最終更新日: 2020.02.27 公開日: 2020.02.28
資産運用

あなたは説明できる?年金額を調整する仕組み「マクロ経済スライド」って何?

執筆者 : 林智慮

令和2年1月24日、総務省から「2019年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)が公表されました。それにより、厚生労働省が令和2年度の年金額改定について発表をしました。
 
令和2年度の年金額は、昨年度から0.2%のプラス改定です。ところで、0.2%って、どこから出てきたのでしょうか。
 
 
林智慮

執筆者:

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

相続診断士 
終活カウンセラー 
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

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林智慮

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執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

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確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

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次世代の年金水準を確保するために

日本の公的年金は賦課方式です。現役世代が納める年金保険料が、そのときの年金の主な財源です。そのため、少子高齢化が進んで現役世代が少なくなっていくと、保険料(収入)が減っていきます。同時に、受け取る側の人口(支出)が増加していきますので、現役世代一人ひとりの負担が増加します。
 
少子高齢化が進む日本では、公的年金制度を将来にわたって制度が続けられるように、マクロ経済スライドを導入し、少子高齢化が進んでも、現役世代の保険料負担が重くなりすぎないように調整されます。
 
具体的には、厚生年金の保険料率そして国民年金の保険料に上限を設定し、保険料収入・国庫負担金、・積立金からの収入の範囲内で年金の給付水準を調整することで、その中で保険料(収入)と年金(支出)の均衡が保たれます。次世代の年金の給付水準の確保につながります。
 
5年に一度の財政検証を行うことで、おおむね100年後に年金給付費1年分の積立金を持つことができるように、新しい見通しを作成します。財政検証で、マクロ経済スライドによる調整がなくても収支のバランスが取れると見込まれる場合に、年金額の調整が終了します。
 

マクロ経済スライドって何?

厚生労働省のホームページには、「マクロ経済スライドとは、そのときの社会情勢(現役人口や平均寿命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を調整する仕組み」とあります。
 
具体的には、賃金や物価による年金額の上昇から「スライド調整率」を差し引いて、実際の年金額の改定率を決定します。
 
令和2年度の参考指数は、
 
・物価変動率 0.5%
・名目手取り賃金変動率 0.3%
・マクロ経済スライドによるスライド調整率 ▲0.1%

 
物価変動率0.5%>名目手取り賃金変動率0.3%>0 です。
 
よって年金額の改定のルールにより、物価変動率、名目手取り賃金変動率の両方がプラスで、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合は、年金を受給し始める年金額、受給中の年金額ともに名目手取り賃金変動率を用いることに法律で決められているため、0.3%を用います。
 
令和2年はマクロ経済スライドによるマクロ経済スライド調整率▲0.1%による調整がされ、改定率は0.2%です。
 


 
出典:厚生労働省「Press Release(令和2年1月24日)参考資料 年金額の改定(スライド)のルール(令和2年度まで適用)」に加筆
 

年金生活者支援給付金はどうなる?

年金額の改定率0.2%となるので、令和2年の新規裁定者の年金額は以下のようになります。
 
・国民年金(1人分)の満額は6万5008円(令和元年)から6万5141円(令和2年)
・厚生年金(夫婦2人分・方働き) 22万266円(令和元年)から22万724円(令和2年) ※平均的な収入(43.9万円)で、40年間就業の場合

 
ところで、年金を含めても所得が低い者(前年の所得額が老齢基礎年金満額以下など)の生活を支援するため、年金に上乗せして支給する年金生活者支援金があります。
 
年金生活者支援金の改定は、物価変動に応じたものです。令和2年度は0.5%の引き上げられます。
 
給付額につきましては、老齢年金生活者支援給付金、障害年金生活者支援金(2級)、遺族年金生活者支援金は、5000円(令和元年度)から5030円(令和2年度)へ引き上げ、障害年金生活者支援給付金(1級)は6250円(令和元年度)から6288円(令和2年度)へ引き上げられます。
 
(参照:引用)
総務省統計局「2015年基準 消費者物価指数 全国 2019年(令和元年)12月分」
厚生労働省 Press Release 令和2年1月24日「令和2年度の年金額改定についてお知らせします 〜年金額は昨年度から0.2%のプラス改定です〜」
厚生労働省「いっしょに検証! 公的年金 マクロスライドってなに?」
厚生労働省「いっしょに検証! 公的年金 財政検証とは、どのようなことをするのか」
厚生労働省「年金生活者支援給付金の概要」
 

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