更新日: 2019.06.28 その他資産運用
資産運用に影響を与えるSDGsってナニ?
SDGsに取り組む企業は、長期的に企業価値が上がり、株価の上昇につながることが予想されます。GPIFにとっても、こういった企業への投資は、長期的な投資リターンの拡大につながると考えているからです。
2017年10月、GPIFは投資原則を改め、今後は株式だけに限らず債券など全ての資産でSDGsに関連するESG投資の要素を考慮した投資を進めていく予定です。
執筆者:前田紳詞(まえだ しんじ)
ファイナンシャルプランナー
日本経済新聞読み方専任講師、ドラッカー学会学会員、前田マネジメント代表、㈱マイビジネスクリエイトオフィス取締役、 NPO法人人財育成支援ネット理事
外資系メーカー、外資系金融機関で勤務後、ファイナンシャルプランナーとして独立。 現在、前田マネジメント代表として企業、金融機関、行政、医療関係機関、研修センター、商工会議所などで講演や研修講師を担当。
幅広い知識や経験を活かし、ファイナンシャルプランナー業務だけでなく人材育成やマーケティングなどのマネジメント研修も行っている。年間講演回数は150回以上。
「教育を通じて人の成長のサポートをする」を理念に、自ら考え行動し人生を豊かにする「ライフマネジメント」の実現を目標に活動している。
http://m-lm.biz
持続可能な社会作りを目指す国際目標“SDGs”
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の国際目標です。
“Sustainable Development Goals”の略で、世界193の国連加盟国が持続可能な世界を実現するための17のゴールと、169の具体的な目標が掲げられています(図1)。
一番のスローガンは「地球上の誰一人として取り残さない」です。
日本政府も当政策を推進しており、全国務大臣を構成員とするSDGs推進本部が設置され、各省庁での取り組みが議論されています。2017年12月にはSDGsアクションプラン2018が採択され、2019年に向けての取り組みがスタートしています(図2)。
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SDGsから派生したESG投資の考え
日本政府が進めている方針の1つが、「(8)SDGs実施推進の体制と手段」です。ステークホルダーとは利害関係者のことで、例えば企業における株主が一例です。
「ESG投資」という考えは、SDGs推進のために株主としてSDGsの17の目標達成に向けて活動している企業に、投資をすることで応援していく方法として生まれました(図3)。
ESGとは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉です。
これまで株式や債券投資をする判断基準として、キャッシュフローや利益率などのデータが使われてきました。それに加え、ESGの要素を考慮する投資を「ESG投資」と言います。例えば「E」は地球温暖化対策、「S」は女性従業員の活躍、「G」は取締役の構成などが挙げられます。
GPIFでは、投資対象のベンチマークとして2017年7月に「総合型(ESG) FTSE Blossom Japan Index」「総合型(ESG) MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」「テーマ型(S・社会) MSCI日本株女性活躍指数(愛称は WIN)」の3つを選定。
2018年9月には「国内株 S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」「外国株 S&Pグローバル大中型株カーボン・エフィシェント指数(除く日本)」の2つを追加し、これら指数に連動するパッシブ運用を始めています。合計3兆円規模の株式投資運用を行っており、今度も拡大していくことが予想されます。
世界各国でのESG投資は、2500兆円をすでに超えているとも言われています。今後の投資の参考指標として、2019年は“SDGs”と“ESG投資”に注目しておきましょう。
出典:
(※図1)外務省「持続可能な開発のための2030アジェンダ
(※図2)首相官邸「SDGsアクションプラン2018」
(※図3)出典:環境省 「第1回ESG金融懇談会- 参考資料 GPIFのESGへの取組」
執筆者:前田紳詞(まえだ しんじ)
ファイナンシャルプランナー