老後も年4%で運用できる場合、年金以外の資金がいくらあれば生活費として足りますか?

配信日: 2024.01.22 更新日: 2024.01.24

この記事は約 5 分で読めます。
老後も年4%で運用できる場合、年金以外の資金がいくらあれば生活費として足りますか?
老後について考えたとき、「老後資金も、運用しながら取り崩していけばいいのではないか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。資産運用を行うのは、何も老後資金を用意するときだけに限った話ではありません。
 
そこで本記事では、老後資金を運用しながら取り崩していくことを想定し、年金以外の資金がいくらあればよいのかについて検証していきます。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

運用しなかった場合は924万4200円が必要

本記事では、老後資金を計算するに当たって、総務省の「2022年 家計調査(家計収支編)」を参考にします。これによると、高齢者のいる世帯のうち、世帯主が65歳以上の世帯(無職世帯)では、1ヶ月間の可処分所得の平均金額は17万8466円、消費支出の平均金額は20万476円です。つまり、平均して毎月2万2010円の赤字であることが分かります。
 
毎月の収支がマイナスであるならば、その金額は預貯金などを取り崩して賄うことになります。このことが、老後資金を考えるうえで基礎となります。ですから、具体的に老後資金がいくら必要なのかを計算する際には、以下の事項を仮定する必要があります。
 

●毎月預貯金をいくら取り崩すのか
●その期間は何年間か

 
例えば、2022年の家計調査を参考にするなら、「毎月取り崩す金額」を「2万2010円」とすればよいでしょう。また、「取り崩す期間」については、100歳までを想定するなら「35年間(=100歳- 65歳)」、95歳までを想定するなら「30年間(=95歳- 65歳)」となります。
 
ここまでのことを踏まえ、「毎月取り崩す金額」を「2万2010円」、「取り崩す期間」を「35年間」と仮定すると、必要な老後資金(年金を除く)は単純計算で以下のように計算できます。
 
必要な老後資金= 2万2010円× 12ヶ月× 35年間= 924万4200円
 

【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資

【PR】J.P.Returns

おすすめポイント

・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる

利率4%で運用した場合は492万9694円が必要

前章の老後資金の計算では、運用することなく単純に取り崩していくときに必要な原資を求めました。老後(65歳)を迎えたときにその金額を準備できるのであれば、(あくまで計画上ですが)それで問題はありません。
 
しかし、計画上、必要な資金を準備できなかった場合は、そこから少し工夫をしなければなりません。それが、「運用しながら取り崩す」という考え方です。
 
老後資金は、一度に全ての資金を取り崩すわけではありません。使うお金もあれば、しばらく「寝かせておく」お金もあります。この「寝かせておく」お金を運用することによって少しでも資金を増やし、その分、家計を楽にしようということです。
 
本記事では「複利運用しながら取り崩す」ことを前提に、必要な原資を求めていきます。この計算には、「年金現価係数」という係数を使います。年金現価係数とは、元本を一定利率で複利運用しながら、毎年一定金額を一定期間取り崩していくとき、現在いくらの元本で複利運用を開始すればよいかを求める際に使う係数です。
 
この年金現価係数を使うことで、例えば「利率(年率)4%で複利運用しながら、毎年26万4120円(2万2010円× 12ヶ月)を35年間にわたって受け取るために必要な原資」を求めることができます。
 
この条件で実際に計算してみると、以下のようになります。なお、式中の「18.6646」が、「利率(年率)4%・期間35年」のときの年金現価係数です。
 
26万4120円× 18.6646 ≒ 492万9694円
 
しかしながら、「利率(年率)4%」での運用は少しリスクが高いと思われるかもしれません。そこで、利率(年率)を「2%」「1%」にして再計算してみます(「期間35年」は変更なし)。計算結果は、以下のとおりです。
 

【利率(年率)2%のとき】26万4120円× 24.9986 ≒ 660万2630円
【利率(年率)1%のとき】26万4120円× 29.4086 ≒ 776万7399円

 
これを見ると、利率を高く設定したほうが必要な原資は少なくて済むことが分かります。しかし、利率が高いということは、その分リスクも高く、原資を失う可能性があるということです。老後資金を失ってしまっては本末転倒ですので、運用をする際には注意が必要です。
 

まとめ

本記事では、老後資金を運用しながら取り崩していくことを想定し、年金以外の資金がいくらあればよいのかについて検証しました。具体的には、「老後資金を利率(年率)4%で複利運用しながら、毎月2万2010円を35年間取り崩していったときに必要な金額」について計算しました。また、複利運用する際の利率(年率)を「2%」「1%」とした場合についても計算しました。
 
検証の結果、必要な原資は図表1のとおりとなりました。
 
図表1
 

利率(年率)4% 利率(年率)2% 利率(年率)1%
必要な原資 492万9694円 660万2630円 776万7399円

 
筆者作成
 
当然のことですが、いくら取り崩すのか、期間を何年とするのか、利率(年率)をどれくらいと想定するのかにより、計算結果は異なります。しかし、これらの条件をそろえることができれば、必要な原資を求めることができます。その際には「年金現価係数」という係数を用いて計算します。
 
本記事で検証した数字は、あなたの考えるプランとは一致しないかもしれません。しかし、同じように計算することで、あなたの求める金額を算出することはできます。本記事を参考に、ご自身の状況にあった原資を試算してみてはいかがでしょうか。
 

出典

総務省統計局 家計調査 家計収支編 総世帯 表番号9 2022年

 
執筆者:中村将士

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集