「会社の年末調整に間に合わないと損」ってほんと?
配信日: 2020.12.15
年末調整とは何なのか、もし期限に間に合わなかった場合はどうなるのか、どうやって対処すればいいのか解説します。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
そもそも年末調整とは?
年末調整とは、「年末」に支払うべき税金の金額を「調整」する仕組みです。給与明細を見てみると、毎月所得税や住民税が天引きされていますよね。実は、その引かれている金額は、単に概算に過ぎません。
その人が納めるべき正確な税金額は、年末調整を通して精算されます。税金を多く支払い過ぎていたらその分が還付金(かんぷきん)として戻ってきたり、逆に少な過ぎたら追加で徴収されたりします。
ちなみに、会社員や公務員など雇用されている方は、勤務先で年末調整を受けられますが、自営業の方などはその仕組みがありません。自分が払うべき税金を、自分で計算して、自分で税務署に申告します。これが「確定申告」です。
年末調整に間に合わないとどうなる?
では、もし年末調整の期限までに書類の準備が間に合わない場合はどうなるのでしょうか。
■自分で確定申告することになる
勤務先が設定している期限に間に合わなかったり、手続きを失念していたりしていた場合は、自分で確定申告することになります。年末調整はその名のとおり年末に行いますが、確定申告は通常2月中旬から3月中旬までの間に行います。
転職・退職のタイミングの関係で年末調整を受けられない方や、年末調整で申告し忘れた項目がある方なども確定申告します。
■確定申告をしないとどうなる?
確定申告と聞くと「面倒」「難しそう」と思って敬遠されがちですが、もし確定申告をしなかった場合は次のようなことになります。
○本来なら払わなくてよいはずの税金が払ったままになる
1年間に源泉徴収された所得税が、本来支払うべき金額より多かった場合は、還付金を受け取ることができます。しかし、年末調整も確定申告もしないままだとそのチャンスを逃してしまいます。また、所得税だけでなく、同じく所得をもとにして税額が決まる住民税にも影響します。
○本来なら払うべき税金を払わないままでいる
源泉徴収された税金が、本来支払うべき金額より少なかった場合も問題です。最悪の場合、延滞税や無申告加算税など金銭的なペナルティを受けることもあります。
年末調整をスムーズに済ませるために
■年末調整に必要な書類は早めに準備する
10月後半ごろから、加入している保険会社控除証明書など年末調整関連の書類が郵送されます。届いたら、紛失しないように大切に保管しましょう。もし紛失してしまった場合は、早めに再発行を依頼します。
■会社の担当部署に連絡する
年末調整の書類の書き方で困ったり、必要な証明書類が期限に間に合うかどうか分からない場合は、勤務先で年末調整の担当をしている部署に早めに問い合わせましょう。もしかしたら、数日程度なら期限を過ぎても待ってくれるかもしれません。
「年末調整、面倒だな」と思っても、後回しにしないように手続きしましょう。
年末調整に間に合わない時の対応
どうしても年末調整に間に合わない場合は、確定申告を確実に行うようにしましょう。確定申告の時期になると、国税庁が専用のホームページ(確定申告書等作成コーナー(※))を用意しますので、そこから必要な情報の入力や計算、書類の作成を行います。
ちなみに、年末調整に遅れた場合だけでなく、住宅ローン控除や医療費控除を受けたい場合など、会社員でも確定申告することで税金の負担が軽くなるケースは意外と多いです。
年末調整はしないと損
自営業の方などは自分で行わないといけない確定申告を、会社員なら必要な情報を渡すだけで会社が手続きしてくれます。手間を最小限にしつつ納める税額を適正に調整できますので、活用しない手はありません。
間に合わない場合も、面倒だからとそのままにせず、自分で確実に手続きしましょう。
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表