ガストやバーミヤンで「株主優待券」を使う友人。「株主になれば年3万円以上もらえる」と言いますが、投資額はいくら必要なのでしょうか?“すかいらーく”の株主優待と配当について解説

配信日: 2025.06.28 更新日: 2025.07.03
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ガストやバーミヤンで「株主優待券」を使う友人。「株主になれば年3万円以上もらえる」と言いますが、投資額はいくら必要なのでしょうか?“すかいらーく”の株主優待と配当について解説
ガストやバーミヤンで食事のたびに株主優待券を使う友人を見て、「自分ももらえるのかな?」「投資額はいくら必要なのだろうか」と気になる人もいるでしょう。株主優待は、身近なお店で使える点が魅力的に映る一方で、注意しておきたい点もあります。
 
今回は、ガストやバーミヤンを運営するすかいらーくホールディングスの株主優待と配当の仕組み、そして株主優待を目的に投資をする際の留意点について解説します。
浜崎遥翔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

年間最大3万4000円の優待! いくら必要?

すかいらーくホールディングスでは、毎年6月末と12月末の年2回を基準日として、株主に対して飲食代に使える株主優待券を、次の通り進呈しています。
 

・100株~299株:年間4000円(各回2000円)
・300株~499株:年間1万円(各回5000円)
・500株~999株:年間1万6000円(各回8000円)
・1000株以上:年間3万4000円(各回1万7000円)

 
6月末時点で株主となっている場合は9月頃、12月末時点で株主となっている場合は翌年3月頃に優待券が届きます。優待券は、基準日時点で株主であれば、その後売却していても受け取れます。一方で、発送のタイミングで株主であったとしても、基準日に株主でない人には優待券は届きません。
 
優待券は、ガストやバーミヤン、ジョナサン、夢庵、しゃぶ葉、から好し、むさしの森珈琲など、すかいらーくグループが展開する幅広い店舗で使えます。日常的に利用しやすい業態が多く、使い道を想像しやすい点もこの優待の特徴です。
 
2025年6月前半時点での株価は、おおむね1株3200円前後で推移しています。100株を購入するには約32万円が必要です。100株保有時の優待利回りは約1.25%となります。
 
保有株数が増えるほど優待額は増えますが、3万4000円分の優待をもらうためには1000株、購入資金は約320万円が必要です。
 
ただし、以下のとおり、1000株を保有する場合の優待利回りは、100株を保有する場合に比べてやや下がることに注意しましょう。
 

100株の優待利回り:4000÷320000=0.0125
1000株の優待利回り:34000÷3200000=0.010625

 

配当込みで利回りは約1.8%、ただし変動には注意

すかいらーくホールディングスでは、株主優待に加えて配当金の支払いも行っています。2024年12月期の年間配当は1株あたり18.5円で、100株を保有していた場合は年間1850円の配当を受け取れたことになります。
 
100株保有時の優待額は年間4000円なので、配当と合わせた総リターンは5850円です。株価が1株3200円だった場合の合計利回りは約1.8%となります。
 
ただし、配当金は業績によって大きく変動することに注意しましょう。実際、2020年と2022年には配当金の支払いが行われておらず、安定的に受け取れるとは限りません。すかいらーくホールディングスでは「調整後当期利益の約30%を目安に配当を行う」との方針を示しているため、利益が出なければ配当がなくなる可能性もあります。
 
将来的なリターンを見込んで投資を検討する場合は、優待だけでなく配当の変動リスクにも目を向けておくことが大切です。
 

株主優待にもリスクがある! 制度の改定や集中投資には注意

すかいらーくホールディングスの株主優待は実用性が高く魅力的に見えますが、将来的に同じ内容が続くとは限りません。実際、2020年には優待制度の見直しが行われ、100株保有時の優待額は年間6000円から4000円に、1000株以上では年間6万9000円から3万4000円に大幅縮小されました。
 
株主優待は法律で義務づけられたものではなく、企業の裁量によって任意に実施されている制度です。そのため、経営方針の転換や業績の悪化などを理由に、将来的に制度がさらに縮小されたり、廃止されたりする可能性もあることを忘れてはいけません。
 
また、優待目当てで特定の銘柄に資金を集中させることにも注意が必要です。1000株を保有して年間3万4000円の優待を受け取るには、2025年6月前半時点の株価水準ではおよそ320万円の投資が必要ですが、株価が下落すれば、その損失は優待や配当で得られる額を大きく上回る可能性があります。
 
株主優待を目的とした投資を検討する際は、「制度がなくなる可能性」や「株価が大きく変動するリスク」を踏まえたうえで、集中ではなく分散を意識した資金配分を行うことが重要です。
 

まとめ|制度の魅力とリスクを正しく理解したうえで判断を

すかいらーくホールディングスの株主優待を1年間で3万円以上もらうためには、およそ320万円の資金が必要です。日常的に外食をする人にとっては、すかいらーくグループが全国展開する多彩な飲食店で使える優待券はとても魅力的な制度です。
 
一方で、株主優待制度には縮小や廃止のリスク、集中投資による損失の可能性など注意すべき点も多くあります。まとまった資金を投じる場合は、利回りや特典だけでなく、株価の変動リスクや制度の不確実性も含めて総合的に判断することが大切です。
 

出典

すかいらーくホールディングス 株主優待制度
すかいらーくホールディングス 配当金
日本経済新聞 株価 すかいらーくホールディングス
 
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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