株式等に係る譲渡損失の金額を、申告分離課税と選択した上場株式等に係る配当所得等の金額から控除したとき

  
住宅ローン控除や医療費控除は、よくみなさんに知られているところですが、上記に挙げた「特定の寄附をしたとき」というのはどんなケースかご存じでしょうか? 
 
ここでいう特定の寄附とは、国または地方公共団体に対する寄附金や、公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人、または団体に対する寄附金で、広く一般に募集され、かつ公益性および緊急性が高いものとして、財務大臣が指定したもの等が該当します。
 
この国または地方公共団体に対する寄附金には通称「ふるさと納税」も含んでいます。

ふるさと納税

ふるさと納税は、少し前に「ふるさと納税ワンストップ特例」が導入されたことで、制度がより活用しやすくなりました。
 
確定申告が不要な給与所得者等の場合、ふるさと納税先の自治体が5団体以内であれば、確定申告しなくても、ふるさと納税先の自治体に特例の適用に関する申請書を提出することで、所得税の確定申告をせずに住民税からふるさと納税の寄附金控除を受けられる制度です。
 
しかし、ここで気をつけてほしいのは、医療費控除や住宅ローン控除等の確定申告をする方です。ふるさと納税ワンストップ特例は、通常収める予定の住民税から住民税分と所得税分を控除する形となっています。
 
もともと住民税は、個人(法人)の所得税(または法人税)の申告を元に算定しています。
 
川の流れでいうところの川上に所得税の申告があり、その所得税の申告を受けて住民税が再計算される仕組みとなっています。川上の所得税の申告を受けて計算される住民税は、川上の所得税の計算が変わってしまうと、変更前に計算されたふるさと納税ワンストップの住民税はキャンセルされると考えられます。
 
医療費控除や住宅ローン控除等の確定申告をする人は、川上の所得税の申告内容が変わるため、確定申告のときにふるさと納税の申告をしなくては、寄附金控除を受けることができなくなってしまうと思われます。
 
ふるさと納税を行った上で確定申告をされる方は、気をつけていただきたいと思います。
 
(参考)国税庁 タックスアンサー 還付申告
 
執筆者:高畑智子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者


 

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