更新日: 2023.10.18 その他資産運用
為替変動の要因とその分析について その3 ビッグマック指数
また、複数の国でビッグマックの価格の差が大きい場合は、通貨の評価が適正でない可能性があるということになります。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
購買力平価理論とは?
ビッグマック指数の考え方は、購買力平価理論(Purchasing Power Parity, PPP)に基づいています。
購買力平価理論とは、国際経済学の概念であり、異なる国の通貨間の相対的な価値を説明するために使用されます。この理論は、異なる国の物価水準の差異は、最終的にはそれらの国の為替レートの適切な調整を通じて補正されることになると主張します。
言い換えれば、購買力平価理論では、同じ商品やサービスが異なる国で取引される場合、それらの商品やサービスの価格差を基に為替レートが決定されるということになります。具体的には、同じ商品の価格が異なる国で違っている場合、価格が低い国の通貨は過小評価されており、価格が高い国の通貨は過大評価されているとされます。
例えば、仮想的な商品「A」が日本では100円で、アメリカでは1ドルで取引されている場合、購買力平価理論に基づけば、日本円の価値は1ドル=100円となるべきです。これは、「同じ商品を購入するために必要な通貨量が等しくなるように為替レートが調整される」という理論に基づいています。
もし、この時点での為替レートが130円/ドルであれば、商品「A」は日本では100円で買えるのに、アメリカに行くと130円出さないと買えないので、ドルは円より30%(1.3倍)過大評価されているということになります。
購買力平価理論は、国際間の物価差を評価するために使用される一つの手法ですが、現実の為替レートはさまざまな要因によって影響を受けます。実際の為替相場は需要と供給、金融政策、政治的な不安定さ、経済成長率など、多くの要素によって変動します。
また、購買力平価理論は一般的には中長期的な視点で適用されるものであり、短期的な状況だけで評価するのは適切ではありません。
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ビッグマック指数とは?
ビッグマック指数は、経済学的な指標の一つであり、異なる国の物価水準を比較するために使用されます。具体的には、マクドナルドのビッグマックという商品の価格を複数の国で比較し、為替レートを考慮して相対的な物価水準を求めます。
購買力平価理論によれば、同じ商品が異なる国で異なる価格で売られている場合、通貨の評価が適正ではないということになります。ビッグマック指数は、通貨の評価が適正か否かを推定するのに役立ちます。
ビッグマック指数と為替相場の間には以下のような要素が関連します。
為替レートの過小評価または過大評価の指標
ビッグマック指数は、通貨の購買力平価を推定するため、為替レートが過小評価または過大評価されているかを示唆することがあります。例えば、ビッグマック指数が特定の国で高くなる場合、その国の通貨は実際の価値よりも過大評価されていることになります。
インフレ率の影響
ビッグマック指数は、物価水準の比較に使用されるため、インフレ率とも関連しています。インフレが高い国では、ビッグマックの価格が上昇する傾向があります。したがって、インフレの差がビッグマック指数の変動に寄与することがあります。
貿易バランスと通貨価値
ビッグマック指数は、貿易バランスの健全性や通貨の競争力にも関連しています。貿易バランスが良好な国では、物価水準が低くなり、ビッグマックの価格も相対的に低くなる可能性があります。したがって、ビッグマック指数は、貿易バランスと通貨の相対的な価値の関係を示す指標となり得ます。
まとめ
3回にわたって、為替変動の要因とその分析について述べてきました。
為替レートを決める要因は、GDP成長率、失業率、インフレ率、貿易収支などの経済指標、金利などの金融政策、政府の安定性などの政治的要因、市場心理などさまざまなものがあります。
為替の変動はテクニカル分析やファンダメンタル分析などにより、ある程度予測することが可能です。
購買力平価理論に基づいて実際の通貨がどれほど過大評価・過小評価されているかを測定するビッグマック指数についても紹介しました。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー