フリーランスに転身! 初めての確定申告で注意することとは?
配信日: 2021.02.24
執筆者:黒須かおり(くろす かおり)
ファイナンシャルプランナー CFP(R)
女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてmoney&キャリアのコンサルティングを行う。幸せになるためのお金の知識など幅広い資金計画とライフプランのアドバイスを手がけている。
2007年にFP資格取得。独立系ファイナンシャルプランナー事務所にて個人相談、執筆、セミナー講師などを経験
その後「パートナーに頼らない経済的自立を目指す女性」をサポートするため2016年FPoffice Rapportを立ちあげる。
現在、年間80回以上の資産運用セミナーや金融機関にて資産形成のアドバイザーとして活動中。また金融サイトへの執筆も年間50本を越える
確定申告とは
会社員の場合、年末調整で納税額の計算と納付が完了するため、あまりなじみがないかもしれません。確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して、どのくらいの所得税を納めるのかを計算して、納税もしくは還付する手続きのことです。
手続きは、翌年の2月16日から3月15日までに、住んでいるところの税務署に届出をします。主にフリーランスや自営業、会社の経営者、不動産所得のある人などが確定申告の対象になります。また会社員でも、医療費控除や、雑損控除などがある場合は確定申告をします。
2020年確定申告の変更点
2020年初めて確定申告をする人にとっては、初めてのことなので昨年からの変更点は関係ないかもしれませんが、気をつけなければならない変更点があります。
まず、確定申告の期間が延長されます。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が延長されたことにより、通常2月16日から3月15日までの確定申告の受付期間が、2021年は4月15日まで延長されます。
しかし、期間の延長は2021年限りの変更です。それ以外の大きな変更点は3つあります。
1つは基礎控除の金額の変更、2つ目は青色申告特別控除の変更、3つ目はe-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存による青色申告特別控除の新設です。
■基礎控除の変更
基礎控除な2019年までの一律控除ではなく、所得に応じた控除金額に変更されました。所得が2400万円以下であれば48万円で、昨年までより10万円増えます。しかし、2400万円を超えると段階的に減少していきます。
※国税庁ホームページより筆者作成
■青色申告控除金額の変更
2019年までは青色申告控除は10万円と65万円の2種でしたが、2020年からは10万円と55万円に変更になります。
■e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存による青色申告特別控除の新設
複式簿記と決算書の提出さらに、e-Taxによる申告か、電子帳簿を保存することによって65万円控除が新設されました。
確定申告のやり方・流れ
確定申告をするための手順を準備、申告書の作成、提出の3つに分けて説明します。
■準備
事前に毎月の売上や経費などは手書き、もしくはエクセルシートを使って自分で記録をするか、会計ソフトを利用して記録をしておきます。領収証やクレジットカード明細、支払調書などをそろえておきましょう。
さらに、生命保険料控除や小規模事業者等掛金、年金や健康保険などの控除証明書を準備します。確定申告書にはAとBがありますが、すべての収入に対応している定申告書Bを使用します。申告書は税務署でもらうことができます。
月々の収支を、会計ソフトを使うと確定申告に必要な「収支内訳書」と「確定申告書B」は作成できます。
■申告書の作成
申告書は手書きで作成もできますが、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーでも作成できます。
- (1)住所氏名の入力
- (2)収入金額を入力し所得金額を計算する
- (3)所得控除を入力する
- (4)税金の計算をする
- (5)還付金がある場合は還付金の受取口座を入力する
- (6)住民税に関する事項を入力する
以上を入力して控えを印刷しておきます。
■確定申告書の提出
確定申告書は印刷したものを税務署に直接持ち込むほか、郵送でも受け付けてくれます。しかし、青色申告特別控除を65万円にするためにはe-Taxで申請したほうがいいでしょう。e-Taxであれば月曜日から金曜日は24時間、休祝日の翌稼働日や毎月の最終土曜日、翌日の日曜日は8時30分から24時まで受付しているので、時間を気にすることはありません。
●所得税青色申告決算書、もしくは収支内訳書
●確定申告書B
●控除のための証明書など
e-Taxで申告するためには
e-Taxを使うためには事前の準備が必要です。税務署で利用開始の手続きをして利用者識別番号と暗証番号を取得します。暗証番号はシステムにログインするために必要です。しかし、マイナンバーカードを利用してログインなどの認証を行う場合、利用者識別番号と暗証番号は必要なく、e-Taxにログインできます。
次にe-Taxのホームページからe-Taxのソフトをダウンロードし、申請書類を作成します。本人が作成したことを証明するために電子署名をして電子証明書を添付します。そして最後に確定申告書のデータを送信します。必ず、送信結果は確認するようにしましょう。
(出典:国税庁「確定申告書等作成コーナー/e-Tax(国税電子申告・納税システム)」(※))
まとめ
原則3月15日までの申告期限が4月15日まで延長されましたが、忘れずに申告するようにしましょう。もし期限を過ぎてしまうとペナルティを受けることもあります。確定申告は納税のためだけでなく、1年間の事業の収支を見直す機会でもあります。
売上があるのに、利益が少ないなどがあれば、経費の使い方を見直すことにも役立ちます。事業を継続するためにも大切な確定申告は早めに手続きしましょう。
(※)国税庁「確定申告書等作成コーナー/e-Tax(国税電子申告・納税システム)」
執筆者:黒須かおり
ファイナンシャルプランナー CFP(R)