AIが資産運用する!?ロボアドバイザーが導くこれから(後編)

配信日: 2018.12.12 更新日: 2019.01.07

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AIが資産運用する!?ロボアドバイザーが導くこれから(後編)
前編ではロボアドバイザーについて全体的に説明しましたが、後編では、AIが実際に資産運用する「投資一任型」ロボアドについて、もう少し詳しく説明しましょう。
 
村川賢

Text:村川賢(むらかわ まさる)

一級ファイナンシャル・プラニング技能士、CFP、相続診断士、証券外務員(2種)

早稲田大学大学院を卒業して精密機器メーカーに勤務。50歳を過ぎて勤務先のセカンドライフ研修を受講。これをきっかけにお金の知識が身についてない自分に気付き、在職中にファイナンシャルプランナーの資格を取得。30年間勤務した会社を早期退職してFPとして独立。「お金の知識が重要であることを多くの人に伝え、お金で損をしない少しでも得する知識を広めよう」という使命感から、実務家のファイナンシャルプランナーとして活動中。現在は年間数十件を越す大手企業の労働組合員向けセミナー、およびライフプランを中心とした個別相談で多くのクライアントに貢献している。

「投資一任型」ロボアドの欠点

完璧に見える「投資一任型」ロボアドですが、欠点ももちろん考えられます。以下に2つほど挙げました。 
 
・急激な相場変動が苦手
「投資一任型」ロボアドは長期投資が基本で、短期間の運用ではマイナスになることがあります。例えばリーマンショックのような急激な相場変動には対応が困難です。
 
・税制優遇はゼロ
もう一つ欠点を挙げると、税金関係で優遇措置が受けられません。例えばiDeCoやNISAなどは利益に対して非課税ですが、ロボアドの運用で得た利益に対しては20%の税金がかかります。
 
また、「投資一任型」ロボアドには毎月一定額を積立投資する積立型がありますがつみたてNISAのように年間40万円という枠内では非課税になるなどの優遇措置もありません。
 

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「投資一任型」ロボアドを利用するには

「投資一任型」ロボアドに興味を持たれた方もいらっしゃると思うので、どうしたらこのロボアドを利用できるのか説明しましょう。前編で紹介した「投資一任型」ロボアド3兄弟で説明します。
 
初めに「ウェルスナビ」の場合です。提携先の証券会社に口座が無い人は、口座開設から始めなければなりません。口座開設ができたら、ホームページからログインしてWealthNavi(株)と契約を結びます。投資一任契約を行い、個人認証カードまで送れたら契約は終了します。
 
あとは運用に必要な資金を入金すれば、資産運用が開始されます。入金するときの銀行はいくつか選べます。
 
「THEO(テオ)」は、(株)お金のデザインが2016年2月から提供を始めました。THEOの公式サイトから契約を申し込むことができますが、提携先の証券会社からも契約ができます。やり方はほぼウェルスナビの場合と同じです。
 
一方、『楽ラップ』は楽天証券(株)が提供していますので、楽天証券に口座を開いて、同証券のホームページから申し込んでください。やり方はガイドに従えば良いので簡単です。
 

押さえておきたい投資の基本

投資の基本について、もう少し詳しく説明しましょう。
 
・個人投資家にとって、投資の基本は分散投資と長期投資
分散投資とは、一つに偏った投資をしないで、複数の金融商品(例えば、国内株式と海外株式、国内債券と海外債券など)に分散して投資することをいいます。
 
長期投資とは、一時に金融商品の売買を行わないで、長期に亘って投資を行うことをいいます。毎月一定額を積立投資する方法は、時間分散投資またはドルコスト平均法といいます。
 
・リーマンショックに学ぶ
投資の基本をはずれた例として、今から10年ほど前に起きたリーマンショックで説明しましょう。リーマンショックが起きる前には、アメリカでは不動産バブルと株などの金融商品の高騰で、投資家と金融機関はおおいに儲かっていました。
 
金融機関は収入の低い人にも融資(サブプライムローン)をして多額の利益を得ていたのです。しかしローンを返せないような人が借りていた訳ですから、そのうちにローンの返済が滞って金融機関の資金がまわらなくなりました。
 
不動産価格は下落し金融商品は紙くずと化して、リーマンブラザーズなどの金融機関は破綻に追い込まれたのです。これをきっかけに株式相場は未曾有の大暴落をしました。
 
リーマンショック前にはまだ上がると思って一気に多額の株を購入した投資家は、慌てて売却することで大損をしたのです。しかし、長期投資を心がけていれば、そのとき売却せずに数年後には大きな利益を得ることができました。
 

「投資一任型」ロボアドを使っても投資の基本は大切

「投資一任型」ロボアドは、このようなリスクに対してどのような対応がとられているのでしょうか。各社の「投資一任型」ロボアドでは、投資家にいくつかの質問をして、その回答からリスク度合いを調べ、そのリスク度合いに応じた金融商品の投資配分(ポートフォリオ)を提案します。
 
例えば、ウェルスナビでは、年齢や収入など5つの質問に答えると、その投資家のリスク許容度(リスク1~リスク5)が判定されます。
 
リスク1ではもっとも低リスクでの運用を行うために、株式など価格変動の大きいものの割合を少なくして、債券など価格変動の少ないものの割合を多くします。リスク5ではその逆です。投資家は判定されたリスク許容度とは別の投資配分を選択することも可能です。
 
楽ラップやTHEOも質問やリスク許容度の数(投資コースの数)に違いはありますが、その方法は全く同じです。
 

まとめ

AIが資産を運用する『投資一任型』ロボアドは、最近若い世代を中心に人気を集めています。初心者でも手軽に資産運用ができ、AIに任せておけば安心という面が大きいからでしょう。しかし、個人投資家にとっての投資の基本を忘れてはなりません。
 
出典
ウェルスナビの公式サイト
THEO(テオ)の公式サイト
楽天証券
 
Text:村川賢(むらかわ まさる)
一級ファイナンシャル・プラニング技能士、CFP、相続診断士、証券外務員(2種)
 

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