ETF(上場投資信託)の業界ものって何? 業界ものを指針として商品を選ぶ方法

配信日: 2017.03.14 更新日: 2019.08.07

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ETF(上場投資信託)の業界ものって何? 業界ものを指針として商品を選ぶ方法
ETF(Exchange Traded Fund・上場投資信託)については、以前お伝えしたことがあるかと思います。インデクスファンドのような銘柄構成ではあるけれども、上場しているのでインデクスファンドと違って一日に何度も売買ができるというメリットがある反面、まとまった資金が必要になってくるというデメリットもあるというものでした。その時に、業界ものがあることも併せてご紹介しましたところ、業界もののETFについて詳しく知りたいというリクエストがありました。一緒に考えていきたいと思います。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

相場環境から考えると中途半端

百聞は一見にしかずということで、まずは業界ものETF(約40銘柄ほど)の一覧をみていただければ、イメージがつきやすいかと思います。「意外と少ないなぁ」と思いませんでしたか?リート市場はまだまだ発展途上で2017年時点56銘柄が上場していますが、それよりも少ないのです。意外と選択肢が少ないですよね。選択肢が多すぎても、何と何をどうやって比較すればいいかわからなくなりますが、選択肢が少ないとそもそも、「選べない」という問題にぶちあたります。
加えて、株式の値動きを占う究極の理由付けは「ファンダメンタルズ」と呼ばれる、売り上げ、利益成長見込み、それを裏付ける業界動向です。例えば昨今でいえばAI(人工知能)に強い企業を集めたファンドというのであれば、当然ファンドマネジャーが会社訪問や財務調査を行い、どの銘柄を組み入れるかを決定するというプロセスが含まれるためコストは高くつきますが、相場環境が「少子高齢化によりAIが労働力不足を補う」というテーマに注目が集まっていれば、上昇の余地が見込まれます。ですが、例えば機械業界のETFとなれば、機械すべてがまんべんなく組み込まれているわけですから、大きく上がるエネルギーには力不足となります。
同じETFでもインデクスファンドとほぼ同じ、すなわち、日経平均全体といったような指数連動型で日本株指数が例えば円安期待から上昇することが見込まれるということで購入する意味はあります。そのように考えていくと、あくまで私見ですが業界ものETFは立場的に中途半端的な位置づけと言えなくもないですね。


※出所:証券取引所のホームページより抜粋して作成

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最大の問題点は流動性

さらに大きな問題点は、流動性が少ないという点です。流動性というのは以前にもご紹介したかもしれませんが、売りたい人と買いたい人がたくさんいればいるほど、取引が成立しやすくなるという取引のしやすさを測るものです。先ほどの図をもう一度ごらんください。出来高というカラムがありますが、それは取引が成立したところを示した数字になります。とても少ないということに驚かれた方も多いでしょう。
これから、自動車業界がよくなると思って買っても、「やっぱりこれから米国の保護主義の勢いが加速するかもしれないし、あまり先はそれほど伸びないかもしれない」と思い直して売却したくても、流動性がなければ買ってくれる相手がいません。どうしても売却したい場合は価額を下げていくか、或いは塩漬けにするかどちらかの方法をとることになります。

業界ものは、ある程度投資経験を積んでから

確かにETFは手数料も安いし、証券取引所を通じて売買ができるという強みはありますが、前述したような位置づけであると筆者は考えます。したがって、ある程度投資経験を積んだ人向けではないかと思います。

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