最終更新日:2019.05.17 公開日:2018.05.11
海外

ノングルテンの米粉は欧米でも人気上昇中! パンや麺で気軽に利用してみませんか

一昔前、米粉は利用しにくいものでした。ところが製粉技術が発達した今、小麦粉替わりに使えるようになりました。
 
パンや麺、料理のとろみつけなど、家庭でも活躍する場面が増えており、食糧自給率の向上にも一役買っています。
 
米粉人気は国内だけではありません。欧米では「ノングルテン」が評価されて、日本産の米粉を求める人が増えています。米粉人気の理由を探ってみましょう。

製粉技術の発達で、微細粉米粉ができるようになった

かつて、米の粉といえば「うるち米でできた上新粉や上用粉」や「もち米でできた白玉粉や道明寺粉」で、粒子の粗いものだけでした。主に和菓子に利用するもので、パンにしようとしても膨らまずに、餅のようにベタベタになりました。
 
ところが製粉技術が発達して、一般的な小麦粉(60〜70マイクロメートル)と同じかそれ以下の大きさの微細粉米粉(以下、米粉)が流通するようになり、用途は一気に広がりました。以前にはできなかったパンや麺、洋菓子やおかず作りにも利用できるようになったのです。
 
輸入が8割以上を占める小麦の、農水省による2018年度の輸入見通しは489万トンです。小麦に替わって日本で自給できる米の利用が広がれば、食料自給率の向上に直結します。
 
そのため、農水省や稲作が盛んな県では、米粉の普及に力を入れてきました。各地のJA婦人部なども、主婦目線で作った和・洋・中華の米粉レシピを作って消費者に配布するなどしています。
 
米粉は、10年ほど前まではJAの直売所や道の駅などでの販売が主で、一般の小売店では入手しにくかったものです。
 
今はスーパーやデパートでも「パン用」(グルテンが添加されている商品もあります)「菓子・料理用」「麺用」などの用途別に品揃えする店が増えました。「菓子・料理用」なら唐揚げや天ぷらの衣、お好み焼き、ケーキなどに小麦と同じ感覚で使えます。少量パックでも売られていますから、試してみてはいかがでしょうか。
 

欧米のセリアック病患者にはノングルテンの米粉が人気

国内では食の安全と健康志向の高まりで、輸入小麦のポストハーベスト(船で輸送中のカビ発生を防ぐ目的で、収穫後に使用する農薬)の残留を不安視する消費者などを中心に、米粉人気は上昇しています。
 
また、小麦のタンパク質であるグルテンが原因の小麦アレルギーを発症した人にとっては、今やなくてはならないものです。安心して与えられる離乳食としての需要も高まっています。
 
一方、欧米ではセリアック病患者を中心に、米粉が注目されています。この病気は、グルテンが引き起こす自己免疫疾患で、腹痛や慢性の激しい下痢などの厄介な症状を引き起こします。
 
欧州で500万人以上、米国で150〜300万人いるとされ、パンやパスタを常食する人たちにとっては、非常に深刻な病気なのです。現段階での治療法は、グルテン除去食しかありません。
 
そこで農水省は小麦粉の代替品として「日本産の米を、日本で製粉した米粉」としての輸出を推進しているのです。
 
2017年12月には、米粉製品に「ノングルテン」と表示できる認証制度も始まりました。欧米で販売されているノングルテン認証品の20分の1、「グルテン含有率1ppm以下」という世界一厳しい基準になっているのが強みです。
 

用途に合った米粉用米の品種開発が進んでいる

日本の農業の柱は、今も昔も稲作です。ところが、米の消費量が減って生産調整が始まり、休耕田が出る事態になりました。水田は1年耕作しないと地力が落ち、回復させるのに3年かかるとも、5年かかるとも言われています。
 
不測の事態に備えて、主食用米を増産できる状態で水田を維持するためには、稲作の継続しかありません。
 
そこで国は、米粉用米の生産に力を入れているのです。農家にとっても、慣れた米作りを続けられ、交付金による安定した収入が得られるメリットもあります。
 
農水省の調査では、2017年産の作付面積は前年比55%増の5307ヘクタールになっており、勢いがあります。
 
そのため、各地の研究機関では米粉用米の品種開発に力を入れています。パン用では、「こなだもん」「ほしのこ」という品種が作られました。どちらも、グルテンを加えなくともふっくらと膨らみ、形が崩れません。
 
同じように、麺用、菓子・料理用に適した品種も作られています。品種開発が進み、生産量が増えれば、国内の主食用米の需要減をカバーしてくれるはずです。
 
販路は輸出によって大きく拡がります。海外では、有名モデルや人気俳優がノングルテン食品によるダイエット法や美容法でマスコミにひんぱんに取り上げられていることも、米粉人気には追い風です。
 
日本の農産物が“日本ブランド”を売りに世界に打って出て「やっぱり日本産」と言われるようになったら、農家冥利に尽きるというものです。米粉への期待は、パンのように膨らむ一方です。
 
Text:毛利 菁子(もうり せいこ)
宮城県の穀倉地帯で生まれ育った農業・食育ライター。

毛利菁子

執筆者:毛利菁子(もうり せいこ)

農業・食育ライター

宮城県の穀倉地帯で生まれ育った。
北海道から九州までの米作・畑作・野菜・果樹農家を訪問して、営農情報誌などに多数執筆。市場や小売り、研究の現場にも足を運び、農業の今を取材。主婦として生協に関わり、生協ごとの農産物の基準や産地にも詳しい。大人の食育、大学生の食育に関する執筆も多数。

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