更新日: 2021.02.06 確定申告

会社員など給与所得者の副業収入 確定申告の際の注意点は?

会社員など給与所得者の副業収入 確定申告の際の注意点は?
2020年は、何といっても新型コロナウイルスに影響された1年でした。そのような中で、多くの企業でテレワークが採用され、働き方の形態があらためて見直される1年でもありました。また、在宅の時間が多くなったこの機会を使って、新たに「副業」に取り組んだという会社員の方もいらっしゃると思います。
 
今回は2020年分の確定申告の時期を前に、会社員などの給与所得者が副業として得た収入について、主な種類ごとに確定申告をする際の注意点を見ていきたいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

年末調整をしても確定申告が必要な方

給与所得者(年末調整をしている方)で確定申告が必要となる方の条件は、以下の3点です。
 

条件

(1)給与の年間収入金額が2000万円を超える方
(2)1ヶ所から給与の支払いを受けている方で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える方
(3)2ヶ所以上から給与の支払いを受けている方のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える方

 
つまり、副業によって確定申告が必要となるケースは、上記(2)または(3)の場合に該当します。
 

副業の種類後の注意点

一言で会社員などの副業といっても、さまざまなケースがあります。その主なものについて、確定申告の際の取り扱いや注意点について確認してみたいと思います。
 
1.パート・アルバイトによる収入の場合
業種はどうであれ、本業以外の時間を利用し、パート・アルバイトとして収入を得ている方も多いと思います。この場合の確定申告の際の所得区分は、「給与所得」となります。
 
かつ、上記の確定申告が必要な方の条件で、主に(3)に該当する場合に確定申告が必要となります。つまり、本業以外から得た給与収入(年末調整をしていない分)が20万円を超える場合に確定申告が必要となります。
 
ちなみに、年末調整は1ヶ所でしかできないため、2ヶ所以上から給与を得ている場合は従たる給与として確定申告します。
 
2.「UberEats」などの配達員としての収入の場合
2020年は特に「UberEats」などのデリバリー業で収入を得た方も増えたようです。この場合には、委託者である事業者との業務委託契約となるため、給与所得ではなく「事業所得」または「雑所得」となります。
 
会社員が副業でUberEatsの配達員として収入を得た場合は、上記の確定申告が必要な条件の中で主に(2)に該当します。例えば他に所得がない場合、配達員として得た所得が20万円を超えたら確定申告が必要となります。この場合の所得は、収入から必要経費を引いた額となります。
 
3.シェアリングエコノミーによる収入の場合
シェアリングエコノミーとは、提供者が資産、サービス、スキル、商品などを、プラットフォーマーと呼ばれる事業者を介して利用者に提供することで対価を受け取るものをいいます。分かりやすいところでは、オークションサイトやフリーマーケットアプリなどが挙げられます。
 
会社員が副業としてこれらから得た売却収入などは、「雑所得」となります。ただし、生活用動産(古着や家財など)の売却については非課税です。
 
4.不動産の賃貸による収入の場合
会社員が不動産投資を始めるケースも増えているようです。アパート、マンション、一戸建てなど投資対象はさまざまですが、不動産の貸し付けによる収入は「不動産所得」となります。
 
一方、空き部屋を有料で旅行者などに宿泊させる「民泊」の収入は、一般的には「雑所得」に該当するとされています。
 

まとめ

会社員の副業は、もちろんこれだけではなく、株式や投資信託、FX、先物取引、暗号資産といった金融取引による収入などもあるでしょう。今回ご紹介した4つのケースでは、副業から得た収入が給与所得、雑所得、不動産所得として計算され、確定申告で本業の給与所得と合算して総合課税されることになります。
 
また、雑所得や不動産所得の計算の際には、給与所得にはない必要経費として、収入を得るために要した費用を控除できるケースがあります。節税につながる場合もありますので、漏れのないように注意しましょう。
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
 

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