妻は10歳年下の専業主婦です。加給年金をもらっているのですが、2028年4月から減額になると聞きました。どのくらい減ってしまうのでしょうか?
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
加給年金の基本
今回は、共働き夫婦で会社員の夫が年上というケースで説明します。
<夫の厚生年金加入期間=240月以上>
生計を維持している妻(65歳未満)や子がいる
=夫の老齢厚生年金に加給年金が加わる
<加給年金の額(2025年度)>
配偶者……23万9300円(年額)
1人目、2人目の子……各23万9300円(年額)
3人目以降の子……各7万9800円(年額)
さらに、場合によっては特別加算がつくことがあります。
<老齢厚生年金を受けている夫>
1934年4月2日生まれ以降
<特別加算額>
加算額は夫の生年月日により変わります。
例:1943年4月2日以降生まれ
=2025年度でいうと、特別加算額は17万6600円(年額)です。
加給年金は配偶者が年下であり、その人を扶養しているケースで支給されます。そして、配偶者と年の差が大きいほど長く受給できますし、晩婚の場合、子の加算も期待できます。
振替加算も理解しておこう
<妻の年齢=65歳+夫に生計を維持されている>
老齢基礎年金……受給開始
加給年金……停止
振替加算……開始(老齢基礎年金に加算される)
ただし、振替加算の受給額は妻の生年月によって異なります。たとえば、妻の生年月日が1961年4月2日以降は1万6033円、1966年4月2日以降は0円です。
留意点
加給年金は、家族手当(扶養手当)の意味合いで支給されるものなので、夫婦とも厚生年金に20年以上加入している場合は受給できませんので注意しましょう。
加給年金をもらえる人が厚生年金の繰下げ受給をすると、その期間は加給年金が支給停止になりますので、繰下げ受給を検討する際は加給年金も加味して検討すると良いでしょう。
加給年金受給後に離婚した場合、加給年金は支給されなくなります。離婚するなら振替加算がついてからにするとよいでしょう。
加給年金は、受給するためには年金事務所での手続きが必須です。確実に行うようにしましょう。
2028年4月より加給年金は1割カット
2025年6月に成立した年金制度改正法によると、2028年4月から新たに受給する配偶者の加給年金の受給額が減額されます。
すでに説明したとおり、現行、加給年金(特別加算額を含む)の受給額は41万5900円(年額)ですが、今回の改正により36万7200円となります。年額で4万8700円、月額換算で4058円の減額です。
一方、現在受給している者も含めて子の加算額は引き上げになります。
現行、1人目・2人目の子については各23万9300円(年額)で、3人目以降の子は各7万9800円(年額)ですが、改正後は一律28万1700円(年額)です。
1人目・2人目の子については、年額4万2400円、3人目以降は20万1900円の増額になります。
まとめ
女性の社会進出が進み、共働き世帯も増えている社会を前提に、配偶者への加給年金が1割減額されます(すでに受給している方の加算額は維持)。
一方、子の加算額については、年金を受給しながら子を育てる方を応援するため、現在受給している者も含めて引き上げられます。これらの改正は2028年4月より施行されますので、留意しておきましょう。
出典
厚生労働省 年金制度改正法が成立しました
日本年金機構 加給年金額と振替加算
執筆者 : 新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。