「S&P500」はもう上がりすぎ? NISAで“今から”買うのは遅すぎる? 今後の見通しや「リスク」をFPが解説

配信日: 2025.07.21 更新日: 2025.07.22
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「S&P500」はもう上がりすぎ? NISAで“今から”買うのは遅すぎる? 今後の見通しや「リスク」をFPが解説
NISA口座を開設し「さあ投資を始めよう」と思っている人に、おすすめと言われる金融商品の1つに「S&P500」に連動した投資信託があります。しかし、いざ「S&P500」の投資信託を買おうと思っても、「もうかなり高くなっている」などの理由で、今からでは遅すぎると思う人もいるかもしれません。
 
また、投資するにしても、いつから始めればいいのか、タイミングが分からない人もいるでしょう。本記事では「S&P500」に連動した投資信託が人気の理由や、買うタイミングなどを解説します。今後の展望やリスクなども紹介しますので、参考にしてください。
松尾知真

FP2級

「S&P500」とは何なのか

「S&P500」とは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が公表している、米国の主要約500企業の株価などから導かれる株価指数です。株価指数は、市場全体の値動きを示す数値で、S&P500では約500社の株価を時価総額で加重平均して指数化します。
 
S&P500の中で構成比の高い企業を挙げると、「アップル」「マイクロソフト」「アマゾン」など、誰もが知っている世界の大企業が名を連ねています。個別の企業名を聞くと、なじみを感じる人も多いのではないでしょうか。
 
そして、S&P500に投資する身近な方法に、S&P500への連動をめざす投資信託などの購入があります。言い換えれば、投資信託を1つ購入するだけで、米国の主要500社への投資が可能なのです。
 

なぜ「S&P500」は人気なのか

どの証券会社の投資信託積立ランキングを見ても、「S&P500」に連動した投資信託は「オールカントリー」と並んで、上位にランクインしており、不動の人気を誇っています。人気の大きな要因は、米国経済の成長性に基づくパフォーマンスの高さです。
 
実際の株価指数は、2025年7月時点で6200ポイントを超えており、10年前と比べ約3倍、5年前との比較でも約2倍になっています。短期的には大幅に下落することもありますが、持続的に大きく成長していることは間違いありません。
 
また、500社に分散投資されているとも言えるため、1社だけの個別株に比べると、リスクは小さいと考えて差し支えないでしょう。
 

S&P500はいつから始めればいいのか

S&P500は、いつ始めるのがいいのでしょうか。投資初心者だけでなく、誰でも「価格が安いときに始めて、利益を大きくしたい」と思うものです。しかし、S&P500の指数がこれだけ上昇していれば、「買うのが遅かった」あるいは「下落するのが怖い」と感じるかもしれません。
 
ただ、結論から言えば、NISA口座などで長期積立を前提とした投資を考えている人は、早めに始めて、時間を味方にするほうが重要でしょう。前記したとおり、成長性の高いS&P500であっても、過去のデータでは、指数が2倍3倍になるのに5年10年といった時間が必要でした。
 
今後の値動きは専門家でも分かりませんし、ましてや投資初心者にはより一層困難でしょう。「いつ買おうか」と迷っている間に、時間をロスしてしまうほうが「機会の損失」につながるでしょう。
 

「S&P500」にリスクはないのか

専門家によるS&P500の見通しでは、米国企業の業績がしばらく堅調に推移する可能性が高いとされており、指数はさらに上昇するかもしれません。ただ、米国に政治的な不安や経済的な問題が起こり、指数が下落しないとも限りません。
 
現在も、トランプ政権の関税政策や政治的なリスクは、不安要素の1つです。これまでも価格が暴落する局面があり、短期的な売買を考えている人に損失が発生するのは、決して珍しいことではありません。
 
さらに、私たち日本人は、為替変動リスクも考えておく必要があります。実は「S&P500」の指数が上がっても、円高が進んでしまえば、円建てでの利益は相殺されてしまうのです。それどころか、指数が下がり円高にもなれば、ダブルパンチで損失が膨らみます。
 
ただ、これらのリスクを最小限に抑えてくれるのが、長期での積立投資です。10年あるいは15年以上での運用であれば、短期の指数変動や為替動向に慌てる必要はありません。つまり、運用を始めるタイミングよりも、「いかに長く続けられるか」のほうが大切なのです。
 

まとめ

「S&P500」を始めたくても、指数がかなり上がっているチャートを目にすると「買うのが遅かった」「これから買うと損する」と思うこともあるでしょう。しかし、NISAなどを利用して長期での投資を計画していれば、あまり気にする必要はないかもしれません。むしろちゅうちょしている間に、時間を無駄にしてしまう可能性があります。
 
まずは「S&P500」の長所やリスクを把握した上で、自身の目的を明確にして、投資に取り組むことが大切です。「S&P500」以外にも投資の選択肢は数多くありますので、改めて何が自分の目的に合っているか検討した上で、早めに少額から取り組んでみてはいかがでしょうか。
 
執筆者 : 松尾知真
FP2級

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