歯の矯正は医療費控除の適用になる? 対象となる条件とは
配信日: 2020.12.05
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
医療費控除とは
医療費控除とは、自己または生計を同一にする配偶者や子、親族のために支払った医療費が一定額を超えたとき、最大で200万円まで所得控除を受けられる仕組みです。その中でも、歯科医師による治療や診療の対価においては、病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分が医療費控除の対象とされています。
医療費控除の適用対象となる歯の矯正にかかる治療費とはどんなもの?
歯列矯正にかかる費用が医療費控除の対象と認められるには、主に次のような条件を満たすことが必要です。
・一般的な費用水準であるか
・歯列矯正が必要な治療として認められるか
・通院費は一定範囲のものか
では、各項目について詳しく見ていきます。
一般的な費用水準であるか
歯の治療には、保険の適用されない自由診療によるものや通常よりも高価な材料を選択して使用する治療法もあり、同じ治療目的においても費用が大幅に異なることがあります。そのため、歯列矯正が医療費控除の対象と認められるには、その費用が一般的な費用水準を超えない範囲であることが必要です。
歯列矯正が必要な治療として認められるか
歯列矯正が医療費控除として認められるには、子どもの成長を阻害しないように行う不正咬合の治療などのように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的から治療として歯列矯正が必要だと認められる場合に限られます。
昨今、歯列矯正は美容目的で行われることも多くなってきました。しかし、見栄えをよくするためといったように治療目的ではない歯列矯正は医療費控除の適用対象外です。
通院費は一定範囲のものか
医療費控除の対象となる通院費は交通機関を利用した場合の費用に限られます。具体的には電車やバスの運賃など、人的役務の提供の対価として支出されるものになります。対して、自家用車で通院した際のガソリン代や駐車場などは対象外となります。
なお、治療を受けるのが小さい子どもである場合は付添人の交通費も医療費控除の対象になります。
歯列矯正について医療費控除を受ける際の注意点
歯列矯正において医療費控除を受ける場合、次のような点に注意してください。
治療中に年をまたぐ場合
治療中に年をまたぐ場合は、それぞれの年に支払った部分がその年分の医療費控除となります。
保険金や給付金を受け取った場合
生命保険金や入院給付金、高額療養費、その他健康保険法に基づく給付金や保険金などがある場合、それによって受け取ったお金に該当する部分は医療費控除の対象とはなりません。
歯列矯正は治療の一環としてなら医療費控除の適用対象となる
不正咬合の治療における歯列矯正など、矯正を受ける人の年齢や目的によっては歯列矯正が医療費控除の適用対象となることもあります。
ただ、最近増えている美容を目的とした歯列矯正は医療費控除の適用対象外となります。医療費控除の対象となる歯列矯正か判断が難しい場合は、最寄りの税務署や国税局電話相談センターなどへ相談するようにしてください。
なお、医療費控除の適用を受ける場合には翌年に確定申告が必要となるため、確定申告についても忘れないようにしてください。
参考
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
国税庁 No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例
執筆者:柘植輝
行政書士