青色申告はどのように始めるの?そもそも青色にすると受けられる特典ってなに?

配信日: 2021.02.12

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青色申告はどのように始めるの?そもそも青色にすると受けられる特典ってなに?
毎年2月、3月は確定申告でバタバタされている方も多いと思います。かくいう私もその1人です。1月に昨年の領収書をかき集めるところから始まり、2月、3月に若干の煩わしさを感じながら、会計ソフトにコツコツ入力していくという流れができつつあります。日々、記帳を行っておけばこのようなこともないはずなのですが、なかなか。
 
さて、ご自身で確定申告をされている方はご存じかと思います。確定申告には「白色」と「青色」の2種類が用意されています。“白色申告”や“青色申告”という呼び方をされています。通常、何も手続きを行っていないと白色申告となります。
 
では、青色申告はどのように始めるのか? そもそも青色にするとどうなるのか?今回は、青色申告の制度について書いてみたいと思います。
長崎元

執筆者:長崎元(ながさき はじめ)

行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表

学校を卒業後、IT企業に就職。約15年勤めた後、行政書士として開業。前職で培ったITの技術と知識を活かし、効率的で、お客様にストレスのかからないサービスを提供している。主な取扱業務は、「許可の取得」や「補助金の申請」。

長崎元行政書士事務所 HP
https://www.office-hnagasaki.com/

青色申告ってなに?

青色申告とは、確定申告をする際に一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて特典が受けられるという制度です。簡単にいうと、青色申告のルールを守れば、税制面で有利になるというものです。
 
しかし、確定申告をするすべての人が青色申告にできるわけではありません。まず、青色申告をできる人は、不動産所得、事業所得、山林所得のいずれかがある人に限られます。これらの所得以外で確定申告をしている人は、青色申告にしようと思ってもできません。
 
そして、不動産所得、事業所得、山林所得のいずれかを持っている人についても、自動的に青色申告になるのではなく、「青色申告をします」という申請書を税務署に提出する必要があります。
 
さらに、青色申告にしただけでは、青色申告の特典は受けられません。前述のとおり、基準に沿った帳簿の作成や申告方法を守って初めて、青色申告の特典が受けられるのです。この基準は白色申告よりも複雑なものになっています。
 
では、多くのルールを守って受けられる特典にはどのようなものがあるのでしょうか?それは、大きく次の4点です。
 

特典1 青色申告特別控除

最も大きな得点が、この控除だと思います。複式簿記と呼ばれる方法で記帳し、貸借対照表と損的計算書を作成して確定申告の期限内に申告を行っている場合に、最高で55万円の控除が受けられます。複式簿記による記帳や貸借対照表、損益計算書を自力で作成するのは大変骨が折れる作業になります。会計ソフトの使用や、税理士の協力がないと大変でしょう。
 
また、令和2年度より、

(1)提出期限内にe-Taxで提出する
 
(2)パソコン等の帳簿にデータで保存する

 
上記2点を両方満たした場合、控除額が65万になります。これは去年からの変更点なので、確定申告に慣れている方は注意しましょう。ちなみに、e-Taxを使用する場合、帳簿はパソコンなどで作ることになると思います。つまり、上記の(1)を満たせば、(2)は自動的に条件をクリアしていることがほとんどでしょう。
 

特典2 青色事業専従者給与

事業主と生計をともにしている配偶者や、15歳以上の親族に給与を支払った場合、それを必要経費に算入できるというものです。この特典を受けるには、事前に税務署に届出書を提出しなければなりません。なお、この特典を利用して給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。
 

特典3 貸倒引当金

取引先の倒産など、予期せぬ損失への備えとして準備しておくお金を指します。青色申告では、これが必要経費として認められます。あらかじめ必要経費として、損失に対する予防としての金額を計上しておけるようになります。しかし、貸倒引当金を使わなかった場合、次の年度で戻す必要があります。
 
毎年しっかりと考えて金額を決めておかないと、戻した分、所得が増えて税金が上がってしまうというケースも考えられます。本特典を使用する際は、運用に十分に注意しましょう。
 

特典4 純損失の繰越しと繰戻し

これも特典1と並び、青色申告の大きなメリットです。繰越しとは、赤字が出た場合に、その赤字を以後3年間繰り越せるものです。黒字が出た年は赤字分を相殺することで所得を減らすことができます。特に事業を始めたばかり、初年度などは開業準備で出費がかさむことも多く、赤字となるケースもあるでしょう。
 
それを以後3年繰り越せるという点、使い勝手の良い特典といえます。繰戻しは繰越しの反対です。赤字が出た場合、前年に納めた税金から還付が受けられます。
 

青色申告にするメリットは?

上記特典のとおり、青色申告にすることで税制面の特典が得られるという点が大きなメリットです。記帳の点では複雑となりますが、詳しく書かれた帳簿は、自身の経営を見直す際にも役立ちます。
 
確定申告の書類を作る。この点に関しては、白色申告のほうが圧倒的に簡単ですが、白色申告の書類を作る際に、何かしらの会計ソフトを使っていて、そのソフトが青色申告に対応しているようでしたら、思ったよりも負担なく青色申告の書類を作れるかもしれません。
 
事業を行っている限り毎年やってくる確定申告。税金にも直結するため、少しでも有利に進めたいものです。よく分からないから、面倒だからと白色のままとされている方、一度時間を取ってどちらが自身にてきしているか考えてみるのも良いでしょう。もし不明点があるようでしたら、お近くの税理士や商工会議所、青色申告会などに相談されることをおすすめします。
 
執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表
 

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