更新日: 2024.10.15 その他資産運用
株取引を始めて1年、売買のタイミングを迷うことが多々あります。友人に「そういう時は“格言”が意外と役に立つ」と言われたのですが、どういう意味ですか?
以下、具体的な格言を挙げ、その内容の意味を説明しましょう。
目次
(1) 「株を買うより、時を買え」
投資をする具体的対象を決めるよりも、投資を始める時期こそが大切、という考え方です。何の株を買いたいのかに目を奪われ、懸命に銘柄を物色するよりも、いまが投資をするのに適した時期なのか、の情勢判断することが重要だと説きます。
現在の経済環境や海外情勢を意識し、投資を始めるのに適した時期にあるかを、まず考えましょう。何を買うべきかの判断はその後にすればいい、という教えです。
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(2) 「もうはまだなり、まだはもうなり」
相場が上昇基調にあるため「まだ上がる」と思い込み持ち続けても、その時はすでに「もう売る」時期だったかもしれません。逆に、相場が下落基調にあり、いまが底だと思い「もう買おう」と考えたとしても、「まだ下がり続ける」ことが多いという教えです。相場の流れを判断できずに、売り時、買い時を間違えてしまうことへの戒めです。
(3) 「人の行く 裏に道あり 花の山」
多くの人が集まるにぎやかな大通りよりも、あまり人が行かない小さな裏道にこそ、お宝が埋まっているかもしれない、というたとえです。資産運用に際して、多くの人と同じ行動をとっていたのでは、多額の利益を得ることはできない、という意味にもつながります。
ただし、多くの人と異なった行動をとるリスクもあり、逆に1人だけ損失を被る可能性もあるので、注意が必要です。
(4) 「天井3日、底100日」
相場は徐々に上昇した後で、短期間に急上昇する傾向があると考えます。しかし、この天井となる期間はあまり長くはないため、決して欲を出してはいけません。売るに適した期間は非常に短いと説きます。まだ上がると思案しているうちに、下落が始まってしまいます。
逆に、下落基調が始まり、その底が見えてくると、底は非常に長い期間続き、すぐに反転上昇はしてこない、という教えです。
(5) 「売りは早かれ、買いは遅かれ」
前の格言(4)「天井3日」に相通じる内容の格言です。相場の上昇基調は長くは続かないので、できるだけ早く売るタイミングを考えることを強調しています。逆に、相場の下落基調は長期に続くことが多いので、あせらずによく相場動向を判断して、買い急がないことを勧めている格言です。
(6) 「頭と尻尾はくれてやれ」
相場の最も高い価格、最も安い価格を確認できたら、最高の投資行動ができます。それを懸命にめざすより、少しでも近い価格で売買するのが望ましい、という教えです。
魚の頭を最高値、尻尾を最低値に例えて表現しています。いまがピークなのか、あるいはボトムなのかにこだわり過ぎないことが大切で、ピークで売ろうと思い欲をだすと、かえって失敗することが多い、という教訓です。
(7) 「備えあれば、迷いなし」
自分で希望した価格で売買しようと考えたら、その意志はしっかりと持ち続けるように、と諭しています。
例えば「この価格で買いたい」と「指値」をしていても、なかなか希望の価格にならないからといって、その流れを早めに判断して、指値を変更して売買しようとする行動はしないほう良い、との教えになります。自分の投資判断が、安易に揺らぐことへの警鐘ともいえます。
(8) 「二度に買うべし、二度に売るべし」
売買をするときは、一度にまとめて売ったり、まとめて買ったりするのではなく、少なくとも二度に分けて売買したほうが、損害が少なくて済む、という教訓です。
一度にいきなり大きな売買をすることはリスクも大きくなるため、何回かに分けて慎重に取引することを勧めています。利益は減る可能性はあるかもしれませんが、それ以上に損失を抑えることの大切さを教えています。
(9) 「卵は1つの籠に盛るな」
手持ちの資金を1つの銘柄に集中投資するのではなく、できるだけ多くの銘柄に分散して投資することの勧めです。
投資に際しては、現在でも基本となる「リスク分散」の発想といえます。特定の銘柄だけへの集中投資は、成功すれば大きな利益が得られますが、失敗した場合の損失が大きくなることへの警鐘ともなります。
(10) 「相場は相場に聞け」
市場の将来は上昇するか、あるいは下降するかは、簡単に見通すことはできません。市場は多くの要素を織り込んで変動するため、自分の固定観念で変動を予測することは非常に難しい、との自覚をもつ必要があります。市場が何を語ろうとしているのかをよく観察することこそ大切だ、と説いています。
まとめ
以上、先人たちの相場の格言をいくつか紹介しました。現在の株価動向とは、多少異なる局面もあるかもしれませんが、資産運用に際して迷った折のヒントとして、ご活用いただければ、と思います。
執筆者:黒木達也
経済ジャーナリスト
監修:中嶋正廣
行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。