公開日:2019.11.23 税金

医療費控除とふるさと納税の併用は可能? 押さえておきたいポイントを解説

確定申告の際に、医療費控除とふるさと納税の両方を申告して、還付を受けることは可能なのでしょうか? まずはそれぞれの概要から見ていくことにしましょう。
 
大泉稔

執筆者:

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

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大泉稔

執筆者:

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

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確定申告について

個人の所得を計算し、申告と納税を行う確定申告。その計算の期間は、毎年の1月1日~12月31日に生じた所得が対象となります。
 

医療費控除の概要

対象となるのは、納税者本人はもちろん「生計を一にする(共に暮らす家族や仕送りしている家族)」が支払った医療費です。なお、この医療費は「実際に払った(=領収書がある)」ものが対象で、「未払いの医療費」は対象外です。
 
対象となる医療費に含まれるのは、病院や歯科医院などに払った治療費や療養に必要な医薬品の購入代。処方箋のない薬も対象ですが、健康増進のためのビタミン剤やサプリメントは対象外です。マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術料も対象ですが、「疲れを癒やす」ことだけが目的の施術は対象外です。
 
また、健康診断や人間ドックの費用も基本的には対象外なのですが、健康診断や人間ドックで症状が見つかり、その症状に対する治療を行った場合には、健康診断や人間ドックにかかった費用も治療の一環として対象になります。
 
加えて、入院や通院に伴って生じた交通費も対象になります。しかし付き添いの方の分は原則対象外です。また、対象になるのはバス・電車ほかタクシー(条件あり)などの公共交通機関を利用した場合に限られます。自家用車を利用した場合の燃料代や高速道路代、駐車場は対象外です。
 
ところで対象となる医療費のうち、支払った全額が医療費控除として申告できるわけではありません。

・医療費控除額の計算方法

支払った医療費から差し引くものが二つあります。一つ目が「10万円(ただし総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)」です。
 
二つ目は「保険金等で補填された金額」です。保険金等で補填された金額とは、民間の医療保険から受け取る入院給付金、健康保険から給付される高額療養費や出産育児一時金などのことです。
 
なお、この保険金等で補填された金額はその給付の目的となった医療費の金額だけを差し引きますので、仮に引ききれない金額があったとしても他の医療費からは差し引くことができません。以上のことから、医療費控除の金額は以下の計算式で表すことができます。
 
<対象となる医療費-保険金等で補填された金額-10万円>
 
そして医療費控除の金額の上限は200万円となります。

・医療費控除の手続き方法

医療費控除は勤務先の年末調整では申告できませんので、年明けに年末調整を済ませた源泉徴収票を準備して確定申告で手続きします。まずは対象となる医療費の領収書を集めます。交通費については領収書が出るのはタクシーだけですから、電車やバスは利用した区間の料金をメモしておきましょう。
 
領収書や交通費等の情報を集めたら「集計フォーム」に転記します。集計フォームは国税庁のサイトからPDFまたはエクセルでダウンロードできるほか、税務署などにも印刷された物が準備されています。
 
集計フォームの作成が済んだら、あらかじめ用意しておいた源泉徴収票とともに確定申告書の作成です。今はスマートフォンでも申告が可能です。
 
確定申告書の提出時の添付書類は、源泉徴収票のほかに作成した集計フォームです。対象となる医療費やタクシーなどの領収書は5年間、保存しておけばよく、提出の必要はありません。マイナンバーカードのコピー、または運転免許証などの身分証明書のコピーと個人番号通知カードが必要です。
 
添付書類ではありませんが確定申告書には押印欄があります。シヤチハタ印以外の印鑑を押しましょう。いわゆる認め印でOKです。還付金を振り込んでもらうために預貯金口座を記入する欄もあります。
 
ところで確定申告の期間は毎年、2月16日~3月15日となりますが、還付申告(=税金が戻ってくる確定申告)の場合、確定申告の期間前でも受け付けてくれます。
 

・医療費控除の特例、いわゆるセルフメディケーションについて

セルフメディケーションとは、平成29年以後、納税者本人が健康維持や予防への取り組みを行い、納税者本人とその生計を一にする親族が特定一般用医薬品等購入費を支払った場合に申告できる医療費控除の特例です。
 
この医療費控除の特例は、先述の医療費控除と同時に申告はできず、どちらかを選ぶことになります。
 
特定一般用医薬品等購入費とは、処方箋によって購入する薬(医療用医薬品)から、処方箋がなくともドラッグストア等で購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費を言います。
 

 
ほとんどの対象商品のパッケージや店頭POPに、このようなロゴが表示されています。しかし特定一般医薬品購入費に充てた金額の全てが、医療費控除の特例の対象になるわけではありません。
 
以下の二つが差し引かれます。一つ目は「保険金等により補填される金額」で、定義は先述の医療費控除と同じです。二つ目は「1万2000円」です。
 
以上のことから、医療費控除の金額は以下の計算式で表すことができます。
 
<特定一般医薬品購入費-保険金等で補填された金額-1万2000円>
 
医療費控除の確定申告の手続きも医療費控除と変わりありませんが、集計フォームが異なる点にご注意ください。
 

寄付金控除、いわゆるふるさと納税の概要

納税者本人が国や地方公共団体、特定の法人などに「特定寄付金」を行った場合には、所得控除を受けることができます。なお、本稿では寄付金控除ではなく、ふるさと納税についてですので、寄付金控除の対象となる具体例は割愛します。

・寄付金控除額の計算方法

寄付金控除の控除額の計算式は以下の通りです。
以下の(1)か(2)のいずれか低い金額-2000円
(1)その年に支出した特定寄付金の額の合計額
(2)その年の総所得金額等の40%相当額

・寄付金控除額の手続き方法

手続きの方法には二通りあります。一つはいわゆる「ワンストップ特例」、一つは「確定申告」です。ワンストップ特例から見ていくことにしましょう。まず、以下の二つを満たす必要があります。
 
●もともと確定申告をする必要のない給与所得者等であること
●1年間に、ふるさと納税の寄付先自治体が5カ所以下の方

 
そして、ふるさと納税による寄付金控除を受けるためには、ふるさと納税を行うたびに申請用紙と個人番号通知書や運転免許証などの身分証明書のコピー、もしくはマイナンバーカードのコピーなどを自治体に送ります。なお、一つの自治体に複数回のふるさと納税を行った方は、一度にまとめて送ることもできます。
 
ワンストップ特例には締め切りがあります。翌年の1月10日必着です。なお、ワンストップ特例では所得税の還付はありません。所得税の控除額分も含めて住民税が軽減されます。翌年の6月頃に、住民税の決定通知書で確認することになります。
 
続いてふるさと納税の手続き方法の二つ目「確定申告」についてです。以下の方が、ふるさと納税を確定申告にて手続きすることになります。
 
●さまざまな事情でワンストップ特例を活用しない方
●ふるさと納税を行った自治体が6カ所以上の方
●医療費控除など、ほかに確定申告が必要な方

 
確定申告によるふるさと納税の手続きを行おうとしている方は、以下を用意しましょう。
・確定申告書はインターネットでPDFをダウンロードすることもできますし、税務署でも用紙を配布しています。
・勤務先が発行した源泉徴収票
・ふるさと納税を行った自治体が発行した寄付金受領証明書
・還付金の受取先を書くための預貯金の通帳
・個人番号通知カードと運転免許証などの身分証明書のコピー、もしくはマイナンバーカードのコピー
・認め印(シヤチハタ印は不可)

 
以上の準備が整ったら、確定申告書の作成にかかりましょう。確定申告の期間は毎年、2月16日~3月15日ですが、還付申告(=税金が戻ってくる確定申告)の場合、確定申告の期間前でも受け付けてくれます。なお、e-TAXを利用したインターネットによる手続きや、スマートフォンによる手続きも可能です。
 
確定申告ですので、所得税の還付とともに住民税の軽減も受けることできます。
 

Q&A

Q:医療費控除とふるさと納税は併用できますか?
A:もちろん可能です。「併用が可能」ということが法律に明記されているわけではありませんが、「併用が不可能」とも法律に明記されていません。
 
先述の通り年末調整では医療費控除の申告はできませんので、ふるさと納税を「ワンストップ特例」で手続きしても、確定申告で医療費控除を申告した場合は「ワンストップ特例」が無効になってしまいます。ですから医療費控除とふるさと納税を併用するのでしたら、両方とも確定申告にてお手続きすることになります。
 
医療費控除および(ワンストップ特例ではない)ふるさと納税は、共に所得税と住民税が対象です。医療費控除の申告を行うと、その分の課税所得が減りますから、「ふるさと納税だけ」をフルに申告した場合に比べると、ふるさと納税による控除の上限額も減ることになります。
 
先述の通り、医療費控除は対象となる医療費から10万円を差し引きます。同じく、ふるさと納税は2000円を差し引きます。なので、医療費控除を申告する額の2%を差し引いた額が、ふるさと納税による控除の上限額と言えそうです。
 
Q:医療費控除と住宅ローン控除は併用できますか?
A:医療費控除と住宅ローン控除も、もちろん併用OKです。住宅ローン控除を受ける最初の年(=つまり、住宅ローン控除1年目)は確定申告が必須ですから、住宅ローン控除と医療費控除の両方を確定申告で手続きすることになります。
 
住宅ローン控除の確定申告を行う方は、以下を準備しましょう。
・確定申告書はインターネットでPDFをダウンロードすることもできますし、税務署でも用紙を配布しています。
・特定増改築等に該当する場合)住宅借入金等特別控除額の計算明細書インターネットでPDFをダウンロードすることもできますし、税務署にも備え付けてあります。
・勤務先が発行した源泉徴収票
・金融機関等から送られてくる住宅ローンの借入金残高証明書
・土地・建物の登記簿謄本
・売買契約書または建築請負契約書
・還付金の受取先を書くための預貯金の通帳
・個人番号通知カードや運転免許証などの身分証明書のコピー、もしくはマイナンバーカードのコピー
・認め印(シヤチハタ印は不可)
 
以上の準備が整ったら、医療費控除の手続きと併せて確定申告書の作成にかかりましょう。
 
確定申告の期間は毎年、2月16日~3月15日ですが。還付申告(=税金が戻ってくる確定申告)の場合、確定申告の期間前でも受け付けてくれます。なお、e-Taxを利用したインターネットによる手続きや、スマートフォンによる手続きも可能です。
 
なお、住宅ローン控除の2年目~10年目は確定申告ではなく、年末調整にて手続きが可能です。住宅ローン控除を年末調整で行う場合、以下の書類が必要になります。
・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼証明書
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

 
住宅ローン控除の手続きを年末調整で済ませた場合、その旨が勤務先から発行される源泉徴収票にも記載されます。なので、勤務先から発行される源泉徴収票をもって、医療費控除の手続きを行えばよいのです。
 
Q:医療費控除とワンストップ特例制度は併用できますか?
A:医療費控除とワンストップ特例制度の併用はできません。ワンストップ特例の手続きを済ませた後、医療費控除の確定申告を行ってしまうと、ワンストップ特例は無効になってしまうからです。
 
Q:医療費控除とイデコは併用できますか?
A:もちろん可能です。イデコは年末調整で手続きを行うことができます。毎年、秋に国民年金基金連合会から送られてくる「小規模企業共済等掛金払込証明書」を年末調整の書類に添付します。年末調整で済ませた場合、その旨が勤務先から発行される源泉徴収票にも記載されます。
 
なので、勤務先から発行される源泉徴収票をもって、医療費控除の手続きを行えばよいのです。なお、「掛け金の払い込みを10月以後に開始した方」や「掛け金の払い込みが年に1回のみの方」の場合には、医療費控除とともに、確定申告を行います。
 
確定申告に必要な書類は以下の通りです。
・勤務先が発行した源泉徴収票
・国民年金基金連合会が発行する小規模企業共済等掛金払込証明書
・還付金の受取先を書くための預貯金の通帳
・個人番号通知書や運転免許証などの身分証明書のコピー、もしくはマイナンバーカードのコピー
・認め印(シヤチハタ印は不可)

 

まとめ

正しく、漏れなく申告をして、少しでも税金を取り戻しましょう。
 
国税庁HP 「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
国税庁HP 「No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】」
国税庁HP 「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」
総務省HP「確定申告書の記入例」
国税庁HP 「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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