一時所得とは?

配信日: 2020.06.02

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一時所得とは?
一時所得とは、営利を目的とした継続的な所得ではなく、臨時的な所得をいいます。一時所得は税制的にも優遇されていて、他の所得に比べて控除額が大きくなっています。そのメリットを生かした商品が資産運用目的の保険商品です。
 
それでは、一時所得にはどんなものがあるか、解説していきましょう。
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。

現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。

ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。

FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。

2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。

現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。

早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。

サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow

一時所得とは?

一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます(国税庁ホームページより)。
 
この所得には、次のようなものがあります。
 
(1)懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものは事業所得となる)
(2)競馬や競輪の払戻金
(3)生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除く)や損害保険の満期返戻金等
(4)法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除く)
(5)遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
(6)借家の立退料(借家権の譲渡を除く)
(7)生命保険、傷害保険の自己以外の者の死亡による保険金で、自己が保険料を負担していたもの

一時所得の特徴

一時所得とは、前項で説明したように、営利を目的とした継続的なものではなく、かつ、臨時的な所得ということになります。また、資産を譲渡して得た所得でもありません。
 
具体的には懸賞の賞金や拾得物の報労金(お礼)などが最もその定義に当てはまる所得ということができます。それとは少し違いますが、生命保険・損害保険の満期保険金も一時所得になります。ただし、満期保険金を年金の形で受け取ると、雑所得とみなされます。

一時所得の計算方法

一時所得の金額は、次のように算式します。
 
総収入金額-収入を得るために支出した金額(注)-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額
(注)その収入を生じた行為をするため、またはその収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。

申告時期と課税方法

一時所得は、総合課税であり、その所得金額の1/2に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。この場合、一時所得の金額にさらに1/2を掛けたものが課税所得金額になるという仕組みに注意してください。
 
ただし、一時所得で赤字になっても、一時所得の中では他の一時所得の黒字と相殺できますが、他の所得と赤字を相殺する損益通算はできません。
 
一時所得のほとんどは臨時的で偶然的なものの収入に関するものなので、保険金以外は赤字になる可能性は低いので、実務上問題になることはないと思います。
 
また、懸賞金付預貯金などの懸賞金等や一時払養老保険、一時払損害保険等(保険期間が5年以内であるなど一定の要件を満たすもの)の差益等については、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%)の税率による源泉分離課税が適用されますので、確定申告を行うことはできません。

生命保険契約等に基づく一時金の課税関係

ここまで説明したように、一時所得の場合、
{収入-必要経費-特別控除額(最高50万円)}×1/2の金額が確定申告により総合課税されるので、税務的には非常に優遇されています。
 
生命保険・損額保険の満期保険金には、一時所得が適用されるので、その税務的なメリットを生かした資産運用のための保険商品が開発されています。
 
終身保険で資産運用し、満期保険金を受け取った場合、上記の「マイナス50万円」と「1/2」のおかげで、運用益にかかる税金がゼロになるか、かなり小さくなることが起こります。
 
例えば、支払保険料500万円で満期保険金600万円が受け取れる保険商品があったとします。
 
その場合、{100万円(運用益)-50万円}×1/2=25万円が課税所得になるので、運用益すべてが課税所得となった場合の100万円と比べると、75万円も課税所得が少なくなります。
 
このような形で、一時所得の税務のメリットは資産運用の保険商品に生かされているのです。もっとも、最近の超低金利では、500万円の保険料で600万円の満期保険金がもらえる保険商品は残念ながら存在しません。

まとめ

どういうものが一時所得に該当するか、その場合の申告方法や課税時期について説明しました。10種類の所得の中でも、それほど一般的ではありませんが、ユニークなものであることはご理解いただけたと思います。
 
[出典]
国税庁「No.1490 一時所得」
国税庁「No.3155 借家人が立退料をもらったとき」
国税庁「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」
国税庁「No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー


 

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