【著者がリアルに運用】買っておくべきかどうか!?動き出すのか、定期預金金利
配信日: 2018.10.26 更新日: 2019.01.10
資産運用の資金配分について、投資対象に普通預金や定期預金などを組み入れている場合、いま現在大差はありませんが、今後はより高い利回りを追求していくことも必要でしょう。
なぜなら、リスク資産を買う原資になりますし、資産を取り崩す際には最初に引き出す可能性が高い投資対象であるため、少しでも楽して増やせるなら増やしておきたいのが本音でしょう。
日本債券に投資する投資信託や、個人向け国債「変動10」なども運用先としては候補の1つではありますが、現状の低金利下においては総合的に、ネット銀行などが主導しているそこそこ高めの定期預金の魅力には勝てそうもありません。
今回のケースのように、金利に変動があった場合、ネット銀行の定期預金金利をチェックしてみると、日常生活のなかで、金利がどのように関わってくるか実感しやすいかもしれません。
ネット銀行系などの定期預金は、何かしらのキャンペーンで金利が相場以上に大きく高くなることもあり、余裕のあるかたはたまにチェックされてみても良いでしょう。
今回は、8月に入り元本確保系の金融商品のなかでもより生活に密着していそうな、ネット銀行の定期預金や、個人向け国債「変動10」を見ながら、資産運用について考えてみましょう。
Text:野原亮(のはら りょう)
確定拠出年金相談ねっと認定FP
確定拠出年金創造機構代表
https://wiselife.biz/fp/rnohara/
現東証1部上場の証券会社に入社後、個人営業・株式ディーラーとして従事。口座残高が当初20万円のお客様が2,000万円になったことも。その後、営業マーケティング会社に転職。生涯担当顧客は1,000名超。 2016年に確定拠出年金専門のファイナンシャルプランナーとして開業。法人への企業型確定拠出年金制度の導入を中心に、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)制度の普及にも努めている。生活に密着したお金の話は「人生有限、貯蓄無限」と考え、公的年金や資産運用のアドバイスも。2017年、DVD「一人社長・夫婦経営の社長のための確定拠出年金」を出版
https://www.amazon.co.jp/dp/B073JFYMQV
目次
「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を決めた、日銀の金融政策決定会合
目標としていた2%の物価上昇を達成できていない日銀は、伸びが鈍い物価対策として、金融緩和を長く続けつつ、長期金利の変動をある程度容認、金融緩和の副作用に配慮することにしました。
その一方で、将来にわたって低金利を維持すると表明し、前年比2%の上昇とする目標の達成に向け、強力な金融緩和を継続することとしました。
●長期金利の変動を容認
●早期の出口政策を完全否定
●物価上昇の見方を維持
細かいことはともかくとして、上記により過去ほとんど変化のなかった定期預金金利などが、どのような影響を受けたのか見てみましょう。
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とあるネット銀行の定期預金金利の反応
ネット銀行の定期預金金利は、最近では数社において、条件付きで0.2%を超えてくる商品も出てきています。今回は、ネット銀行である楽天銀行で、筆者が実際にとった行動についてご紹介します。
その前に、楽天銀行の定期預金金利はマネーブリッジ(銀証連携)といって、楽天銀行と楽天証券両方の口座を開設・連携させると、普通預金の優遇金利が適用されるという仕組みになっています(8/30現在0.1%)。
つまりそもそも現状では、定期預金や変動10を買う意味はほとんどないのですが、いずれは比較検討すべき段階になるでしょうから、あらかじめ準備をしておこうと思いました。いつも小まめにチェックしているわけではありませんので、もしかしたら好機を逃した商品もあるかもしれませんがご容赦ください。
8月に入り楽天銀行の定期預金を3種類買いました。6ヶ月(0.13%)・2年(0.17%)・3ヶ月(0.11%)という順番で3本です。普通預金の優遇金利0.1%と大差ありませんので、普通預金や定期預金に回す金額の一部だけで買ってみました。
金利が急騰した時などに備え、途中解約してでも良いと思える程度の金額だけにしておきます。8月30日現在、6ヶ月物はまた以前のように低金利に戻ってしまっています。
個人向け国債「変動10」の募集条件の動向
変動10は最低金利保証のついた変動金利の10年国債です。資産運用として考えるのであれば、定期預金と並び、有効な金融商品のひとつになります。
財務省:「変動10年」商品概要
財務省:第101回債の発行条件
募集期間8月6日(月)~8月31日(金)、発行日9月18日の変動10、第101回債の基準金利は0.13%・適用利率は0.09%。それ以前は、直近ではほとんどが最低保証利率0.05%に張り付いていましたので、若干の改善が見られています。
定期預金と変動10との大きな違いと使い分け
一言でいってしまうと、一般的な定期預金と変動10の特徴は下記のように異なっています。
定期預金:ペイオフ対象の固定金利
変動10:0.05%の下限金利が設定された変動金利の国債
よほどのことがない限り、どちらも元本割れすることなく換金可能ですので、資金が固定される年数を心配する必要はほとんどないと思いますが、絶対にすぐ使う予定のないお金の範囲内で運用していただくと良いでしょう。
変動10の基準金利は0.1%を超えてきましたが、適用利率が0.1%を大きく超えてくるまでは、まだまだネット系定期預金の魅力を上回る段階とは思えないですが、今後は注目していく必要がありそうです。
どちらにしても、低金利時代とはいっても、資産運用としての預貯金(普通預金・定期預金など)、この投資対象をどうするかという話は、知っているか知らないかで大きく変わってきます。
「ちりも積もれば山となる」というつもりで、ちょっと考えてみてもよいでしょう。
Text:野原 亮(のはら りょう)
確定拠出年金相談ねっと認定FP