市販薬のレシートは捨てないで! 「セルフメディケーション税制」の対象になるかも

配信日: 2020.06.14

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市販薬のレシートは捨てないで! 「セルフメディケーション税制」の対象になるかも
体調が悪いとき、病院に行かずに自分で薬を買ってきて服用した……そんなこと、ありますよね。市販薬の購入は一定の条件を満たせば所得控除が受けられ、税金が安くなることをご存じでしょうか。詳しく解説します。
馬場愛梨

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

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「セルフメディケーション税制」とは?

比較的新しい制度なのでまだあまり知られていませんが、個人がドラッグストアなどで一定の医薬品を購入した場合、その購入費用について所得控除を受けられるのが「セルフメディケーション税制」です。
 
「セルフメディケーション」とは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義されています(※)。
 
気軽に病院に行けるのは良いことではありますが、現状、国の医療費負担が年々大きくなっています。
 
お得な税金制度を用意することで、ちょっとした不調であれば病院に行かずに市販薬で治すことを促して、医療費を削減して社会保障を維持しようという目的で導入されたのが、この「セルフメディケーション税制」です。

どうすれば「セルフメディケーション税制」の対象になる?

それでは、どんな条件を満たせばその所得控除という税金上のメリットを受けられるのか、具体的に見ていきましょう。

■誰でも対象になる?

「セルフメディケーション税制」の適用を受けるには「健康の保持増進および疾病の予防に関する一定の取り組み」を行っていることが必要です。例えば、次のような検診等を受けている方は対象になります。
 
・勤務先で実施する定期健康診断
・健康保険組合などが実施する各種健診や人間ドック
・市区町村が行う健康診査やがん検診
・インフルエンザなどの予防接種
・特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導

■どんな薬が対象になる?

この制度の対象になるのは「スイッチOTC医薬品」とされています。要は、医師に処方される薬から、薬局やドラッグストアで購入できるような薬に転用されたもの、ということです。対象になる薬のパッケージには次のようなマークがついているので目印になります。
 


 
また、購入時のレシートを見れば、対象となる商品名のところに、「☆印」などお店独自のマークがついているはずです。風邪薬、胃薬、肩こりや腰痛用の貼付薬などさまざまなものが対象ですので、お手元の薬をチェックしてみましょう。

■購入金額はいくらからいくらまで?

購入金額が年間1万2000円を超えたら、その超えた金額分が課税所得から控除されます。これは、自分だけでなく家族(同じ家計で暮らす配偶者やその他の親族)全員分の合計で計算します。上限は8万8000円です。
 
例えば、課税所得が400万円の方が対象の薬を年間2万円分購入した場合、1万2000円を超えた分(8000円)が税金の計算をするときのもととなる所得から引かれ、所得税と住民税合わせて2400円税金が安くなるイメージです(※)。
 
●「セルフメディケーション税制」を適用するための手続きは?
「セルフメディケーション税制」の適用を受けるためには、確定申告が必要です。次の3つの書類をそろえて、お住まいの地域を管轄する税務署に提出しましょう。
 
・確定申告書
・セルフメディケーション税制の明細書(買った薬の一覧表)
・健康診断や予防接種などを受けたことがわかる書類(領収書や結果通知書)
 
確定申告というと面倒に思うかもしれませんが、今はパソコンだけでなくスマホでも、画面の表示に従って入力していくだけで申告書等を作成できるようになっています。
 
●「セルフメディケーション税制」の注意点
実は「セルフメディケーション税制」は、以前からある「医療費控除」という制度の特例です。医療費控除は、家族で1年間に原則10万円以上の医療費を負担したときに所得控除を受けられる制度ですが、「セルフメディケーション税制」と併用できません。
 
どちらも該当する場合は、どちらか有利なほうを自分で選択して申告することになりますので要注意です。

薬のレシートは捨てずに保管!

いくら多くの医薬品を購入していても、こういった制度があるということを知って自分で申告しない限り、税制上のメリットを受けることができません。せっかくお得になる制度があるのですから、活用しないともったいないですよね。
 
少々手間に感じるかもしれませんが、病院に行ったときや薬を買ったときの領収書は家族分まとめておいて、1年の最後に振り返って合計額を計算するようにするのがおすすめです。
 
(※)厚生労働省「セルフメディケーション(自主服薬)推進のためのスイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)」
(出典)
国税庁「確定申告特集 セルフメディケーション税制の概要・手続など」
国税庁「セルフメディケーション税制の明細書」
厚生労働省「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」
 
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表


 

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