父の死後「保険金・遺産」で“2000万円”手に入れた母。「せっかくだから資産運用してみたい」とのことだけど、任せてしまって大丈夫? 高齢の“投資初心者”が注意すべきポイントとは

配信日: 2025.07.21 更新日: 2025.07.22
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父の死後「保険金・遺産」で“2000万円”手に入れた母。「せっかくだから資産運用してみたい」とのことだけど、任せてしまって大丈夫? 高齢の“投資初心者”が注意すべきポイントとは
配偶者や高齢の父母が亡くなった際、残された家族は故人の遺産や死亡保険金、退職金などをまとめて受け取ることになります。これらの資金は、残された配偶者や子どもが今後生活をしていくための大切な基盤となりますが、資産運用をすることでさらに生活を充実させたいと願う人もいるでしょう。
 
しかし、これまで資産運用を実際にしてこなかった人がまとまった資金を手にした場合は、特に注意が必要です。
山田圭佑

FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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日本では「金融資産の高齢者偏重」のため、「相続」で大きな資金移動が起きる

日本において、金融資産を最も保有している年齢層は「高齢者」、亡くなる寸前が最も資産額が高くなるということもあります。金融経済教育推進機構(J-FLEC)がまとめた「家計の金融行動に関する世論調査2024年」によれば、2人以上世帯の金融資産保有額は図表1のようになっています。
 
図表1

図表1

金融経済教育推進機構 家計の金融行動に関する世論調査2024年 より筆者作成
 
40歳代が世帯主である世帯の「金融資産保有額中央値」が250万円であるのに対し、60歳代が世帯主の場合は中央値が650万円、70歳代が世帯主の場合は800万円と、年齢とともに金融資産額が上昇していく傾向にあることが見て取れます。
 
特に50代から60代の資産額上昇は著しく(50歳代中央値250万円→60歳代中央値650万円)、退職金の支給が大きく資産額に影響を与えていると予想されます。
 
このように高齢者に金融資産が集中しがちな環境下では、高齢者の死亡による相続の発生によって、大きな資金が残された遺族に移動します。特に資産額が少ない若い世代にとっては、「相続によって初めてまとまった金融資産を手にした」という状況になることも珍しくないでしょう。
 
手持ち資産が少なければ「資産運用」をしようと考えることも少ないでしょうから、相続によって初めて「資産運用」を考え始める人は、日本において特に多いのではないかと筆者は予想しています。
 

資産運用の経験が少ない場合は、必ず中立な専門家や知り合いに相談を

高額の資産を持った高齢者が亡くなったことは、その資産を預金などの形で預けていた銀行などの金融機関がほぼ確実に知ることになります。遺族へまとまった資金の移動が発生することを知った金融機関が、遺族への「営業」を積極的に行うことは想像に難くありません。
 
遺族がこれまで「資産運用」をしたことがない場合は、安易な気持ちで投資に手を出さないよう注意しましょう。特に高齢者の場合、情報収集や判断能力に限界がある可能性も考慮しなければなりません。
 
投資初心者である高齢者が資産運用に取り組む際には、特に以下の3つの点に注意が必要と言えるでしょう。
 

・リスク許容度を冷静に判断する

投資初心者の場合は特に、自身の「リスク許容度」を考えることが重要です。まとまった資金がある場合でも、生活防衛のために取っておきたい金額は、必ず「定期預金」などの安全な資金の置き場所に確保してから、余裕資金で投資を始めましょう。
 

・高齢者を狙う投資詐欺を警戒する

「必ず値上がりする」「選ばれたあなただけに情報を教える」などの甘い言葉で、仮想通貨や新規公開株式に投資を誘導する詐欺の手口が報告されています。十分に警戒しておきましょう。
 

・信頼できる第三者の知り合いや専門家に相談する

金融知識を持った専門家は、「保険業」「金融業」「不動産業」などに数多くいますが、資産運用の初心者が「業者」に所属した専門家へ資産運用の相談をすることは、筆者としてはお勧めできません。「自身に適した商品」でなく、「業者がもうかる商品」をすすめられる可能性があるからです。
 
まずは、中立な立場にある金融知識を持つ知り合いや、ファイナンシャル・プランナーなどに相談をしてみましょう。投資を実際に行うのは、自身が金融リテラシーを高めてからでも遅くありません。
 

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まとめ

高齢者ほど多額の金融資産を持っている傾向にある日本では、高齢者の死亡による相続の発生によって、遺族にまとまった資金が移動することがよくあります。相続によって初めてまとまった金融資産を手にした人が投資を考える場合は、特に注意が必要です。
 
これまで資産運用に縁のなかった人が、急に大きなお金を動かそうとすることは、少なからずリスクを伴います。特に高齢者の場合、情報収集や判断能力に限界がある可能性も考慮しなければなりません。
 
資産運用を始める場合は、信頼できる中立な立場の第三者に相談をし、十分に知識をつけてから行うようにしましょう。
 

出典

金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査2024年
独立行政法人国民生活センター 高齢者の消費者被害
 
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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