更新日: 2020.12.02 控除

インフルエンザの予防接種、医療費控除は適用できる?

インフルエンザの予防接種、医療費控除は適用できる?
寒さが厳しくなるこの季節は、インフルエンザにかからないように予防接種を受けようと考える人も多いと思います。
 
そこで、インフルエンザの予防接種が医療費控除の適用になるのか? 医療費控除の制度とともに解説することにします。
伏見昌樹

執筆者:伏見昌樹(ふしみ まさき)

ファイナンシャル・プランナー

大学卒業後公認会計士試験や簿記検定試験にチャレンジし、公認会計士試験第二次試験短答式試験に合格や日本商工会議所主催簿記検定1級に合格する。その後、一般企業の経理や県税事務所に勤務する。なお、ファイナンシャル・プランナーとして、2級ファイナンシャル・プランニング技能士・AFP合格した後、伏見FP事務所を設立し代表に就き今日に至る。

医療費控除制度とは?

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合に適用されるものです(※1)。医療費控除には、医療費控除の対象となる医療費、控除額の限度に一定の要件があります。
 

医療費控除の対象となる医療費とは?

医療費控除の対象となる医療費には、医師や歯科医師による診療または治療の対価などが該当します。また、治療もしくは療養に必要な医薬品の購入対価も含まれます(※2)。
 

医療費控除を受けるために把握すべきものとは?

医療費控除を受けるためには次の金額を把握する必要があります。
 
(1)生計を一とする家族などが、病院などを受診した際に発行された領収書の合計額
(2)生命保険などにより補てんされた金額
(3)医療費控除を受ける方の所得金額(税金を計算する際の基となる金額)
 
なお、医療費控除額の計算は、「(1)-(2)-(3)」となり、(3)については、総所得金額が200万円以上の方は上限が10万円になり、200万円未満の人は総所得金額に5%を乗じた額になります。
 

インフルエンザ予防接種は、医療費控除の対象にならないが……

医療費控除の対象となる支出には、「治療」を目的とすることが求められます。そして、治療費や風邪薬などを購入した場合の合計額が原則10万円以上であることが求められます。このため、インフルエンザの予防接種は医療費控除の対象とはなりません。
 
しかし、健康の保持増進および疾病の予防への取り組みとして、インフルエンザの予防接種などを受けた場合には、「セルフメディケーション税制」の適用を受けることができる場合があります(※3)。
 

セルフメディケーション税制とは?

セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進および疾病の予防への取り組みとして、インフルエンザの予防接種などを行っており、あなたやあなたと生計を一にする配偶者、その他の親族のために支払った特定一般用医薬品等購入費があるとき、医療費控除の特例として受けられるものです(※3)。
 

セルフメディケーション税制を受けるために把握すべき金額とは?

セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、次の金額を把握する必要があります。
 
(1)その年中に支払った特定一般用医療品等購入費
(2)保険金などで補てんされる金額
 
計算式は、「(1)-(2)-1万2000円」となり、8万8000円が上限となります。また、通常の医療費控除と併用して適用はできません。
 

まとめ

インフルエンザの予防接種は医療費控除の対象となりませんが、セルフメディケーション税制を受けるための前提となります。また、医療費の総額がおおむね10万円に到達せず医療費控除を受けられない場合でも、セルフメディケーション税制の適用対象となる場合があります。
 
いずれにせよ、領収書をしっかり保管することで、どちらかの制度を利用することができる可能性があるので、有用といえるでしょう。
 
参考
(※1)国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
(※2)国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
(※3)国税庁 医療費を支払ったとき
 
執筆者:伏見昌樹
ファイナンシャル・プランナー


 

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