2019.01.19 資産運用

投資信託はコストが高い?…コストを払うだけの付加価値はあるのだろうか?

投資や運用を考えるときに、コストを気にかけたほうがよいことは、これまで述べてきました。しかし、そのコストは投資家に、どのように役に立つのでしょうか?イマドキの言葉で言うと、投資信託のコストはコスパに見合うのでしょうか?
 

投資信託にかかわる3つの業者

一つの投資信託には3つの業者が関わっています。
 
☆販売会社…皆さんのような投資家は、販売会社を通して投資信託を買うことになります。具体的には、銀行や証券会社です。
☆委託者…いわゆる運用会社のこと。会社名に、「○○アセット」や「○○投資顧問」という名称が入っています。投資信託を組成する、いわゆる投資信託のメーカーです。
☆受託者…信託銀行などです。投資家の投資信託を財産として預かっているのは、販売した銀行やメーカーである運用会社ではなく、信託銀行です。
 

3つの業者が関わるから、投資信託はコストがかかる?

投資信託は「3つの業者が関わるからコストがかかる」という発想が成り立ちそうですね。
 
ちなみに、投資信託は法律に定めがあります。法律によると、運用会社である委託者と信託銀行などの受託者の投資信託契約によって、投資信託が成立します。なので、販売会社など無くとも、…運用会社や信託銀行が自ら販売すれば、その分、コストを下げることができそうですね。
 

投資信託の3つの特徴をおさらいしてみましょう

投資信託には3つの特徴があると言われています。
 
☆少額から投資ができる…販売会社にもよりますが、1万円から買うことができます。
☆分散投資が実現…投資信託にもよりますが、少ない投資信託でも15社程度の株式に投資、多いものですと2000社を超える株式に投資しています。
☆専門家が運用する…ファンドマネージャーと言われる専門家が運用します。
 

3つの業者と3つの特徴

販売会社があるから、少額から投資ができます。
 
投資信託によって異なりますが、数十もの銀行や証券会社の窓口、担当者によって販売されています。多数の販売会社の販売ノウハウと人、そしてお店などの設備によって、より多くの人が投資信託の情報に触れ、投資信託の購入の機会を得るのです。
 
そして、投資信託は一人ひとりが1万円という少額で購入しても、投資信託一つで、数十億円から千億円を超えるような莫大な資金を集めることができます。一人ひとりがたとえ少額でも、莫大な資金が集まるからこそ、分散投資が可能になるのです。
 
いかがでしょうか?投資家の皆さまがコストとして負担した購入時手数料と信託報酬。購入時手数料の全額と信託報酬の40%は販売会社が受け取ることになります。いわゆるコスパに見合っているでしょうか?
 
ところで、その集まった莫大な資金を、誰が管理するのでしょうか?信託銀行の出番です。投資信託の販売を通して集まった莫大な資金と、その資金を元手に投資した株式や債券、それらのすべてを、信託銀行は「信託銀行の名義」で保管します。
 
「信託銀行の名義」で保管するとは言っても、信託銀行自身の財産と投資家の財産は、分別して保管します。なので、仮に信託銀行が経営破たんしても、投資家の財産は守られるのです。もちろん、販売会社や運用会社が破たんしても、投資家の財産である投資信託は守られます。
 
また、莫大な資金を「信託銀行の名義」という一つの名義の下で、株式や債券などに投資をします。なので、取引にかかるコストを抑えることができます。
 
話は変わりますが。時々、「投資信託なんかで運用するよりも、自分自身で東京証券取引所で日経平均225の日本株を買うほうが、ずっと効率がよい」という声を聞きます。本当にそうでしょうか?
 
たとえ、日経平均225を買うだけの元手が十分にあったとしても、取引にかかる手間を負担できるのでしょうか?コストが割高になったりしませんか?
 
投資信託で集まる資金は少なくとも数十億円ですし、1000億円を超えることも珍しくありません。莫大な資金による株式や債券の取引は、スケールメリットを活かすことができるのです。つまり、取引にかかるコストダウンです。
 
いかがでしょうか?投資家の皆さまがコストとして負担した購入時手数料と信託報酬。信託報酬の20%は信託銀行が受け取ることになります。いわゆるコスパに見合っているでしょうか?
 
販売会社を通して集めた莫大な資金を、信託銀行が信託銀行名義で保管し、そして取引にかかるコストを抑えながら、株式や債券に投資をします。
 
では、どの株式にいくら投資をするのか?債券をいつ売るのか?誰が決めるのでしょうか?答えは運用会社です。運用会社で働く投資の専門家であるファンドマネージャー。ファンドマネージャーは投資の専門家として、その知識と経験、情報収集力に語学力、そして人脈があります。
 
特に、情報収集については、海外であれば現地の専門家から情報提供を受けたりします。一般の投資家がインターネットを駆使して集める情報とは、その鮮度も正確性も、そして木目細かさにおいても、比べものになりません。
 
つまり、専門家ならではのノウハウに基づいて、株式や債券の投資の指図を信託銀行に行います。信託銀行は運用会社(専門家)の指図に基づいて、株式や債券の取引を行います。
 
いかがでしょうか?投資家の皆さまがコストとして負担した購入時手数料と信託報酬。信託報酬の40%は運用会社が受け取ることになります。いわゆるコスパに見合っているでしょうか?
 

まとめに代えて

投資や運用を考えるときにコストを気にかけたほうがよいことは、これまで述べてきました。しかし、そのコストは投資家に、どのように役に立つのでしょうか?
 
ここまで縷々述べて参りましたが、特に投資信託を購入されたご経験のある投資家は、やはり「投資信託のコストは納得できない」というお気持ちだと思います。
 
「プロなんだから、キチンと運用の成果を出して欲しい」「運用の成果に関わらず、一定率のコストを差し引くのは矛盾している」「販売会社は購入時手数料を稼ぐことばかり考えている」などなどのお声を聞くことが、よくあります。
 
そのためでしょうか?つみたてNISAの対象商品の要件の中には、「購入時手数料はゼロ(いわゆるノーロード型)であること」「信託報酬は一定水準以下(例えば、国内株インデックス型なら0.5%以下)」など、コストについても厳しく定められています。
 
運用の成果と共に、投資家が負担するコストすなわち販売会社や運用会社、そして信託銀行が「受け取る額(率)」も増える、というのが本来あるべき姿なのかもしれません。特に、今のように「長期投資」が叫ばれている時代にこそ。
 
しかし、販売会社や運用会社、そして信託銀行、中でも販売会社にはマイナス金利に苦しむ銀行が多数含まれます。
 
銀行は融資による利ザヤで稼げず、投資信託の販売による購入時手数料が収入の柱になっているでしょう。ということであれば、販売会社、とりわけ銀行はどうしても「目先」に走ってしまうのかもしれません。
 
「投資信託のコストはコスパに見合わない」が、今のところの結論と言えそうです。
 
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
 
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大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

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