更新日: 2021.10.08 その他保険

会社の「団体保険」って結局どうなの?個人で入る保険との違い

執筆者 : 田中栄二

会社の「団体保険」って結局どうなの?個人で入る保険との違い
会社勤めの方が加入できる団体保険。毎年会社から案内を受け取り、加入を勧められた方も多いのではないでしょうか。
 
「団体保険の案内が来たがどれに加入した方が良いのか?」「今加入している保険とどちらがいいのか?」などの質問が筆者にも毎年多く寄せられます。
 
特徴や注意点はどのような点なのか、詳しくお伝えします。
田中栄二

執筆者:田中栄二(たなか えいじ)

AFP認定者 

2級DCプランナー
確定拠出年金相談ねっと 認定FP
福岡でのテニスコーチ業で、個々に適した伝え方や問題解決の基礎を学ぶ。その後「保険業は困ったときにこそ必ず人の役に立てる」と誘われ保険代理店の道へ。複数の保険会社・証券会社を取扱う会社に所属し、保障から資産運用までサポートしている。20年の保険業務と15年の証券業務の経験を持つ。「幸せな楽しい老後を送るための資金準備をしませんか?」の思いを伝えるべく確定拠出年金を活用した老後資金作りの相談やサポート業務、資産形成セミナーも行っている。

団体保険とはどういう保険なの?

団体保険とは会社などの団体が保険契約者となり、その団体に所属する者を被保険者とする保険のことです。会社またはグループ会社の社員の福利厚生を目的として多く使われている保険制度です。種類も死亡保障、所得補償、医療保障などさまざまで社員が自由に選択することができます。
 
個人契約では加入できないような特別な設計をした団体保険もあります。基本的には1年更新で加入後変更がなければ自動更新されます。保険料は年齢で変わる場合もあります。
 

団体保険の種類

団体保険には主に「保険料を従業員が任意で支払うタイプ」「保険料を会社が全額支払うタイプ」の2種類があります。
 

「保険料を従業員が任意で支払うタイプ」

「任意加入型団体定期保険」「自助努力型団体定期保険」などと呼ばれます。従業員が会社を通じて保険料を負担することにより、個人向けの保険より割安になります。
 
また、保険料の上乗せなどによって保障内容を手厚くすることができ、支払った保険料は「生命保険料控除」の対象になります。

 

「保険料を会社が全額支払うタイプ」

保険料を会社が全額負担するため、お得です。ただし、保険料を上乗せして補償内容を手厚くするなどはできません。

 
会社によって加入できる保険は違うので、勤務先の会社の団体保険を確認しておきましょう。
 

団体保険の特徴

団体保険は加入する社員にとってメリットとなることが多くあります。
 
<保険料が個人契約よりも割安になっている>
割引率は加入者数や損害率などによって計算されます。高い割引を適用していれば保険料が安くなりますのでメリットが大きくなります。
 
<剰余金があれば配当金として還元される>
主に死亡保険の場合ですが、1年ごとに死亡率などの収支計算を行い、剰余金がでれば配当金として支払われます。配当金を受け取ればトータルで考えると保険料は割安になりますし、何と言っても臨時の収入でうれしいものですよね。
 
<個人契約よりも加入しやすくなっている>
健康状況を告知する内容が個人契約よりも緩やかになっています。生命保険の加入する際は過去の病気歴をありのままに告知する義務があり、保険会社の判断で告知の内容によっては加入できない場合もあります。
 
例えば個人契約では一般的に過去5年前までさかのぼっての病気歴の告知が必要なのですが、団体保険では1年前までの告知になっていることもあり告知する範囲が少なく済む場合が多くなっています。
 
<給与引きが可能>
保険は基本的に2ヶ月保険料の未納があれば3ヶ月目から「失効」と言って契約の効力がなくなってしまいます。給与引きであれば未納になることはほぼありません。
 
<配偶者・こどもも加入できる
従業員である本人が加入するのが前提になりますが、家族の契約にも団体保険のメリットを生かすことができます。
 

団体保険の注意点

会社を辞めると継続できない場合が多い

会社の社員を対象としているので会社を退職した際に、ほとんどの人が継続できなくなります(条件を満たせば継続できる団体保険もあります)。
 

退職後、個人で保険に加入できない場合がある

重い病気を患ってしまった後に退職をしたら、新たに個人で保険に加入しようとしても病気が原因で加入できない場合もあります。
 

団体保険の加入手続き

団体保険に加入するための手続きの流れは以下のとおりです。
 

(1)会社から団体保険の加入希望者の募集がある
 
(2)加入を希望する従業員は、加入申込書などを提出
 
(3)会社と保険会社で契約締結

もし加入希望者が、会社の種類別に定められた最低数、加入有資格者の一定割合に満たなかった場合は契約が成立しません。
 
(4)会社が従業員の給与から保険料分を引き落とす

 
必要書類は基本的に「加入申込書兼告知書」のみです。
 

団体保険の活用方法

毎年団体保険の案内の時期は必要な保障を考える機会にもなります。子供が生まれたというようなライフイベントに応じて保障を増やすなど、自分で必要な保障に合わせて商品や金額を選択します。団体保険を中心に考える場合であれば、例えばガンは特に心配で手厚い保障を確保したいなど、団体保険だけではカバーしきれない保障があれば個人契約で加入しておくと安心です。
 
最大のリスクは退職後に団体保険に加入も継続もできない場合です。転職した際に団体保険のみであれば全ての保険がなくなってしまいます。
 
そこが心配な方は、ベースになる保障は個人契約で確保して団体保険は上乗せの保障として活用するが方がいいかと思います。退職が近い方は、退職後も加入できる団体保険もあるのでご自分の会社の団体保険を確認しておくと良いでしょう。
 
現在個人契約のみに加入している方はご自分の会社の団体保険と比較して検討してみるのもいいかと思います。会社の福利厚生は社員に与えられた特権です。メリットが多いので最大限活用したいものです。
 
Text/田中栄二 (たなか・えいじ)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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