トランプショックで、NISAの商品に損が出ています。売却して新規買付を中止したほうがよいでしょうか?
今回は、NISAの預かり金が値下がりして不安に感じている人に向けて、今後の資産運用をどのようにしたらよいのか解説します。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
経済や市場の様子を観察しよう
現在の市場の値動きを見て、「トランプショックで損をしているから、損切りしよう」「少し値段が上がったから、今すぐ売ってしまおう」など、一喜一憂している場合、まずは冷静になって、世界の経済や市場の動きを長期間で観察してみるのがおすすめです。
確かに、トランプ大統領の就任後、アメリカや日本の株価は全体的に下降傾向が続いています。NISAの人気商品であるS&P500や、全世界に投資をしているオールカントリーと呼ばれる投資信託なども、大きな下落傾向となっています。
例えば、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、2025年1月24日の基準価格は3万4638円ですが、4月9日の基準価格は2万6296円です(執筆時点)。
しかし、コロナウイルスが世界で流行した際にも、このような経済危機はありました。また、2008年にも「リーマンショック」と呼ばれる大きな危機がありましたが、その後は順調に経済が回復し、市場の商品はまた大きく値上げしています。
現在「トランプショック」の影響で市場は下降気味ですが、トランプ氏が政策転換をしたり、別の大統領が就任したりと変化が起これば、市場はすぐに反応し、一気に価格が上がる可能性もあるのです。
すぐに売らない 市場に左右されず積立投資を続ける
現在、NISAの預かり金で損が出ている場合でも、取りあえず焦って売らず、市場やアメリカの政策を静観するのがおすすめです。さらにできれば今後も、市場に左右されず、淡々とNISAで積立投資を続けるとよいでしょう。
長期的に積立投資を続けていれば、コロナウイルスの流行した頃や「トランプショック」のように、市場の波が必ず訪れます。しかしNISAでは、現在の損益ではなく、20年後・30年後など、自分が老後を迎えたときに、NISAの資産が増えていることが重要です。
日々の値動きに左右されず、20年・30年先の世界の経済成長に期待して、積立投資を続けるのが理想的です。
生活費は別で確保
「市場に左右されず積立投資を続ける」とはいっても、「資産運用で大損をして、生活ができなくなってしまった」という状況は避けなければなりません。そのため資産運用では、あくまでも日々の生活費を確保したうえで、余剰のお金を使う必要があります。
NISAの場合、投資家一人につき最大1800万円まで投資をすることができます。しかし、満額で投資をするのは、あくまでも経済的に余力がある場合のみです。日々の生活が火の車になっては本末転倒なので、生活資金と投資するお金をしっかりと分けて、家計を管理していきましょう。
まとめ
トランプ大統領の発言や、アメリカ政府の政策、各国の関税政策などの影響で、市場の株価や投資信託の値段は乱高下しています。自分の預かり金が減ってしまうと確かに不安に感じますが、値動きの度に動揺していては、精神的にも大きなストレスです。
市場の値動きは、ざっくりと把握するくらいにとどめ、NISAの資産も毎日チェックする必要はありません。20年・30年後の世界経済に期待して、どっしりと構えて、長期的に資産運用を続けていきましょう。
執筆者 : 下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
